「店の内装を改装したいが、警察への手続きが必要なのか分からない。承認がいるのか、届出でいいのか、それとも何もいらないのか。承認前に工事を始めてしまったらどうなるのか。」
このように感じている方は少なくありません。
結論から申し上げます。風営法の設備変更は「変更承認申請(事前承認が必要)」「軽微な変更届出(事後届出で足りる)」「届出不要」の3つに分かれ、自店の工事内容がどれに当たるかを先に判定することが最重要です。
そして最大の落とし穴は、承認が必要な工事を「承認前に着工してしまう」ことです。無承認の構造設備変更は風営法第50条第1項第1号で1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、行政処分でも最も重いA量定(原則は許可取消し)に位置づけられます。
nightmaは警察庁・各都道府県警の公的情報と、行政書士提携の実務知見、そしてM&A・事業承継の現場データを照合し、設備変更の判断から手続き・罰則・M&A時の実務までを一気通貫で解説できる立場にあります。
この記事では、設備変更の3分類、変更承認申請が必要なケース、軽微な変更届出、届出不要のケース、手続きの流れ、必要書類・費用、無断工事の罰則、そしてM&A・居抜き買収後の改装実務まで、徹底的に公的根拠で解説します。
風営法の設備変更は3つに分かれる

結論から述べると、風営法の設備変更は「変更承認申請(事前)」「軽微な変更届出(事後)」「届出不要」の3つに分かれ、まずこの判定が出発点です。
変更承認申請が必要な変更(事前)
営業所の構造又は設備を変更する場合、軽微な変更を除いて、あらかじめ公安委員会の承認を受けなければなりません(警視庁 構造及び設備の承認申請)。
「あらかじめ」がポイントで、工事を始める前に承認を得る必要があり、承認前に変更部分の営業はできません。
軽微な変更届出で足りる変更(事後)
照明設備や家具の入替えなど軽微な変更は、事前承認は不要で、変更後に届出書を提出すれば足ります。
ただし届出期限があり、通常は1か月以内、照明・音響・防音設備の変更は10日以内と短いため、期限管理が重要です。
届出不要の変更
同一規格・同性能の設備への単純な交換や、軽微な破損箇所の原状回復などは、届出すら不要なケースがあります。
下表は、工事・変更内容別の早見表です。
| 工事・変更内容 | 手続き | タイミング | nightmaの評価 |
|---|---|---|---|
| 客室の位置・数・床面積の変更 | 変更承認申請 | 工事前 | 典型的な承認対象 |
| 間仕切り・壁・ふすまの変更 | 変更承認申請 | 工事前 | 客室区画に直結 |
| 大規模修繕・大規模模様替え | 変更承認申請 | 工事前 | 建築基準法の概念が絡む |
| 営業方法に係る構造設備の変更 | 変更承認申請 | 工事前 | 承認対象 |
| 小規模の修繕・模様替え | 軽微な変更届出 | 原則1か月以内 | 事後届出 |
| 家具・自販機の設置・入替え | 軽微な変更届出 | 1か月以内 | 事後届出 |
| 照明・音響・防音設備の変更 | 軽微な変更届出 | 10日以内 | 期限が短い |
| 同一規格・同性能の交換 | 届出不要 | 不要 | 例外として明記 |
【NightMA 専門家の視点】
2026年現在、設備変更で最も多い事故は「これくらいの改装なら手続きはいらないだろう」と自己判断して着工してしまうことです。客室の床面積や間仕切りに少しでも触れる工事は、ほぼ承認対象です。判断に迷ったら、必ず工事前に所轄警察署の生活安全課へ相談してください。判定を誤ると、後述する許可取消し級の処分リスクを負います。
そもそも自店に風営法の許可が必要かどうか、許可の全体像から確認したい方は、風営法の許可とは何かを解説した完全ガイドが詳しいです。

変更承認申請が必要になるケース
結論から述べると、客室の区画や面積に影響する変更は、ほぼすべて事前の変更承認申請が必要です。
大規模の修繕・模様替えとは
営業所の大規模な修繕・大規模な模様替えは、変更承認申請の対象です。
これは建築基準法上の「大規模の修繕・模様替え」の概念が絡み、主要構造部の一種以上について行う過半の修繕・模様替えなどが該当し得るため、規模が大きい工事は承認対象と考えるのが安全です。
客室の位置・数・床面積の変更
客室の位置、数、または床面積を変更する工事は、典型的な承認対象です。
客室面積は許可の構造設備基準に直結するため、面積が変わる変更は実査(現場検査)の対象にもなります。
間仕切り・壁・ふすまの変更
壁やふすまなどを用いて営業所の内部を仕切るための設備の変更も、変更承認申請が必要です。
間仕切りの追加・撤去は客室区画に直結し、見通しの確保という風営法の構造要件に影響するため、承認なしには変更できません。
営業方法に関わる構造設備の変更
営業の方法の変更に係る構造又は設備の変更も、承認対象です。
たとえばカウンター中心の営業からボックス席中心へ変えるような、営業方法に紐づく構造変更がこれに当たります。
客室の床面積や見通しといった構造設備の基準そのものは、風営法1号許可の完全ガイドで詳しく解説しています。

軽微な変更届出で足りるケース
結論から述べると、客室区画に影響しない設備の入替えなどは、事前承認は不要で、事後の軽微な変更届出で足ります。
小規模の修繕・模様替え
営業所の小規模な修繕や模様替えは、軽微な変更として届出で足ります。
ただし「小規模」かどうかは判断が分かれる場合があるため、迷ったら所轄に確認するのが安全です。
家具・自販機の設置や入替え
食器棚その他の家具、飲食物の自動販売機の設置・入替えは、軽微な変更届出の対象です。
これらは客室の構造そのものを変えないため、事後届出で足ります。
照明設備・音響設備・防音設備の変更
照明設備、音響設備、防音設備の変更も軽微な変更ですが、届出期限が他より短く10日以内です。
照明はとくに、客室の照度(風営法の構造要件)に関わるため、設備を変えたら速やかに届け出る必要があります。
1か月以内と10日以内の違い
軽微な変更届出の期限は、変更内容によって異なります。
小規模修繕・家具・自販機などは原則1か月以内、照明・音響・防音設備は10日以内です。この期限の違いを混同して照明変更を1か月放置すると、届出義務違反になります。
なお、設備ではなく店舗の管理者が変わった場合は、別途、管理者変更届が必要です。期限・必要書類・罰則は風営法の管理者変更届出ガイドが詳しいです。

届出不要になるケース
結論から述べると、設備を元と同じ規格・性能で交換するだけなら、届出すら不要なケースがあります。
軽微な破損箇所の原状回復
壁紙の張り替えや軽微な破損箇所の原状回復など、構造設備の同一性を保つ範囲の工事は、届出不要とされる場合があります。
同一規格・同性能の設備更新
照明器具を同じ明るさの同等品に交換する、音響設備を同性能のものに入れ替えるなど、規格・性能が変わらない更新は届出不要のケースがあります。
ただし、明るさや配置が変わると照度要件に影響するため、「同一」と言えるかは慎重に判断します。
見通しを妨げない椅子・テーブル配置変更
椅子やテーブルの配置替えは、見通しを妨げない範囲であれば、構造変更には当たらず届出不要です。
逆に、配置によって見通しを妨げる状態になると、構造要件違反の問題が生じ得ます。
変更承認申請の手続きの流れ

結論から述べると、変更承認申請は「工事前の所轄相談 → 申請 → 受理 → 着工 → 工事完了 → 実査 → 承認通知 → 営業再開」という順で進めます。
工事前の所轄相談
まず工事を始める前に、所轄警察署の生活安全課に改装案と図面を持参して相談します。
承認対象か軽微な変更かの判断、必要書類、図面の作り方を事前に確認することで、差戻しを防げます。
受理後に着工できるタイミング
変更承認申請書を提出し、受理されてから工事に着工するのが原則です。
承認前に工事を既成事実化することは認められず、受理→着工の順序を守ることが重要です。
工事完了後の実査と承認通知・営業再開
工事完了後に現場検査(実査)を受け、問題がなければ承認通知を受け取ってから、変更部分の営業を再開できます。
行政書士の実務解説でも、立会検査で問題がなければ承認通知まで約10日という流れが示されています。承認前は変更に関わる部分の営業ができないため、改装が営業の中核なら売上空白が生じる点に注意が必要です。
変更承認申請の必要書類・図面・費用
結論から述べると、変更承認申請は変更承認申請書・営業方法書・使用権原疎明書類・図面が中心で、手数料は9,900円が公的案内の主流です。
変更承認申請書・営業方法書・使用権原疎明書類
中心となるのは変更承認申請書で、これに営業方法書、使用権原を疎明する書類(賃貸借契約書写し等)を添付します。
平面図・周囲略図・求積図
変更後の営業所の平面図、周囲略図、客室の求積図、照度図などの図面が必要です。
図面は実査で現況と照合されるため、現況と一致した正確な図面を用意することが差戻し防止の鍵です。
手数料の考え方と地域差
変更承認申請の手数料は、公的手数料表では9,900円の例が多く、静岡県・山口県・神奈川県などで確認できます。一方、千葉県警の表では9,000円とされ、古い資料や地域・時点差の可能性があります(千葉県警 手数料)。
下表は、設備変更に関わる費用の整理です。
| 費目 | 金額 | 出典の階層 | nightmaの評価 |
|---|---|---|---|
| 変更承認申請の手数料 | 9,900円(主流)/9,000円も | 公的手数料表 | 申請前に最新額を要確認 |
| 軽微な変更届出 | 手数料項目なし=無料とみられる | 公的資料上 | 徴収項目の明示なし |
| 許可証書換申請 | 1,500円(千葉は1,200円) | 公的手数料表 | 記載事項変更時 |
| 行政書士報酬 | 5万〜15万円程度 | 業界相場 | 図面作成込みで変動 |
承認前に工事してしまった場合

結論から述べると、承認が必要な構造変更を無承認で行うことは、刑事罰・行政処分のいずれでも最も重く扱われ、許可取消し級のリスクを負います。
無断変更の罰則
承認を受けずに構造設備を変更した場合の罰則は、風営法第50条第1項第1号により、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはこれを併科です(風営法 e-Gov)。
なお、従来「1年以下の懲役」と説明されてきましたが、法改正により現行法令では「拘禁刑」が正確な表現です。
営業停止・許可取消しリスク
行政処分の面では、構造・設備の無承認変更は警察庁の量定基準で最も重いA量定に位置づけられ、原則は許可取消しに相当します(警察庁 行政処分の量定基準)。
軽減される場合でも2か月以上6か月以下の営業停止命令となり得ます。これは軽微な変更届出義務違反(F量定・基準7日)とは比較にならない重さです。「届出漏れ」と「無承認変更」を同列に考えてはいけません。
実務上の初動対応
万一、承認前に工事を進めてしまった場合の初動は、まず工事を止めること、次に図面と現況を確定すること、そして所轄警察署へ速やかに事前相談することです。
放置や隠蔽は事態を悪化させます。違反類型ごとの行政処分の詳細は、別記事の風営法違反ガイドで解説しています。
無承認変更を含む違反類型ごとの行政処分の量定基準・営業停止・許可取消しの詳細は、風営法違反の完全ガイドが詳しいです。

都道府県で運用が変わる理由
結論から述べると、変更承認申請の必要書類や手数料、運用は都道府県警によって微妙に異なるため、必ず営業所がある所轄に確認します。
警視庁・道府県警の案内差
警視庁、各道府県警は、それぞれ公式サイトで承認申請・軽微変更届出の様式と必要書類を案内していますが、求められる添付書類や図面の様式に差があります。
手数料も9,900円・9,000円・許可証書換1,500円・1,200円など、地域・時点で差が見られます。
事前相談で確認すべきポイント
事前相談では、①自店の工事が承認申請か軽微届出か不要か、②必要書類と図面の様式、③手数料の最新額、④承認のリードタイム(実査後8〜10日が目安)の4点を確認すると、後の手戻りを防げます。
M&A・居抜き買収後の改装で注意すべき点
結論から述べると、M&Aや居抜きで店舗を取得してすぐ改装したい場合でも、承認対象工事が混ざると即着工・即営業はできず、承認待ちの売上空白を投資判断に織り込む必要があります。
買収後すぐ改装する場合の段取り
居抜き・M&A後の改装は、クロージング後にすぐ工事へ入るのではなく、まず許可図面と現況の一致確認、次に所轄相談、その後に変更承認申請という順番で進めるのが原則です。
変更承認申請は実地調査後も8〜10日程度の目安期間があり、承認前は変更部分の営業ができないため、買収後の家賃・人件費・機会損失まで含めて投資判断すべきです。
図面と現況の不一致がDDで問題になる理由
前オーナーが無断で構造変更しており、許可図面と現況が一致しない店舗を取得すると、その変更が承認対象なら第9条第1項違反として評価されるリスクを引き継ぎます。
M&Aのデューデリジェンスでは、許可証だけでなく、許可申請時図面・変更承認申請や軽微変更届出の履歴・現況平面図・工事履歴を突合し、前オーナーの無断変更がないかを確認することが重要です。買い手・融資先・共同投資家が共通して嫌うのは、図面と現況のズレがある店舗です。
変更手続き管理が出口価値を守る理由
無断構造変更が買収後に発覚すると、行政処分リスク(A量定・許可取消し級)だけでなく、売主に対する表明保証違反・補償請求・価格調整の論点に発展し得ます。
逆に、図面整備と変更手続きがきれいな店舗は、法令違反リスク・営業停止リスク・追加是正コスト・立ち上がり遅延リスクが低いため、DD通過率と価格維持に寄与します。
【NightMA 専門家の視点】
M&Aで風営許可付き店舗を扱うとき、私たちが必ず確認するのが「許可図面と現況が一致しているか」です。前オーナーが無断で間仕切りを足していたり客室面積を変えていたりすると、買い手は「改装前提の取得」のはずが「違反是正案件の取得」に変わり、想定外の営業停止・是正コストを抱えます。図面と手続きがきれいな店舗ほど、買収後の改装計画も組みやすく、再売却時の説明コストも低い。日頃の変更手続き管理が、最終的な店舗価値を守ります。
居抜き・M&Aで店舗を取得する際の許可の引き継ぎ(承継)の可否や手続きの全体像は、風営法に基づく許可の承継とM&Aの完全ガイドが詳しいです。

店舗の改装(構造設備の変更)とは別に、屋号(店名)を変える場合は記載事項の変更届出が必要です。期限10日・書換1,500円・罰則まで網羅した風営法の店名変更の完全ガイドが詳しいです。

照明を落とす演出目的の改装が、通常飲食店を2号(低照度飲食店)に変えてしまうことがあります。照度基準と許可区分の関係は風営法2号の完全ガイドが詳しいです。

半個室化やパーテーション増設といった内装変更が、一般飲食店を後発的に3号(区画席飲食店)に変えてしまうことがあります。改装と許可区分の関係は風営法3号の完全ガイドが詳しいです。

遊技機の無承認変更はA量定の重大違反です。検定・認定・変更承認や、店舗の構造設備変更との関係は風営法4号の完全ガイドが詳しいです。

改装で間仕切りや客室を変えると、申請図面と現況がずれて無承認変更を疑われます。図面と現況を一致させる重要性は風営法の図面の完全ガイドが詳しいです。

まとめ|設備変更は「3分類の判定」と「事前承認の順守」が本丸
2026年現在、風営法の設備変更で最も重要なのは、自店の工事が「変更承認申請(事前)」「軽微な変更届出(事後)」「届出不要」のどれに当たるかを、着工前に正確に判定することです。
客室の位置・数・床面積、間仕切り、大規模修繕は変更承認申請(工事前・手数料9,900円が主流)。小規模修繕・家具・自販機は軽微届出(1か月以内)、照明・音響・防音は軽微届出(10日以内)。同一規格の交換は届出不要です。
そして最大のリスクは、承認が必要な工事を無承認で着工することです。無承認の構造変更は風営法第50条第1項第1号で1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、行政処分でもA量定(原則は許可取消し、軽減でも2〜6か月の営業停止)と、軽微届出漏れ(F量定・7日)とは比較にならない重さです。
M&Aや居抜き買収後の改装でも、承認対象工事は即着工・即営業ができず、承認待ちの売上空白が生じます。図面と現況の一致を保ち、変更手続きをきれいに管理することが、運営の継続と将来の出口価値の両方を守ります。
NightMAの経営提言:
「この改装は承認がいるのか軽微届出でいいのか」「承認前に工事を進めてしまった」「買収した店舗の図面と現況が合わない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。nightmaは行政書士提携の風営法手続きサポート、M&A仲介(売却・買収・承継)、居抜き・造作譲渡(出店・撤退)の3サービスを通じて、店舗の今と未来を一気通貫で支援します。
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