飲食店の撤退基準|撤退ラインは「売却額」とセットで決まる。費用・時間軸を数字で【2026年最新】

飲食店の撤退 撤退ラインは赤字の月数では決まらず売却額とセットで決まる 飲食店の営業利益率0.34% 廃業か居抜きかで収支が逆転 解約予告を出す前だけ出口を選べる

「あと何か月赤字が続いたら、店を閉めるべきなのか」。撤退を調べ始めた経営者が、最初に答えを探すのがこの問いです。

ただ、この問いのまま調べ続けると、多くの場合ここで止まります。① 撤退を考えていると知られたくない ② 二束三文で買い叩かれるのではないか ③ そもそも自分の店に値段が付くのか——この3つです。

ですが飲食・ナイトの店舗は、内装と設備が残っている状態でこそ買い手が動きます。造作がそのまま使える店は、いま探している人にとって最も手間の少ない物件だからです。正しい順序で動けば「静かに・高く」終われます。

結論から申し上げます。飲食店の撤退ラインは、赤字が何か月続いたかでは決まりません。「撤退にいくらかかるか」と「売ればいくら戻るか」を並べた瞬間に決まります。

本記事では、飲食店の収益構造を公的統計の実数で示したうえで、撤退基準の引き方・撤退費用の内訳・売却との収支比較・逆算の時間軸を、順に解説します。バレずに高く売る手順まで含めて示します。

目次

結論|飲食店の撤退ラインは「赤字が何か月続いたか」では決まらない

撤退の判断は、損益計算書だけを見ていても出せません。後述するとおり、飲食店(法人企業)の平均営業利益率は0.34%です。平均の店がすでに利益ほぼゼロなので、「赤字なら撤退」という基準は多くの店で常に成立してしまうからです。

実務で機能する判断軸は、次の3つを同時に見ることです。

見るもの判断の内容nightmaの評価
手元資金現預金が月商の何か月分残っているか◎ 最優先。ここが尽きると出口を選べなくなる
固定費の重さ家賃を含む固定費が売上に対して重くなっていないか○ 改善余地の有無が分かる
出口の金額売却・造作譲渡でいくら回収できるか上位記事がほぼ扱っていない軸
3つ目を入れないと「撤退=出ていくお金だけ」の計算になり、判断を誤ります。

撤退は「閉める」だけではない

撤退という言葉から、多くの人は原状回復して明け渡す姿を思い浮かべます。しかし出口は1つではありません。

店を閉めて更地に戻す道と、内装ごと次の人に渡す道では、手元に残る金額の符号そのものが変わります。前者は支出、後者は収入です。

この差額は数百万円規模になります。撤退基準を考えるなら、この金額を先に把握しておかなければ計算が成り立ちません。

一次統計で見る飲食店の収益構造|FL比率67.1%・営業利益率0.34%

撤退基準を語る前に、飲食店の平均がどういう数字なのかを押さえます。ここを外すと「うちは赤字だからおかしい」という誤った前提から出発してしまいます。

以下は、中小企業庁「中小企業実態基本調査」の統計表3 売上高及び営業費用 産業中分類別表(法人企業)から、日本標準産業分類の「飲食店」を抽出し、対売上高比率を算出したものです。産業中分類別としてデータベース形式で公表されている最新分にあたる2016年度の数値です。

項目対売上高読み方
商品仕入原価22.4%合計が実質的なF(食材原価)
材料費13.0%同上
F(原材料)計35.4%通説の「原価30%」より高い
労務費(売上原価に含まれる分)1.5%合計がL(人件費)
販売費及び一般管理費のうち人件費30.2%同上
L(人件費)計31.7%ホールと厨房の人手が乗る
FL比率67.1%これが平均値だ
地代家賃6.9%FLとの合計は74.0%
水道光熱費4.2%近年は上昇圧力が強い
営業利益率0.34%月商300万円なら月1万円
中小企業実態基本調査 統計表3 産業中分類別表(法人企業)2016年度、「飲食店」より算出。
飲食店(法人企業)の売上100円の内訳 FL比率67.1% F原材料35.4% L人件費31.7% 地代家賃6.9% 水道光熱費4.2% 営業利益率0.34% 中小企業実態基本調査2016年度より算出

「FL60%以内」は目標であって平均ではない

飲食店経営でよく語られるのが「FL比率は60%以内に収める」という目安です。そして「65%を超えたら危険水域」という言い方もされます。

ところが実数を見ると、飲食店(法人企業)の平均はすでに67.1%です。危険水域とされる水準が、平均そのものだった。

つまりFL比率が65%を超えたことは、撤退を決める根拠にはなりません。それは業界平均の位置にいるという意味でしかないからです。

営業利益率0.34%が意味すること

もっと重いのが営業利益率です。0.34%は、月商300万円の店で月1万円の営業利益という水準にあたります。

この構造では、客数が数%落ちるだけで簡単に赤字へ転落します。逆に言えば、赤字であること自体は異常事態ではありません。

だからこそ、赤字の月数を撤退基準にすると判断できなくなります。見るべきは損益ではなく、資金が尽きるまでの時間と、出口で回収できる金額です。

【NightMA 専門家の視点】
この数字は2016年度のものです。2022年以降の原材料費・人件費・光熱費の上昇を踏まえると、FL比率と水道光熱費の負担が当時より軽くなっていると考える根拠はありません。

当社に売却相談で届く飲食店の実数を見ても、営業利益が薄い店が大半です。「うちだけが苦しい」と考えて判断を遅らせるのが、最も損失の大きいパターンだ。

飲食店の撤退率|「3年で7割」は一次統計で確認できるか

撤退を調べると必ず出会うのが「飲食店は1年で3割、3年で7割が潰れる」という数字です。結論として、この数字は一次統計では確認できません。

2025年版中小企業白書が示す2023年度の廃業率は全業種で3.9%、開業率も3.9%です。2024年の倒産件数は10,006件でした。

業種別の開廃業率は白書本文ではなく付属統計表に格納されており、本文に「飲食店は何パーセント」という記述はありません。流通している業種別の数字の多くは、白書本文をそのまま引いたものではないのです。

また、倒産と撤退も別物です。倒産は法的整理を指し、撤退には居抜きで造作を譲る・事業ごと売るという終わり方が含まれます。同じ「店をやめる」でも手元に残る額が違います。

廃業後の手続き自体は飲食店の廃業手続きで詳しく整理しています。本記事は「やめるかどうか」の判断に絞ります。

撤退ラインの決め方|損益ではなくキャッシュで引く

ここからが実務です。営業利益で判断できない以上、撤退ラインはキャッシュと固定費の側から引きます。次の3つを順に確認してください。

①手元資金が月商の何か月分あるか

最も重要な指標です。現預金残高を月商で割り、何か月分あるかを見ます。

ここが薄くなると、買い手を探す時間そのものが買えなくなります。売却は相手のある話なので、時間が足りないほど条件は不利になる。

撤退の意思決定において、資金の残量は「あと何か月、有利な条件を探せるか」の残り時間そのものです。

②営業キャッシュフローが連続でマイナスか

損益ではなく、実際の現金の出入りで見ます。減価償却費が大きい店は、営業利益が赤字でも現金は回っていることがあるからです。

逆に、現金が毎月確実に減っている状態が続いているなら、改善策の効果が出るまで資金が持つかを計算してください。

③家賃を含む固定費が重くなっていないか

前掲の統計では地代家賃は売上の6.9%、FLと合わせて74.0%でした。自店の比率をこの水準と比べます。

家賃比率が明らかに重い場合、売上を伸ばす以外に解決手段がありません。立地と賃料が固定されている以上、構造的な問題だからだ。

撤退ラインのセルフチェック

以下に3つ以上該当する場合、撤退か売却かの検討を実際に始める段階にあります。数を数えてください。

  • 現預金が月商の3か月分を下回っている
  • 営業キャッシュフローが3か月以上連続でマイナス
  • 家賃を含む固定費が売上に対して明らかに重い
  • 改善策を打ったが、3か月以上たっても数字が動いていない
  • 追加の借入や個人資金の投入で運転資金を埋めている
  • 賃貸借契約の解約予告期間を把握していない
  • 自店の造作・設備がいくらで売れるかを一度も調べたことがない

最後の2つは数字の問題ではなく、情報の問題です。そして撤退の成否を最も大きく左右するのが、この2つでもあります。

飲食店の撤退費用|何にいくらかかるか

撤退を決めた場合に出ていく費用を、内訳ごとに分解します。総額だけを見ても判断できないので、削れる項目とそうでない項目を分けて把握してください。

原状回復費|坪5〜15万円が目安

スケルトン返しを求められる場合、内装と設備を撤去して引き渡します。当社の相場データでは坪あたり5〜15万円が目安です。

幅が大きいのは、造作の量・階数・搬出経路・重飲食かどうかで工事量が変わるためです。ダクトや厨房設備が重い店ほど上振れします。

解約予告期間の賃料

事業用の店舗賃貸では、解約時に一定期間前の予告を求める条項が置かれるのが一般的です。予告期間中は、営業していなくても賃料が発生します。

期間の長さは契約次第です。借地借家法は建物賃貸借の基本的なルールを定めていますが、事業用店舗の予告期間は個別の契約条項で決まります。まず自分の賃貸借契約書の解約条項を開いてください。

この予告期間が、後述する時間軸の起点になります。撤退費用の中で最も見落とされ、かつ最も金額が大きくなりやすい項目です。

保証金の償却・リース残債・違約金

戻ってくると思っていた保証金が、契約上の償却条項で目減りすることがあります。当社が扱う店舗物件では、賃料2か月分程度の償却が定められている例が多く見られます。

厨房機器やPOSをリースで導入している場合、中途解約には残債の一括精算が伴うのが通常です。契約書で残回数を確認してください。

承継・買取・返却のどれを選ぶかで負担額が変わります。判断基準はリース品の処理方法で整理しています。

スタッフへの解雇予告手当

従業員を雇用している場合、労働基準法第20条により、解雇には少なくとも30日前の予告が必要です。予告をしない場合は平均賃金の30日分以上を支払います。

人数が多いほど金額が積み上がります。ここも「早く決めるほど安く済む」項目です。

10坪モデルで見た撤退費用の総額

小規模飲食店を想定し、代表的な内訳を積み上げます。実額は契約と店舗により変わるため、自店の契約書と照らして置き換えてください。

項目10坪の目安削れるか
原状回復費(坪5〜15万円)50〜150万円◎ 居抜きで譲れば不要になる
解約予告期間の賃料契約による(月額×予告月数)△ 早く動くほど無駄が減る
保証金の償却賃料2か月分程度の例が多い× 契約条項で決まる
リース残債残回数による△ 買い手が引き継ぐ場合がある
解雇予告手当平均賃金30日分×人数△ 30日前予告で回避可能
最上段の原状回復費は、売り方を変えるだけで支出から収入に転じます。

撤退費用より先に見るべきは「いくらで終われるか」

ここが本記事の核心です。撤退費用の計算だけを進めても、判断材料は半分しかそろいません。同じ店を売った場合にいくら戻るかを、必ず並べてください。

造作譲渡なら収支の符号が逆転する

内装・厨房設備・什器をそのまま次の借主に譲るのが造作譲渡です。原状回復工事が不要になるうえ、譲渡料が入ります。

当社が一次確認した実勢では、飲食店の造作譲渡料は100〜350万円が中心です。業態別では次のレンジになります。

業態造作譲渡料の目安nightmaの評価
軽飲食(カフェ・バー・スナック・テイクアウト)100〜200万円○ 設備が軽く買い手の裾野が広い
カラオケ・パブ・スナック(実績平均)168.6万円○ ナイト系は当社の主戦場
重飲食(中華・焼肉)200〜400万円超◎ ダクト・排気が効くほど高く出る
設備が新しい・好立地・大型500万円以上の例あり◎ 上限は立地と設備で決まる
設備が古い・郊外・不要什器が多い0円(無償譲渡)もある△ それでも原状回復費は消える
業者慣行の概算式は「月額家賃 ÷ 坪数 = 坪単価、その60〜100倍」です。詳細は造作譲渡の相場で解説しています。

あなたの店が上限と下限のどちらに振れるかは、①設備の年式と稼働状態 ②業態と内装の汎用性 ③ビルの用途制限と貸主の承諾 ④立地の集客力、の4点で決まります。

この4点は書面と現地で確認できる項目です。つまり、店を閉める前であれば、いま時点の金額を知ることができます。

すでに借入の返済が重い段階なら、自己破産せずに畳む方法も並べて検討してください。売却で作れる回収額が、そのまま保証債務の整理条件に効いてきます。

撤退を決める前に改善の余地を測りたい場合は、飲食店の経営は立て直せるかを先に読んでください。赤字がFLR側で出ているのか、削れる費目で出ているのかで結論が変わります。

売ると決めたあとの進め方は飲食店を高く売るにはにまとめました。解約予告を出す前かどうかで、成約率が35ポイント変わります。

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事業譲渡なら営業利益の1〜数年分

造作だけでなく、営業許可・顧客・スタッフ・取引先ごと引き渡すのが事業譲渡です。評価の対象が資産から収益力に変わります。

小規模飲食の公開案件では、営業利益の1〜数年分、金額にして数百万円から1,000万円台が中心帯です。年商3,500万円・営業利益500万円の焼肉店が900万円で成約した例は、営業利益の約1.8年分にあたります。

黒字であること、オーナーがいなくても回ること、許認可がクリーンであることが評価を押し上げます。逆に、赤字・属人性が強い・許認可に問題がある店は評価が付きにくい。

飲食店営業許可は、事業譲渡なら承継できる

ここが競合の解説記事でほぼ触れられていない論点です。廃業すれば食品衛生法にもとづく営業許可は消滅し、次に使う人が取り直します。

一方、同法第56条により、事業譲渡の場合は譲り受けた側が許可営業者の地位を承継できます。買い手にとって、許可の取り直しが不要な店は明確に価値が高い。

ただし運用には条件があります。東京都保健医療局の案内では、次のとおり整理されています。

論点東京都の案内の内容実務インパクト
対象令和5年12月13日以降に行われた事業譲渡それ以前の譲渡は承継不可
範囲営業の全部を譲渡する場合に限る一部区画だけの譲渡には適用されない
事前相談譲渡人が保健所に事前に相談する退去日が確定してからでは間に合わない
添付書類譲渡の事実と意思が確認できる契約書・覚書契約書の作り込みが必要
承継後保健所が施設の業務の状況を調査衛生管理の責任も承継される
出典:東京都保健医療局「事業譲渡による営業許可・届出の地位の承継について」。厚生労働省の事業譲渡に関するリーフレットも参照。

注目すべきは「事前相談」です。許可を承継させる形で売るなら、退去日を決める前に動き出す必要があります。

3つの出口を並べて比較する

ここまでの数字を1枚に並べます。同じ店でも、選ぶ出口によって手元に残る金額の符号が変わることを確認してください。

出口手元に残る金額営業許可必要な時間nightmaの評価
廃業して原状回復−50〜150万円(10坪)消滅する短い△ 最後の手段。時間切れの結果になりやすい
居抜き(造作譲渡)+100〜350万円買い手が新規取得◎ 小規模・スピード重視ならここ
事業譲渡(M&A)営業利益の1〜数年分承継できる長い◎ 黒字・法人・スタッフごと渡せるなら最上位
4つの選択肢の比較は店舗売却の方法、居抜きの実務は居抜き売却で詳述しています。
同じ10坪の飲食店で出口を変えた比較 廃業して原状回復はマイナス50〜150万円 居抜き造作譲渡はプラス100〜350万円 事業譲渡M&Aは営業利益の1〜数年分で食品衛生法56条により営業許可を承継できる

「いま売る」と「1年続けて閉める」を並べる

撤退の判断で最も抜けやすいのが、続けた場合の累積損失を金額にしていない点です。撤退費用だけを見ていると、続けることが無料に見えてしまいます。

10坪・月商300万円で、月20万円の赤字が続いている店を仮に置きます。この店が取り得る2つの道を、1年後の時点で比較します。

項目いま居抜きで売る1年続けてから閉める
1年間の累積赤字0円−240万円(月20万円×12)
造作譲渡料+100〜350万円0円(原状回復で明け渡し)
原状回復費0円(買い手が引き継ぐ)−50〜150万円
解約予告期間の賃料買い手の入居時期次第で圧縮できる満額発生する
1年後の差390〜740万円(累積赤字+譲渡料+原状回復費)
数値は前掲の相場をあてはめたモデルです。自店の月次赤字額と坪数で置き換えてください。

差額の大きさより重要なのは、この差が時間の経過だけで開いていく点です。赤字は毎月積み上がり、設備は毎月古くなります。

そして資金が尽きた時点で、居抜きも事業譲渡も選べなくなります。選択肢は、資金が残っているうちにしか買えません。

【提言】
撤退費用の見積もりを取る前に、造作と事業の査定を取ってください。順序が逆だと、比較対象がないまま解体工事を発注することになります。

見積もりは無料で取れます。金額を知ってから決めても、何も失いません。

撤退の時間軸|解約予告を出した瞬間に選択肢が消える

撤退で最も多い失敗は、判断の遅れではなく順序の誤りです。解約予告を先に出してしまうと、その時点で売却という出口が実質的に閉じます。

買い取り業者に売る前に|仲介との違い

撤退を検索すると、店舗の買い取りを掲げる業者が数多く表示されます。仕組みの違いを理解してから相談先を選んでください。

買い取り業者は自社で買い、次の借主に転売します。手数料は無料でも、買値と転売値の差額が業者の利益になる。つまり売り手の手取りは、その差額分だけ削られます。

nightmaは仲介です。複数の買い手候補に水面下で当て、条件を競わせて価格を引き上げます。店名を伏せたノンネームで進めるため、従業員や取引先に知られずに進行できます。

許認可の承継や貸主の承諾といった詰まりやすい部分は、提携の行政書士と連携して解きます。M&A・居抜き・造作譲渡の3つを扱っているため、店の状況に応じて出口を選べる点も違いです。

解約予告から逆算するスケジュール

時間軸は、賃貸借契約の解約予告期間を起点に組みます。予告期間が長いほど、売却に使える時間も長く取れます。

タイミングやることここを逃すと
解約予告を出す前造作・事業の査定を取る/契約書の解約条項とリース残債を確認売却という出口が消える
査定の直後撤退費用と売却額を並べ、出口を決める比較なしで解体を発注してしまう
出口を決めた後買い手探し/貸主への打診/保健所への事前相談許可の承継が使えなくなる
買い手が決まった後譲渡契約書の作成/地位承継の届出/引き渡し書類不備で承継が認められない
引き渡し後税務署等への届出
最上段が全体を決めます。ここだけは順序を入れ替えられません。
飲食店の撤退の時間軸 解約予告を出す前に造作と事業の査定を取る 出口を決めた後に買い手探しと保健所への事前相談 順序を誤ると売却という出口が消える

予告期間から逆算した具体的な月次スケジュールは、居抜きで退去するタイミングで10〜12か月前からの組み方まで解説しています。撤退すると決めた後の動き方は、そちらを参照してください。

すでに解約予告を出してしまった場合

退去日までに時間が残っていれば、造作譲渡は成立し得ます。次の借主が決まれば、原状回復義務が消える可能性があるからです。

ただし貸主の承諾が前提になります。残り時間が短いほど条件は不利になるため、判明した時点ですぐ動いてください。

撤退を決めたあとの手続き

出口を決めたあとは、届出の実務に移ります。保健所・税務署で期限が異なり、混同されやすい部分です。

保健所への廃業届、税務署への個人事業の開業・廃業等届出書、給与支払事務所等の廃止届出書は、それぞれ提出先も期限も違います。詳細は飲食店の廃業手続きにまとめました。

売却で終える場合は、造作譲渡契約書の条項が後のトラブルを左右します。設備の範囲・瑕疵の扱い・貸主の承諾の取り方は造作譲渡契約書で解説しています。会計処理は造作譲渡の仕訳を参照してください。

よくある質問

撤退の相談で実際に多い質問を、5つに絞ってまとめます。数字の根拠は本文で示したとおりです。

飲食店の撤退ラインは、どこに置くべきですか?

赤字の月数だけでは決まりません。中小企業実態基本調査(2016年度)で飲食店(法人企業)の営業利益率は0.34%、FL比率は67.1%です。

平均の店がすでにほぼ利益ゼロなので、「赤字が続いたら」という基準は多くの店で常時成立してしまいます。実務では、手元資金が月商の何か月分あるか、営業キャッシュフローが連続でマイナスか、家賃を含めた固定費が売上に対して重くなっていないか、の3点で引きます。

そのうえで、売却でいくら回収できるかを並べて判断してください。

飲食店の撤退費用は、いくらかかりますか?

主な内訳は原状回復費・解約予告期間の賃料・保証金の償却・リース残債・スタッフへの解雇予告手当です。当社の相場データでは原状回復は坪あたり5〜15万円が目安で、10坪なら50〜150万円です。

これに解約予告期間の賃料が加わります。予告期間は契約書によるため、まず自分の賃貸借契約書の解約条項を確認してください。

総額は店の規模と契約内容で大きく変わります。

「飲食店は3年で7割が潰れる」というのは本当ですか?

一次統計では確認できません。2025年版中小企業白書が示す2023年度の廃業率は全業種で3.9%、2024年の倒産件数は10,006件です。

業種別の開廃業率は白書本文ではなく付属統計表に格納されており、本文に「飲食店は何パーセント」という記述はありません。「1年で3割・3年で7割」は民間調査由来で、調査主体や定義がまちまちです。

他店の平均より自店の数字で判断してください。

撤退を決めてから売却まで、どのくらい時間がかかりますか?

買い手探しから引き渡しまで、居抜きの造作譲渡でも数か月単位を見ておく必要があります。加えて、事業譲渡で飲食店営業許可を承継する場合は、東京都の案内では譲渡人が保健所へ事前に相談することとされています。

つまり退去日が確定してからでは間に合いません。解約予告を出す前に動き始めるかどうかで、選べる出口の数が変わります。

撤退するとき、飲食店営業許可はどうなりますか?

廃業すれば許可は消滅し、次に使う人が取り直すことになります。一方、食品衛生法第56条にもとづき、事業譲渡なら譲り受けた側が許可営業者の地位を承継できます。

東京都の案内では、令和5年12月13日以降の譲渡が対象で、営業の全部を譲渡する場合に限られます。営業の一部の譲渡には適用されません。

承継後は保健所が施設の業務の状況を調査します。

撤退の費用を見積もるときは、保証金がいつ戻るかも同時に確認してください。返還の条件は明け渡しと引き渡しの違いで条文まで遡って整理しています。

まとめ|撤退ラインは、売却額を知って初めて引ける

本記事の要点を整理します。

第一に、飲食店(法人企業)の平均はFL比率67.1%・営業利益率0.34%です。赤字が続いていること自体は、撤退の根拠になりません。

第二に、撤退ラインは手元資金・営業キャッシュフロー・固定費の重さで引きます。そのうえで、売却で回収できる金額を必ず並べてください。

第三に、廃業なら10坪で50〜150万円の支出、居抜きなら100〜350万円の収入です。同じ店で、符号が逆転します。

第四に、事業譲渡なら飲食店営業許可を承継できます。ただし営業の全部譲渡に限られ、譲渡人が保健所へ事前に相談する必要があります。

第五に、これらの選択肢はすべて解約予告を出す前にしか選べません。判断の遅れより、順序の誤りのほうが損失が大きい。

NightMAの経営提言:
撤退を調べている段階なら、まだ間に合います。解約予告を出す前であれば、居抜きも事業譲渡も選べるからです。

逆に、退去日が確定してからでは買い手を探す時間がありません。同じ店なのに、数百万円の差がここで生まれます。

nightmaは飲食店・ナイト店舗のM&A、居抜き(造作譲渡)、Web支援までを一気通貫で扱い、許認可は提携の行政書士と連携します。まず「いくらで終われるか」を知ってから、撤退を判断してください。

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