「もうこのバーを畳もうと思う。でも、閉めるだけでいくらかかるのか見当もつかない」。そう感じて検索された方は少なくありません。
バーは小箱が多く、キャバクラのような大箱と違って閉店費用の桁は小さいものの、原状回復の特約しだいで持ち出しが一気に膨らむのが現実です。
結論から申し上げます。下北沢の15坪バーをスケルトン返しで閉めると、費用総額は250〜560万円規模に達することがあります。
ですが、同じ店を居抜きで渡せれば、カウンターや酒棚がそのまま造作譲渡代金に変わり、マイナスをゼロ〜プラスにできます。
この記事では、原状回復・解約予告家賃・リース残債・深夜酒類提供の廃止届まで、バー閉店費用の内訳を実額で分解します。そのうえで費用を相殺する出口を、ナイトレジャーM&A仲介のnightmaが解説します。
バー閉店費用の全体像|まず総額の目安を知る

バーの閉店費用は、結論として10〜20坪の小箱で「200〜560万円」が目安になります。キャバクラの中〜大箱(数百万〜1,000万円超)とは桁が違い、構造はスナックの小箱に近いものです。
なぜこのレンジに収まるのか。まず全体像を押さえてください。
10〜20坪バーの閉店費用は「200〜560万円」
閉店費用は、原状回復・解約予告家賃・リース残債・人件費・廃業手続きの合計です。バーはこのうち原状回復と解約予告家賃が主柱で、人件費は小さく収まります。
別の見方をすれば、飲食店の閉店費用は「賃料の6〜10か月分」が一つの目安とされます(店舗そのまま買取)。15坪・家賃37.5万円なら225〜375万円。ここに内装の特約や人員の数が乗って上下します。
費用構造そのものは小箱で共通するため、同じ小箱の比較としてスナック閉店費用の記事もあわせて参考にしてください。
バーが「キャバクラと違う」3つのポイント
バーの閉店費用がキャバクラより読みやすいのには、明確な3つの理由があります。ここがバー特有の構造です。
| ポイント | バーの実態 | nightmaの評価 |
|---|---|---|
| 内装はカウンター主体 | VIP・ステージ・防音が少なく原状回復が軽い | 坪単価は下限側に寄りやすい |
| 人員は少数 | バーテンダー1〜3名で最終人件費が小さい | キャバ最大の地雷が小さい |
| 深夜酒類は「届出」 | 1号許可の返納でなく廃止届で足りる | 行政手続きが軽い |
【NightMA 専門家の視点】
バー閉店で資金計画を崩す最大の原因は、原状回復の「特約」です。居抜きで安く入った店ほど、契約書に「退去時はスケルトンに戻す」と書かれていることが多く、借りた時は空っぽだったのに、出る時だけ数百万円の解体費を負わされる。この特約の有無を、解約通知を出す前に必ず確認してください。
原状回復費|バーは「カウンター主体」で読みやすいが特約に注意
閉店費用の最初の柱が原状回復費です。結論として、バーはスケルトン返しで坪5〜10万円、15坪なら75〜150万円規模が目安です。カウンター主体で造作が少ないぶん、キャバクラより読みやすいレンジです。
軽飲食のスケルトン坪単価は5〜10万円
まず基準を押さえます。飲食店のスケルトン原状回復は坪4〜8万円が目安で、軽飲食ならこのレンジに収まります(飲食店買取りJP ・BC工事 2025年時点)。
バーはダクトや厨房設備が小さく、内装も作り込みが浅いため、坪単価は下限側に寄りやすい業態です。15坪なら75〜150万円を見込んでおけば大きく外れません。
「居抜きで入った店」ほどスケルトン返しが重い
注意すべきは、居抜きで入居したバーです。借りた時点では前の店の造作がそのまま残っていても、契約書に「退去時はスケルトンに戻す」特約があれば、自分が作っていない内装まで解体する義務を負います。
実際、退去時の負担は「一部補修なら50万円、スケルトン返しなら450万円」と桁が変わる試算もあり(BC工事)、大家からスケルトン費用を高額請求された事例も報告されています。事業用の賃貸借では、このスケルトン返し特約は「通常損耗まで借主負担と明確に定められ、借主がその内容を認識していた」場合に有効とされ、原則そのまま効きます。借りた時の状態は関係ありません。
この特約があると、坪単価が読みやすいはずのバーでも、想定外の解体費が乗ります。原状回復の概念と特約の有効性はスケルトン渡しと居抜き渡しの違いで詳しく整理しています。
15坪バーの原状回復はいくらか
これらを踏まえ、バーのスケルトン返しの原状回復費を坪数別に整理します(坪単価は各出典の相場、総額は本記事のモデル試算)。
| 坪数・仕様 | 坪単価(モデル) | 原状回復費(モデル) | nightmaの評価 |
|---|---|---|---|
| 10坪・カウンターのみ | 坪5〜8万円 | 約50〜80万円 | 軽装ならこのレンジ |
| 15坪・カウンター+ボックス | 坪5〜10万円 | 約75〜150万円 | 小箱バーの標準 |
| 20坪・内装作り込み | 坪7〜12万円 | 約140〜240万円 | 造作が多いと上限側 |
解約予告・違約金・工事期間中の賃料
原状回復費の次に重いのが、賃貸借契約に紐づく費用です。結論として、バーは家賃そのものは小さくても、解約予告期間の家賃が原状回復に並ぶ second の柱になります。
解約予告は3〜6か月前が一般的
事業用の賃貸借契約では、解約予告期間を3〜6か月前と定めるのが一般的です(店舗買取り.com)。繁華街のナイトビルでは6か月前予告も珍しくありません。
15坪・坪2.5万円なら家賃37.5万円。解約予告が3〜6か月なら、家賃だけで112〜225万円の負担になります。バーの閉店費用で原状回復に並ぶのが、この「空家賃」です。
工事期間中も家賃は止まらない
注意すべきが工事期間中の賃料です。小箱の原状回復工事でも2〜4週間はかかり、その間も家賃は発生し続けます。
営業をやめても、解約予告期間と工事期間の家賃を、収入ゼロのまま払い続ける。これが二重負担の正体です。退去時期の逆算は居抜きで退去するタイミングで解説しています。
保証金からの相殺と返還
退去時には、預けた保証金から未払い賃料・違約金・原状回復費を差し引いた残額が返還されます。保証金が厚いほど、居抜きで原状回復を回避できたときの返還額も大きくなります。賃貸借の承継論点は賃貸借契約と店舗譲渡で整理しています。
製氷機・ビールサーバー・POSのリース残債
見落とされやすいのがリース残債です。結論として、バーは製氷機・生ビールサーバー・POS・決済端末などのリース機器が中途解約で20〜80万円の一括負担になり得ます。
リース中途解約の基本構造
リース契約を期間内に解約すると、残存期間分のリース料を一括請求されるのが原則です。精算額は「残月数 × 月額リース料 + 規定損害金」が基本です。途中でやめても、契約期間分の支払いから逃れられないのがリースの本質です。
バーのリース機器モデル
バーは製氷機・生ビールサーバー・グラスウォッシャー・POSレジ・決済端末・Wi-Fiなどをリースで導入しているケースが多い業態です。
1台あたり月額数千〜2万円×残月数で計算すると、機器の数だけ残債が積み上がります。合計20〜80万円規模になるケースは珍しくありません(本記事のモデル試算)。新オーナーへ名義変更(債務引受)できれば、この負担を軽減できる可能性があります。リース品の処理全般は居抜き・造作譲渡でリース品はどうするで解説しています。
少人数バーの人件費と「見落としやすい」精算
ここがバー閉店費用の特徴です。結論として、バーは少人数経営のため最終人件費は30〜60万円規模に収まり、キャバクラのような数千万円の未払いリスクは小さくなります。
バーテンダー中心なら人件費は小さい
バーはマスター+バーテンダー1〜2名という少人数経営が中心です。雇用しているスタッフがいる場合、労基法20条により30日前の予告か平均賃金30日分の解雇予告手当が必要です。
月給25〜30万円のスタッフ1〜2名分なら、解雇予告手当は30〜60万円規模。キャバクラの最終人件費(300〜600万円)とは桁が違い、ここがバー閉店の負担を軽くしています。
見落としやすいのは「業務委託バーテンダー」
ただし注意点があります。業務委託として時給で入っているバーテンダーでも、シフトを店が決めて時間拘束・指揮命令があれば、実態として労働者と判断されることがあります。
閉店時に未払い分があると、後からトラブルになり得ます。少人数だからと油断せず、最終月の給与・シフト分は閉店告知の前に清算原資を確保しておくのが安全です。
行政・法務|深夜酒類提供は「廃止届」(1号許可の返納は不要)
バーの閉店には行政手続きが伴いますが、結論として、深夜酒類提供飲食店営業は「届出」のため、キャバクラの1号許可のような許可証返納は不要で、廃止届の提出で足ります。
保健所(飲食店営業)の廃止届
まず保健所へ、飲食店営業の廃止届を提出します。営業許可は店舗に紐づくため、廃業時は速やかに届け出ます。
深夜酒類提供飲食店営業の「廃止届出書」
深夜0時以降に酒類を提供するバーは、深夜における酒類提供飲食店営業の届出をして営業しています。これは風営法第33条に基づく「届出」であり、許可ではありません。
廃業時は、廃止の日から10日以内に廃止届出書を所轄警察署(生活安全課)へ提出します。キャバクラの風営1号許可と違い、許可証・標章の返納という重い手続きはありません。届出制ゆえに行政手続きが軽いのが、バーの大きな利点です。
なお、接待を伴う形態(ガールズバー等)で1号許可を取っている場合は、許可証返納が必要です。詳しい手順は風営法の廃業届(廃止届出)で解説しています。
法人の解散・清算登記費用
法人で運営している場合、解散・清算の登記が必要です。登記費用は解散・清算人選任・清算結了で計約41,000円、官報公告が3〜4万円で、最低7〜8万円程度です。税理士・司法書士へ依頼すれば報酬として数十万円が加わります。
在庫(酒・ボトルキープ)と残置物の処分費
最後の費用項目が在庫と残置物の処分です。結論として、バーは備品が比較的少なく不用品処分は10〜30万円規模ですが、酒在庫やボトルキープの扱いには注意が必要です。
不用品処分の相場
飲食店の閉店では不用品処分に10〜30万円を見込むのが一般的です。バーはグラス・ボトル棚・家具が中心で処分量は少なめですが、原状回復の解体費とは別に発生します。
ボトルキープ・売掛金の扱い
バー固有の論点がボトルキープと売掛(ツケ)です。ボトルキープは客から代金を前受けした「前受金的な性格」を持ちます。返金・最終来店での飲み切り・他店への引き継ぎといった選択肢を、閉店告知の前に決めておくべきです。
酒・備品を現金化してマイナスを圧縮
処分する前に、現金化できる資産を洗い出してください。未開封の酒在庫は買取業者へ、製氷機・サーバー・カウンター什器は中古買取業者へ売却できます。そして最も価値が残るのが、カウンターや酒棚を含む内装造作です。これを次の借主へ譲渡できれば、処分費どころか造作譲渡代金が手に入ります。ここが次章の出口戦略です。
【実額】下北沢15坪バーの閉店費用シミュレーション

ここまでの内訳を、実額の総額として組み立てます。結論として、下北沢15坪バーはスケルトン返しで250〜560万円、居抜き渡しなら造作代でマイナスを大きく圧縮できます。
下北沢15坪・家賃37.5万円|スケルトン返しケース
坪2.5万円・家賃37.5万円の小箱を前提にしたモデル試算です(金額は各出典の相場、合計は本記事の試算)。
| 費用項目 | 金額(モデル) | 根拠 |
|---|---|---|
| 原状回復費 | 75〜150万円 | 坪5〜10万円 |
| 解約予告家賃 | 112〜225万円 | 3〜6か月分 |
| リース残債 | 20〜80万円 | 契約内容次第 |
| 最終人件費 | 30〜60万円 | 少人数・解雇予告手当 |
| 不用品処分・廃業手続き | 15〜45万円 | 一般相場+登記 |
| 合計イメージ | 約250〜560万円 | モデル試算 |
同条件|居抜き渡しケース
同じ店を、次の借主へ居抜きで渡せた場合です。
| 費用項目 | 金額(モデル) | 根拠 |
|---|---|---|
| 原状回復費 | 0〜30万円 | 解体不要 |
| 解約予告家賃 | 圧縮(後継者へ引き継ぎ) | 早期成約で軽減 |
| リース残債 | 名義変更で軽減 | 引き継ぎ可 |
| 造作譲渡代金 | +50〜300万円 | カウンター・酒棚・什器 |
| 合計イメージ | 造作代でマイナスを相殺し、プラスも | モデル試算 |
覚悟すべきゾーンと分岐点
整理すると、下北沢15坪バーの閉店費用は、スケルトン返しなら250〜560万円のマイナス、居抜き渡しなら内装が造作代に変わり、撤退費を相殺してプラスも狙えるゾーンに分かれます。
分岐点は2つです。賃貸借契約に「現状有姿で明渡し可」の余地があるか。そして、買い手を見つけられるか。この差が、小箱バーでも数百万円単位で開きます。
バーの倒産・閉店動向と「先延ばしほど損が増える」構造
ここで時間軸の話をします。結論として、2026年現在バーを含む夜業態の倒産は急増しており、赤字で粘るほど営業損失+閉店費用が二重に膨らみます。
2026年、バー・ナイトクラブの倒産は急増
東京商工リサーチによると、2026年1月の飲食業倒産は92件で、過去30年で最多でした。なかでも「バー・キャバレー・ナイトクラブ」は11件と前年同月比83.3%増です(東京商工リサーチ 2026年2月発表)。
倒産の91.3%が資本金1,000万円未満の小規模事業者です。小箱のバーで閉店を考えること自体は、決して特別なことではありません。
赤字で粘ると損が二重に膨らむ
問題は、赤字を抱えたまま粘ったときの構造です。毎月の営業損失が積み上がり、その間も家賃・リース料という固定費が出ていきます。そして閉める段階で、原状回復・解約予告家賃・リース残債が一度に顕在化します。
粘った月数分の損失と、変わらない閉店費用。この2つが同時にのしかかります。さらに居抜きで売れるはずだった内装も、設備が古びるほど造作価値が下がります。撤退は早いほど、残せる価値が大きいのです。
【提言】
「もう少し頑張れば持ち直すかも」と粘る前に、いまの内装に造作価値が残っているうちに出口を検討してください。バーの内装は時間とともに古び、造作で売れる金額も下がります。赤字の垂れ流しと内装価値の目減りは、待つほど両方が進みます。
居抜き売却・造作譲渡で「閉店費用をゼロ〜プラス」にする

ここまでの費用を、どう圧縮するか。結論として、居抜き売却・造作譲渡を使えば、カウンターや酒棚がそのまま造作代金に変わり、閉店費用を相殺してプラスに転じます。
バーの内装は「次のバー」が欲しがる
バーの内装は、閉店時には「撤去費がかかる厄介物」ですが、居抜きなら「次の借主が欲しがる資産」に変わります。
カウンター・バックバー・製氷機・シンク・空調がそろっていれば、次にバーやスナックを開く買い手は、新規内装に数百万円かける代わりに、造作譲渡で安く居抜き取得できます(バーの居抜き売却)。だからバーは居抜き需要が高い業態なのです。造作譲渡の相場は造作譲渡の相場で解説しています。
「払う側」から「受け取る側」への転換
具体的なインパクトを示します。下北沢15坪バーなら、スケルトン返しで原状回復75〜150万円の持ち出し。居抜き渡しなら原状回復ゼロ+造作代50〜300万円。
その差は150〜450万円。捨てるはずだった内装が、退去時の現金に変わります。実際、解約通知を出す前に居抜き売却を選ぶことで解体費をゼロにし、手元にお金を残して撤退する方法があります(飲食店ドットコム)。出口の設計がすべてを決めます。詳しい売却の進め方は居抜き売却の完全ガイドを参照してください。
閉店ではなく「売却」という選択肢
なお、内装だけでなく営業権ごと売る選択肢もあります。常連客・立地・営業実績に価値があるバーなら、造作譲渡より高い金額で事業ごと売却できることもあります。閉店費用を払って消滅させる前に、いくらで売れるのかを一度確認すべきです。売却価格の決まり方はバー売却の完全マニュアルで解説しています。
NightMAの経営提言:
バーの閉店は、「いくら払って終わるか」ではなく「カウンターの価値をいくら残して終わるか」の勝負です。内装をスケルトンで叩き壊せば数百万円の持ち出し、居抜きで次のバーへ渡せば造作代として現金に変わる。小箱だからこそ、この差が手残りを左右します。nightmaは、ナイトレジャー・飲食店のM&A、居抜き(造作譲渡)、Web支援までを一気通貫で扱い、閉店費用を最小化し、残せる価値は残す出口を設計します。解体業者を呼ぶ前に、一度ご相談ください。
まとめ:バー閉店は「カウンターの価値」を残せるかで変わる
バーの閉店費用について、要点を整理します。
第一に、下北沢15坪バーをスケルトン返しで閉めると、原状回復・解約予告家賃・リース残債で総額250〜560万円規模になります。主柱は原状回復と空家賃で、人件費は小さく収まります。
第二に、深夜酒類提供は「届出」のため、廃止届の提出で足り、キャバクラの1号許可のような許可証返納は不要です。行政手続きが軽いのがバーの利点です。
第三に、カウンター・酒棚・什器は、居抜きで渡せば造作譲渡代金に変わります。スケルトンで叩き壊せば数百万円の持ち出し、居抜きで売れば造作代でプラスも狙える。出口の設計で、結果は大きく変わります。
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