「店をたたむことにしたが、警察に何を出せばいいのか分からない」
「許可証はどうすればいいのか。出さずに放置したら、後で何か問題になるのか」
このように、廃業時の手続きが分からず不安を抱える方は少なくありません。
結論から申し上げます。風営法の廃業手続きは、許可営業なら「許可証の返納」、届出営業なら「廃止届出書」で、どちらも10日以内が原則です。
そして2026年現在、この手続きを怠ると罰則の対象になり得るうえ、許可は廃業で消えてしまうため、出す前に売却や承継で回収できないかを確認しないと、店の価値をみすみす捨てることになります。
この記事では、ナイト業界専門のM&A仲介として許可と運営の実態を見てきた立場から、許可営業と届出営業の手続きの違い・期限・提出先・許可証の返納・死亡や相続や法人解散・滅失特例・出さないリスク・そして廃業前に確認すべき回収余地までを、条文と警察公式情報をベースに一気通貫で解説します。
まず結論|「廃業届」は許可営業と届出営業で手続きが違う
店内の写真3枚+業態・エリアを送るだけ。来店不要・スタッフや大家にバレず・24時間以内に概算をお返しします。LINEで写真査定する →

風営法の廃業手続きで最初に押さえるべきは、「廃業届」と一言でいっても、許可営業か届出営業かで提出するものが違うという事実です。
ざっくり言えば、許可を取って営業していた店は「許可証の返納」、届出だけで営業していた店は「廃止届出書」を出します。どちらも10日以内で、提出先は管轄の警察署です。
自店がどちらに当たるかで、出す書類が変わります。まずは全体像を表で押さえてください。
| 区分 | 主な業態 | やめるとき出すもの | 根拠条文 | nightmaの評価 |
|---|---|---|---|---|
| 許可営業 | 風俗営業1〜5号(キャバ・スナック・クラブ等)・特定遊興飲食店 | 許可証の返納(返納理由書=別記様式第12号+許可証) | 法第10条・第10条の2 | 許可が消える。返納前に回収余地の確認が鉄則 |
| 届出営業 | 深夜酒類提供飲食店・店舗型性風俗特殊営業等 | 廃止届出書 | 法第33条第2項(深夜酒類)等 | 様式は都道府県で異なる。期限厳守 |
風俗営業(1〜5号)をやめるとき|許可証の返納
風俗営業や特定遊興飲食店をやめるときの中心は、許可証の返納です。「廃業届」という名前の届出ではなく、許可証を返すことが法的な手続きになります。
ここを誤解している方が多いのですが、許可営業の廃業は「許可証の返納」が本体です。何を・いつまでに・どこへ返すかを正確に押さえてください。
何を・いつまでに・どこへ(返納理由書=様式第12号)
風俗営業をやめたときは、返納理由書(別記様式第12号)に許可証を添えて、管轄の警察署に返納します。警視庁の様式一覧でも、返納理由書は別記様式第12号として公表されています。
期限は、大阪府警が示すとおり、返納する理由が生じた日から10日以内です。提出先は、主たる営業所を管轄する警察署(生活安全課)です。
返納理由書には、返納の理由となった事由を記載します。京都府警の記載要領によれば、法第10条第1項各号・第3項各号、特定遊興飲食店営業については法第10条の2の各号に規定された事由を記載します。つまり、許可営業の廃業の根拠は法第10条・第10条の2系統です。
「変更届(第9条)」と混同しない
ここで注意したいのが、法第9条との混同です。法第9条は、営業所の構造や設備を変更するときの承認・届出を定めた規定で、廃業の手続きではありません。
店をやめるとき(廃業)は第10条系統の返納、店の作りを変えるとき(変更)は第9条の手続き、と覚えてください。両者は別物です。
設備や店名の変更手続きについては、別記事でも解説しています。廃業ではなく変更を考えている場合は、そちらを確認してください。
許可証を紛失・汚損した場合
「許可証をなくしてしまった」というケースもあります。この場合でも、返納の手続き自体は必要です。
許可証を返納できない事情があるときは、その旨を返納理由書に記載するなど、所轄の指示に従って対応します。紛失したからといって手続きを放置してよいわけではありません。早めに管轄警察署へ相談してください。
【NightMA 専門家の視点】
廃業の現場で最も多い誤解が、「店を閉めれば自動的に許可は消える」という思い込みです。実際には、許可証を返納するという能動的な手続きをして初めて、行政上のけじめがつきます。返納せずに放置すると、後述するように罰則の対象になり得るだけでなく、同じ人物が次に許可を取ろうとしたときや、信用が問われる場面で、過去の不始末が尾を引きます。やめると決めたら、10日以内の返納まで含めて「廃業」です。
深夜酒類提供飲食店など「届出営業」をやめるとき
届出だけで営業していた店をやめるときは、許可証の返納ではなく「廃止届出書」を提出します。代表例が、深夜酒類提供飲食店営業です。
許可営業と違い、こちらは廃止届出書という届出を出すのが手続きの本体です。
深夜酒類提供飲食店営業を廃止したときは、廃止の日から10日以内に、廃止届出書を管轄の警察署に提出します。愛知県警も、廃止したときは廃止の日から10日以内に廃止届出書を提出するよう案内しています。
この廃止届出は、法第33条第2項を根拠とするものとして扱われています。深夜酒類提供飲食店の届出の全体像は「深夜酒類提供飲食店営業の届出」で詳しく解説しています。
なお、廃止届出書の様式番号は都道府県によって異なります。また、店舗型性風俗特殊営業や店舗型電話異性紹介営業なども、それぞれ廃止届出書の提出が必要です。自店の業態の様式は、必ず管轄警察署で確認してください。
営業者の死亡・相続・法人解散のときは誰が届け出るか

廃業は、営業者本人が手続きできるとは限りません。営業者が亡くなった場合や、法人が解散・合併した場合は、誰が手続きをするのかが問題になります。
このとき、返納義務を負う人が法令で定められています。放置すると、残された家族や法人に義務が残ります。
営業者が死亡したとき
個人で許可を受けていた人が死亡した場合、許可証の返納義務は、同居の親族または法定代理人が負います。大阪府警も京都府警も、この点を公式に案内しています。
つまり、「店をやっていた人が亡くなったから、そのままにしておこう」は通用しません。同居の親族などに返納義務が生じ得るため、相続が発生したら、廃業の手続きも忘れずに進める必要があります。
なお、相続人が営業を引き継いで続ける場合は、廃業ではなく相続による承継の手続きになります。続けるのか、やめて返納するのかで、進む手続きが分かれます。承継については「風営法の許可承継・引き継ぎ」で解説しています。
法人が解散・合併したとき
法人が合併で消滅した場合、返納義務者は、合併後に存続する法人または合併で設立した法人の代表者です。大阪府警がこの点を明示しています。
法人の解散・清算に伴って店を閉じる場合も、許可証の返納が必要です。死亡や法人関係の返納場面は、法第10条第3項側に整理されています。法人をたたむときは、清算手続きとあわせて風営法の返納も忘れないでください。
営業所の「滅失」は廃業と別物【滅失特例】
火災や震災、建物の取り壊しなどで営業所そのものがなくなった場合は、自分の意思でやめる任意廃業とは別の扱いになります。これを滅失特例といいます。
風営法には、営業所の滅失に関する特例規定があります。警察庁の解釈運用基準でも、営業所の滅失による特例について、「当該風俗営業を廃止した日」とは営業所が滅失した日をいうと解説されています。
つまり、火災・震災・除却などによる滅失は、滅失した日を基準に法的効果が整理されます。自分の判断で店を閉じる任意廃業と、建物が物理的になくなる滅失とでは、次の許可・再建・店舗の同一性判断まで含めて別論点として扱う必要があります。
営業所が滅失したときは、通常の廃業と同じ感覚で進めず、滅失特例を踏まえて管轄警察署に相談してください。
廃止届・返納を出さないとどうなるか
「もう店を閉めたのだから、わざわざ手続きしなくてもいいのでは」と考える方もいます。しかし、返納や廃止届を怠ることには、明確なリスクがあります。
返納や届出を怠ると、罰則の対象になり得ます。京都府警も、営業をやめたのに返納しない場合について、届出を怠ると罰則がある場合があると公式に警告しています。
加えて、手続きの不備は将来にも影響します。同じ人物が次に許可を申請するときや、事業者としての信用が問われる場面で、過去の廃業手続きの不始末がマイナスに働き得ます。これは明文の規定というより、実務上の現実です。
許可営業の返納懈怠と、届出営業の廃止届懈怠とで、罰則の細部は異なり得ますが、いずれも「出さなくていい」ものではありません。やめると決めたら、10日以内に必ず手続きを済ませてください。違反全般のリスクは「風営法違反のリスク」もあわせて確認してください。
【NightMA独自】廃止届を出す前に確認すべき”3つの回収余地”

ここからが、一般的な手続き記事が踏み込まない領域です。廃業届・返納は、出した瞬間に許可が消えます。許可が消えれば、その許可を前提とした価値はゼロになります。
だからこそ、返納の前に「この店、本当に捨てるしかないのか」を一度立ち止まって確認すべきです。回収できる余地は、主に3つあります。
- 居抜き:内装・設備をそのまま次のテナントへ譲り、原状回復費を抑えつつ造作代を回収できないか
- 造作譲渡:店舗ごとではなく、什器・設備だけでも譲渡して現金化できないか
- 許可承継・事業譲渡:許可を持つ店として、買い手に引き継いで売却できないか
「廃業か売却か」をどう判断するかは、別記事「風俗店の廃業か売却か(出口戦略)」で詳しく解説しています。本記事はあくまで手続きの解説ですが、返納の前にこの判断を挟むかどうかで、回収できる金額が大きく変わります。
NightMAの経営提言:
廃業届は、事業の最後のけじめです。だからこそ、出す順番を間違えないでください。先に許可証を返納してしまえば、許可を前提とした売却の道は閉じます。逆に、返納の前に居抜き・造作譲渡・許可承継を検討すれば、「捨てるはずだった店」が現金に変わることは珍しくありません。2026年、店をたたむオーナーに最後に伝えたいのは、「やめる」と「捨てる」は違う、ということです。手続きは正確に、しかし回収できるものは回収してから、けじめをつけてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 風営法の廃業届は、いつまでに出せばよいですか?
許可営業(風俗営業1〜5号・特定遊興飲食店)は、返納する理由が生じた日から10日以内に、返納理由書(別記様式第12号)に許可証を添えて管轄警察署に返納します。深夜酒類提供飲食店などの届出営業は、廃止の日から10日以内に廃止届出書を提出します。いずれも10日以内が原則です。
Q. 許可証をなくしてしまいました。返納できませんが大丈夫ですか?
許可証を紛失しても、返納の手続き自体は必要です。返納できない事情を返納理由書に記載するなど、管轄警察署の指示に従って対応します。紛失を理由に手続きを放置すると、後で罰則や信用の問題につながり得るため、早めに所轄へ相談してください。
Q. 店をやっていた人が亡くなりました。誰が手続きしますか?
個人で許可を受けていた人が死亡した場合、許可証の返納義務は同居の親族または法定代理人が負います。相続人が営業を引き継いで続ける場合は、廃業ではなく相続による承継の手続きになります。続けるのか、やめて返納するのかで進む手続きが分かれます。
Q. 居抜きで次のテナントに譲りたいのですが、先に廃業届を出すべきですか?
順番に注意が必要です。許可証を返納すると許可は消えるため、許可を前提とした承継・売却の道は閉じます。居抜き譲渡・造作譲渡・許可承継で回収できる可能性があるなら、返納の前に検討すべきです。手続きを急ぐ前に、回収余地を確認することをおすすめします。
Q. 廃業届を出さずに放置したら、どうなりますか?
返納や廃止届を怠ると、罰則の対象になり得ます。京都府警も、届出を怠ると罰則がある場合があると公式に警告しています。加えて、同じ人物が次に許可を取るときや信用が問われる場面で、過去の手続きの不備がマイナスに働き得ます。やめると決めたら必ず手続きを済ませてください。
店舗のお悩み、nightmaに無料相談
ナイトビジネス専門のM&A仲介・居抜き・造作譲渡・Web集客支援。風営法の許可や手続きは、提携の行政書士と連携してサポートします。LINEの友だち追加でお気軽にどうぞ。
LINEで無料相談する →※ しつこい営業はありません
まとめ
風営法の廃業手続きは、許可営業と届出営業で形が違います。風俗営業(1〜5号)・特定遊興飲食店は、返納理由書(別記様式第12号)に許可証を添えて返納します(法第10条・第10条の2系統)。
深夜酒類提供飲食店などの届出営業は、廃止届出書を提出します(法第33条第2項等)。いずれも返納事由・廃止の日から10日以内、管轄警察署が提出先です。
営業者が死亡したときは同居の親族や法定代理人に返納義務が生じ得ます。営業所が火災等で滅失したときは滅失特例として任意廃業と別に扱われます。返納や届出を怠ると罰則の対象になり得るため、放置は禁物です。
そして、許可は返納で消えます。出す前に、居抜き・造作譲渡・許可承継で回収できないかを必ず確認してください。nightmaは、廃業手続きの整理から、許可を活かした居抜き・M&A・造作譲渡まで支援します。やめる前に一度、回収余地を相談してください。
