居抜き・造作譲渡のトラブル事例と対策|売り手・買い手が揉める12のポイントを専門解説【2026年最新】

「居抜きで譲り受けた厨房が、オープン直前にまったく動かなかった」。「造作代を払ったのに、貸主に『そんな話は聞いていない』と止められた」。

こうした相談は、居抜き・造作譲渡の現場で後を絶ちません。

結論から申し上げます。居抜き・造作譲渡のトラブルは、その大半が「契約書・付帯設備表・引渡確認書」の不備から生まれます。

逆に言えば、揉めるポイントは型が決まっており、民法・風営法の正しい理解と数枚の書類で9割は防げます。

この記事では、売り手・買い手の両面から、よくあるトラブル12選と法的根拠、ナイト業態特有の注意点、予防の実務までを、ナイトレジャーM&A仲介nightmaの視点で解説します。

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目次

なぜ居抜き・造作譲渡はトラブルが起きやすいのか

居抜き・造作譲渡が揉める3層×四者構造 貸主は賃貸借と承諾 売り手は造作の譲渡 買い手は許可の取り直し リース会社は所有権と残債 不動産の賃貸借と動産の造作譲渡と営業の許認可の3層

居抜き・造作譲渡が揉めるのは、ひとつの取引に見えて、性質の違う3つの契約が同時に動くからです。

「建物を借りる賃貸借」「内装・設備を買う造作譲渡」「営業に必要な許認可」。この3層が絡み、さらに当事者が増えるため、認識のズレが生まれます。

「不動産の賃貸借」と「動産の譲渡」は別契約

居抜きは、建物を借りる賃貸借契約と、内装・設備を買う造作譲渡契約が、まったく別の契約です。

この2つを混同すると、「物件は借りられたのに造作代で揉める」「造作は買ったのに退去時の原状回復で揉める」という事態になります。

造作譲渡そのものの定義は造作譲渡とはで詳しく解説しています。

貸主・売り手・買い手・リース会社の”四者関係”

居抜き・造作譲渡は、貸主・売り手(旧借主)・買い手(新借主)の三者に、リース会社が加わる「四者関係」になりがちです。

誰か一人の承諾が抜けるだけで、取引全体が止まります。特に貸主の承諾とリース品の処理は、見落とすと致命傷です。

リース品が含まれる場合の処理は居抜き・造作譲渡のリース品処理で解説しています。

ナイト業態は設備と許認可が絡んで複雑化する

スナック・バー・キャバクラなどのナイト業態は、音響・照明・カラオケ・防音といった設備と、風営法・深夜酒類提供の許認可が絡みます。

一般の飲食店より論点が多く、「設備は揃っているのに営業を始められない」というトラブルが起きやすいのが現実です。

よくあるトラブル事例12選【売り手・買い手別】

実際のトラブルは、売り手側・買い手側で起きやすいものが分かれます。

まず全体像を早見表で押さえ、後の章で法的根拠と対策に落とし込みます。

売り手(閉店・退去側)に多いトラブル

売り手は「撤退コストを抑えたい」一心で進めた結果、後から責任を問われるパターンが目立ちます。次の6つが代表例です。

トラブル何が起きるか防ぐ書類・対策NightMAの評価
①設備故障のクレーム引渡し後に「動かない」と修理費を請求される現況確認書・免責特約を設備単位で明記記録があれば防げる
②譲渡対象の認識相違「厨房一式」のはずが一部しか残さず紛争譲渡対象一覧・除外一覧で型番・数量を特定一覧表が最強の証拠
③リース品を含めて約束所有権がない物を譲渡し回収トラブル付帯設備表でリース品を明示(リース処理最重要・要切り分け
④貸主承諾なしで破談無断譲渡で賃貸借契約を解除されるリスク貸主承諾を先行取得(貸主承諾承諾が停止条件
⑤原状回復で揉める居抜き退去のはずがスケルトン返しを要求される賃貸借契約の確認・退去時期の逆算(退去タイミング数百万の分岐点
⑥造作代の未払い賃貸借だけ先に進み造作代を回収できない契約書で支払時期・方法を明記(契約書入金確認まで引渡さない

買い手(開業・取得側)に多いトラブル

買い手は「すぐ営業できる」と思い込んだ結果、開業遅延や営業不能に陥るパターンが多くなります。こちらも6つに整理します。

トラブル何が起きるか防ぐ書類・対策NightMAの評価
⑦設備故障で開業遅延排水・排気・空調が引渡し後に不良で休業引渡し当日の試運転・引渡確認書オープン日が飛ぶ
⑧譲渡漏れ必要な設備が撤去されていた譲渡対象一覧・写真台帳で事前確認追加工事費が発生
⑨所有権のない設備エアコン等が大家または第三者の所有だった所有権確認・付帯設備表引渡し後に撤去も
⑩許可を引き継げると誤解前店の風営法許可で営業できると思い込む許認可DD(営業者単位・後述)営業不能の地雷
⑪悪臭・漏水・排気不良開業後に発覚し近隣クレーム・休業現況確認書・通水通電試験ナイトで多発
⑫ナイト設備の評価で揉める音響・VIP内装の価値認識がズレる転用可能性で査定(相場投下費用≠価値

【NightMA 専門家の視点】
12のトラブルは、つまるところ「四者の誰かの認識が書面化されていない」ことに集約されます。実務の現場では、口頭合意のまま金銭を授受し、後から「言った・言わない」で泥沼化する事例が頻繁に起きています。揉めたときに勝敗を分けるのは、契約書本文よりも、付帯設備表・写真台帳・メール履歴・貸主承諾書という「記録」です。

トラブルの法的根拠を知れば9割防げる

居抜き造作譲渡トラブルを止める5つの法的根拠 民法562から566条契約不適合責任 民法621条原状回復義務 民法612条無断譲渡の禁止 商法526条買主の検査通知義務 風営法第3条第7条許可は営業者単位

トラブルの多くは、感情論ではなく民法・商法・風営法の条文で説明できます。

根拠を押さえれば、どの書類で何を守るべきかが明確になります。ここが競合記事との最大の差です。

設備不良・譲渡漏れは「契約不適合責任」(民法562〜566条)

造作譲渡は、内装・什器・厨房機器などの動産売買として、民法562条以下(e-Gov)の契約不適合責任の枠組みで整理されます。

引き渡された設備が「種類・品質・数量」で契約に適合しない場合、買主は追完請求(562条)、代金減額(563条)、損害賠償・契約解除(564条)を主張できます。

注意すべきは通知期間です。種類・品質の不適合は、買主が知った時から1年以内に通知しないと責任追及が制限されます(566条)。

「現況有姿・現状のまま引渡し」「設備の不具合は免責」という特約自体は、BtoBでは一般に設定できます。

ただし、売主が知っていた重大な不具合を隠した場合や、保証の記載と矛盾する場合は、免責の効力が争われます。設備単位で「何を保証し、何を保証しないか」を明文化することが鉄則です。

原状回復は民法621条・無断譲渡は民法612条

賃借人は、賃貸借終了時に通常損耗・経年変化を除いて原状回復義務を負います(民法621条)。

居抜きで退去できると思っていても、貸主が承諾していない限り、原状回復義務が当然に消えるわけではありません。

さらに、賃借権の無断譲渡・無断転貸は、貸主からの契約解除リスクを招きます(民法612条)。

売り手・買い手の間で「原状回復は買い手負担」と決めても、その効力は当事者間にとどまります。貸主に対抗するには、貸主承諾書か新しい賃貸借契約への明記が必要です。

法人間は「引渡し当日に検査・通知」(商法526条)

法人どうし(商人間)の造作譲渡では、買主に検査・通知義務が課されます(商法526条(e-Gov))。

引渡し後に長期間放置してから不具合を主張すると、買主が不利になります。

だからこそ、引渡日当日に試運転・通電・写真撮影・チェックリスト署名まで終えるのが実務の鉄則です。法と現場は、ここで直結します。

風営法の許可は「承継前提」で考えてはいけない(第3条・第7条)

最も重い地雷が、許認可の誤解です。風俗営業の許可は、営業者が営業所ごとに受けるもので、店舗の構造設備が同じでも、買い手に当然承継されません(風営法第3条(e-Gov))。

つまり「造作譲渡が成立した=すぐ営業できる」ではありません。買い手は、自ら新規の許可・届出を取り直す前提で動く必要があります。

例外的に承継できるのは、相続(第7条)、法人の合併(第7条の2)、法人の分割(第7条の3)という、法律上の特則がある場合に限られます。

通常の造作譲渡・居抜き売買は、この特則に当たりません。許可申請の実務は警視庁の風俗営業許可申請案内、解釈は警察庁の解釈運用基準が一次情報です。

【提言】
買い手は、物件契約や造作代の支払いの「前」に、自分の業態で許可が取れる物件かを確認してください。用途地域・構造設備・欠格事由を満たさない物件をつかむと、造作代を払った後で営業できないという最悪の事態になります。許可は買い手が取り直す前提で、開業スケジュールに申請期間を織り込むのが安全です。

売り手がやるべき対策

売り手の鉄則は「出した後に蒸し返されない状態」をつくることです。

記録と承諾を先に固め、責任の範囲を書面で確定させます。

譲渡対象一覧・除外一覧・写真台帳をつくる

何を譲り、何を譲らないかを、型番・数量・設置位置まで一覧化します。1設備1番号で写真台帳とリンクさせると、認識相違をほぼ消せます。

除外品は赤字や別表で明示し、「一式」という曖昧な言葉を使わないことが重要です。

リース・保守契約を棚卸しする

製氷機・POS・音響・カラオケ・通信回線などは、リースや保守契約が付いていることが多くあります。

所有権が自分にない物は譲渡できません。リース品の承継・買取・返却の判断はリース品の処理で解説しています。

「現況有姿・免責」の書き方を誤らない

免責特約は有効に設定できますが、万能ではありません。知っている不具合を隠せば、後で効力が否定されます。

「現況有姿で引渡す」とだけ書くのではなく、不具合箇所を現況確認書に列挙したうえで免責する、という順序が安全です。

貸主交渉を”先行”させる

造作譲渡の可否、原状回復の帰属、新賃借人への切替は、貸主の承諾が前提です。

金銭の授受より先に、貸主承諾を取り付けてください。承諾の取り方は貸主の承諾で詳しく解説しています。

買い手がやるべき3つのDD(デューデリジェンス)

買い手の鉄則は、契約前に「設備・権利・許認可」の3点を、それぞれ独立して確認することです。

どれか一つでも欠けると、開業遅延や営業不能に直結します。

設備DD(試運転・付帯設備表・引渡確認書)

譲渡対象の設備を、引渡し前に試運転します。通電・通水・空調・排気・照明・音響まで、実際に動かして確認します。

結果は引渡確認書に記録し、双方で署名押印します。引渡し当日の確認が、後の契約不適合の主張を支えます。

権利DD(所有権・リース・第三者権利)

各設備の所有権が、本当に売り手にあるかを確認します。エアコン・給湯器・看板などは、大家やリース会社の所有であることが珍しくありません。

付帯設備表で所有者とリースの有無を明示し、第三者の権利が付いた物を譲り受けないようにします。

許認可DD(風営法・深夜酒類・消防・用途地域)

自分の業態で営業できる物件かを、契約前に確認します。風営法の許可、深夜酒類提供の届出、消防法令適合、用途地域が論点です。

許可は買い手が取り直す前提で、申請期間を開業スケジュールに織り込みます。風営法の許可は居抜き物件の選び方でも、引き継げない理由を解説しています。

ナイトレジャー業態で特に注意すべきトラブル

ナイト業態は、一般飲食店より設備と許認可の比重が高く、評価と責任分界が難しくなります。

ここを押さえると、競合の一般論記事との情報密度が一気に変わります。

音響・照明・カラオケ・防音設備

DJ機材・照明卓・アンプ・カラオケ・防音扉・換気設備は、故障時の営業インパクトが大きい設備です。

リースや保守契約が付いていることも多く、所有権の確認が欠かせません。引渡し後すぐにクレーム化しやすい領域です。

ボトル棚・VIPルーム・内装造作は”転用可能性”で査定する

ボトル棚・VIPルーム・シャンデリア・業態特化サインは、同業態への転用なら価値が出ます。

しかし、バー・ラウンジ・クラブと業態が変わると、価値が急落します。売り手は「投下したコスト」ではなく「次の借り手にとっての転用可能性」で査定すべきです。

風営法・深夜酒類提供・消防との関係

居抜きで受けた後に、「防音が足りず近隣クレーム」「照度やレイアウトが許可の前提とズレる」「換気や避難導線が想定業態に合わない」という問題が起こり得ます。

設備の現況が、許可の前提条件を満たすかまで確認することが、ナイト業態のDDです。

【NightMA 専門家の視点】
ナイト業態の造作は、見た目の豪華さと資産価値が一致しません。500万円かけたVIP内装でも、業態を変える買い手には価値ゼロのこともあります。逆に、許可前提を満たす防音・換気・レイアウトは、数字に見えにくいのに譲渡価値を大きく左右します。nightmaは、ナイトレジャーの実勢から「転用可能性ベース」の査定を行っています。

トラブルを防ぐ「4点セット」の書類とチェックリスト

トラブルを防ぐ4点セットの書類 造作譲渡契約書 付帯設備表 現況確認書 引渡確認書 買い手の3つのDD 設備DD 権利DD 許認可DD

競合記事は「契約書を作りましょう」で止まりがちです。

しかし実務では、性質の違う4つの書類を分けて作らないと守り切れません。

造作譲渡契約書・付帯設備表・現況確認書・引渡確認書

それぞれの書類が果たす役割は異なります。次の表のとおり、4点セットで初めて穴がなくなります。

書類主な記載項目守れるトラブルNightMAの評価
造作譲渡契約書当事者・代金・支払時期・契約不適合の範囲・貸主承諾を停止条件・破談時処理代金未払い・免責・破談取引の骨格
付帯設備表品名・型番・数量・設置位置・所有者・リース有無・稼働状況・故障箇所所有権・リース・故障最強の証拠
現況確認書平面図・通電通水試験・臭気漏水振動・許認可前提の特記設備不良・悪臭漏水引渡前の写し絵
引渡確認書引渡日時・鍵本数・受領物・当日稼働結果・未了項目と是正期限開業遅延・責任分界当日に署名必須

売り手・買い手別チェックリスト

自分の立場で、契約前に何を確認すべきかをチェックしてください。

売り手(閉店・退去側)
  • 譲渡対象一覧・除外一覧を型番・数量つきで作成した
  • リース品・保守契約を棚卸しし、付帯設備表に明示した
  • 不具合箇所を現況確認書に列挙したうえで免責特約を設定した
  • 金銭授受の前に貸主承諾を取り付けた
  • 造作代の入金確認まで引渡しを保留する条項を入れた
買い手(開業・取得側)
  • 引渡し当日に全設備の試運転をし、引渡確認書に署名した
  • 各設備の所有権・リースの有無を付帯設備表で確認した
  • 自分の業態で許可が取れる物件か(用途地域・構造設備)を確認した
  • 風営法・深夜酒類・消防の手続き期間を開業スケジュールに織り込んだ
  • 排水・排気・空調・防音の現況を通水通電試験で確認した
ナイト業態で追加確認
  • 音響・照明・カラオケ・防犯設備の所有権とリースを確認した
  • ボトル棚・VIP内装を「転用可能性」で評価した
  • 防音・換気・避難導線が許可の前提を満たすか確認した

仲介を入れると回避できるトラブル

当事者だけで進めると、価格・責任分界・貸主調整・破談処理が曖昧になりがちです。

第三者の仲介が入ると、これらを書面で固め、揉めごとの芽を先に摘めます。

責任分界の書面化・貸主調整・破談時の損失最小化

仲介は、譲渡対象・免責・支払条件・引渡条件・破談時の返金や違約金を、具体的なトラブルと結びつけて書面化します。

貸主との承諾調整や、リース承継のスケジュール統制も、当事者間より進めやすくなります。

nightmaは、ナイトレジャー・飲食店のM&A(事業譲渡)居抜き・造作譲渡、Web支援までを一気通貫で扱います。規模やスピードに応じて、最適な出口を設計します。

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まとめ:トラブルは「契約書・付帯設備表・DD」で9割防げる

居抜き・造作譲渡のトラブル対策の要点を、最後に整理します。

第一に、トラブルは「不動産の賃貸借」「動産の譲渡」「許認可」が別物として絡むことが原因です。多くは付帯設備表・契約書・引渡確認書で防げます。

第二に、法的な軸は民法562〜566条(契約不適合責任)・民法621条(原状回復)・民法612条(無断譲渡)・商法526条(検査通知)、そして風営法の許可は営業者単位で買い手に承継されない、という4点です。

第三に、ナイト業態は設備と許認可が複雑です。設備は転用可能性で査定し、買い手は設備・権利・許認可の3つのDDを徹底することが、トラブル回避と高値取引の両立につながります。

NightMAの経営提言:
居抜き・造作譲渡のトラブルは、知識と書類で「型」を押さえれば、その大半が未然に防げます。逆に、口約束と思い込みで進めれば、数百万円の損失や営業不能という致命傷を負いかねません。nightmaは、ナイトレジャー・飲食店のM&A、居抜き(造作譲渡)、Web支援までを一気通貫で支援しています。売却・買収・退去でトラブルを避けたい方は、契約や金銭授受の前に、一度ご相談ください。

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