造作譲渡の仕訳・勘定科目・減価償却を完全解説|売り手・買い手の会計処理と消費税【飲食店・バー対応/2026年最新】

「造作譲渡のお金は、どの勘定科目で、何年で償却すればいいのか」。「売った側・買った側で、仕訳はどう違うのか」。

店舗を居抜きで売買すると、必ず出てくるのがこの会計処理の疑問です。

結論から申し上げます。造作譲渡の会計処理は、売り手は「固定資産の売却」、買い手は「資産の種類ごとに計上して減価償却」が基本です。

買い手は造作譲渡料を建物附属設備・器具備品・機械装置などに振り分け、中古資産として耐用年数を見積もります。

この記事では、売り手・買い手の仕訳、勘定科目の振り分け、減価償却と耐用年数、消費税の経理、個人事業主と法人の違いまで、国税庁の一次情報をもとに、ナイト・飲食店のM&A仲介の視点で解説します。

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目次

結論:売り手は「固定資産の売却」、買い手は「資産計上→減価償却」

造作譲渡の会計処理早見 売り手は固定資産の売却で簿価を落とし対価との差額を固定資産売却損益 買い手は造作譲渡料を資産の種類別に計上し中古資産として減価償却

造作譲渡の会計処理は、立場で大きく分かれます。

売り手は、譲渡する造作の帳簿価額(簿価)を落とし、受け取った対価との差額を固定資産売却損益として処理します。

買い手は、支払った造作譲渡料を資産の種類ごとに計上し、それぞれの耐用年数で減価償却していきます。

なお、造作譲渡は消費税の課税取引です。土地のような非課税資産とは異なり、内装・設備の譲渡には消費税がかかります。

会計処理は当事者の状況(個人か法人か、税込か税抜か)で変わります。実際の処理は税理士に確認してください。基礎は造作譲渡とはで解説しています。

【売り手】造作譲渡の仕訳と勘定科目

売り手側は、造作譲渡を「保有していた固定資産を売却した」ものとして処理します。

簿価を落とし、差額を売却損益にする

まず、譲渡する造作の帳簿価額(取得価額から減価償却累計額を引いた残額)を帳簿から落とします。

そのうえで、受け取った対価と簿価との差額を、固定資産売却益または固定資産売却損として計上します。

対価が簿価を上回れば売却益、下回れば売却損です。0円・無償譲渡や簿価より安い譲渡の税務上の注意は造作の無償譲渡(0円譲渡)を参照してください。

仕訳例(売却益・売却損)

たとえば簿価100万円の造作を、消費税込み220万円(本体200万円・消費税20万円)で売却した場合の仕訳は次のようになります。

借方金額貸方金額
現金預金220万円建物附属設備(簿価)100万円
固定資産売却益100万円
仮受消費税20万円
簿価より安く売れば、貸方の売却益が借方の固定資産売却損に変わります。

個人事業主は「譲渡所得」になる

個人事業主が事業用の造作を譲渡した場合、その利益は原則として総合課税の譲渡所得に区分されます。

事業所得とは別枠で計算される点に注意してください。事業全体の税金は事業譲渡の税金で解説しています。

【買い手】造作譲渡の仕訳と勘定科目

造作譲渡料の勘定科目振り分け 内装仕上げ配線ダクト給排水固定カウンターは建物附属設備 椅子テーブル冷蔵庫製氷機POSスピーカーカラオケ機器は器具備品 製造設備特殊機械は機械装置

買い手側は、支払った造作譲渡料を「資産の取得」として処理します。一括で経費にはできません。

資産の種類ごとに計上する

造作譲渡料は、中身を資産の種類ごとに分けて計上するのが原則です。

内装工事部分は「建物附属設備」、厨房機器や什器は「器具備品」、製造設備などは「機械装置」といった勘定科目に振り分けます。

種類ごとに耐用年数が異なるため、この振り分けが減価償却の前提になります。

明細が不明なときは一括で建物附属設備

譲渡契約で内訳が分からない場合は、実務上、一括して「建物附属設備」として計上することがあります。

ただし、可能な限り契約書や見積書で内訳を明確にしておく方が、適正な減価償却につながります。契約書の作り方は造作譲渡契約書を参照してください。

仕訳例

造作譲渡料を消費税込み330万円(本体300万円・消費税30万円)で取得し、建物附属設備として計上する場合の仕訳は次のようになります。

借方金額貸方金額
建物附属設備300万円現金預金330万円
仮払消費税30万円
計上後は、耐用年数に応じて毎期、減価償却費を計上します。

敷金・保証金・営業権が含まれるとき

居抜きでは、造作のほかに敷金・保証金や営業権(のれん)が対価に含まれることがあります。

敷金・保証金は「差入保証金」などの資産として計上し、消費税は非課税です。対価が引き継ぐ資産の価値の合計を上回る部分は、営業権(のれん)として計上することがあります(税務上は原則5年で均等償却)。実際の配分は税理士に確認してください。

造作の減価償却と耐用年数

造作中古資産の耐用年数簡便法 全部経過は法定耐用年数かける20パーセント 一部経過は法定耐用年数引く経過年数足す経過年数かける20パーセント 法定15年経過5年なら11年 1年未満切捨て最低2年

買い手が計上した造作は、資産の種類ごとの耐用年数で減価償却します。ここが造作譲渡の会計で最も間違えやすい部分です。

他人の建物に対する造作の耐用年数

賃借した建物に施した造作は、自分の建物への資本的支出とは異なり、独立した資産として扱います。

造作の種類・用途・材質などを総合的に考慮し、合理的に見積もった耐用年数で償却します(国税庁 No.5406)。

なお、賃借期間の定めがあり、更新ができず、かつ買取請求もできない場合は、その賃借期間を耐用年数として償却できます。

中古資産を取得したときの簡便法

造作譲渡で引き継ぐ設備は中古資産にあたるため、法定耐用年数ではなく、見積もった耐用年数で償却できます。

簡便法では、法定耐用年数の全部を経過した資産は「法定耐用年数×20%」、一部を経過した資産は「(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%」で計算します(国税庁 No.5404)。

1年未満の端数は切り捨て、2年未満になる場合は2年とします。減価償却の基本は減価償却のあらまし(国税庁 No.2100)を参照してください。

少額資産の特例(10万・20万・30万円)

取得価額が小さい資産は、減価償却せずに早期に費用化できる特例があります。

10万円未満は全額をその年の費用に、20万円未満は一括償却資産として3年均等償却にできます。

さらに、青色申告の中小企業者等は、30万円未満の資産を取得時に全額損金算入できます(年間合計300万円まで・国税庁 No.5408)。

消費税の経理処理

造作譲渡は消費税の課税取引です。経理方式によって金額の扱いが変わります。

造作譲渡は課税取引

内装・厨房機器などの事業用資産を売買する行為は「資産の譲渡」にあたり、消費税が課税されます(国税庁 No.6145)。

売り手は受け取った消費税を仮受消費税、買い手は支払った消費税を仮払消費税として処理します。

税込経理と税抜経理で判定が変わる

資産の取得価額に消費税を含めるかどうかは、採用している経理方式で決まります。

税込経理なら消費税を含んだ金額で、税抜経理なら含まない金額で、少額資産の判定(10万・30万円など)を行います。この差で特例の使えるラインが変わる点に注意してください。

個人事業主と法人で違う点

造作譲渡の会計処理は、個人事業主と法人で枠組みが異なります。

個人事業主

個人事業主が造作を譲渡した利益は、原則として総合課税の譲渡所得です。事業所得とは別に計算します。

買い手側として取得した造作は、事業所得の計算上、減価償却費として必要経費に算入します。

法人

法人は、売却益・売却損を益金・損金として法人所得に算入します。

取得した造作は資産計上し、減価償却費を損金として処理します。少額資産の特例(No.5408)は、青色申告の中小企業者等の法人が使えます。

ナイト業態の造作の会計処理

ナイト・飲食業態では、造作に音響・照明・カラオケ・防音・カウンターなど特有の設備が含まれます。

これらも資産の種類ごとに振り分けます。音響・照明・カラオケ機器は「器具備品」、内装や防音工事は「建物附属設備」が一般的です。

これらは中古資産として簡便法で耐用年数を見積もれます。設備の価値評価は造作譲渡の相場、買い手側の物件チェックは居抜き物件の選び方も参考になります。

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まとめ:仕訳は「売却」と「資産計上」、迷ったら税理士へ

造作譲渡の会計処理の要点を、最後に整理します。

第一に、売り手は固定資産の売却として簿価を落とし、差額を売却損益にします。個人事業主は総合課税の譲渡所得です。

第二に、買い手は造作譲渡料を資産の種類別に計上し、中古資産の簡便法で耐用年数を見積もって減価償却します。少額資産の特例も活用できます。

第三に、造作譲渡は消費税の課税取引で、税込・税抜の経理方式で判定が変わります。

会計処理は当事者の状況で結論が変わるため、実際の仕訳は必ず税理士に確認してください。

NightMAの経営提言:
会計処理を誤ると、本来使える特例を逃したり、後の税務調査で否認されたりします。逆に、内訳を契約書で明確にして適正に処理すれば、減価償却で着実に節税できます。nightmaは、ナイトレジャー・飲食店のM&A、居抜き(造作譲渡)、Web支援までを一気通貫で支援し、税理士とも連携しています。売買のスキームから会計・税務まで、迷ったら一度ご相談ください。

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