「風俗営業の許可を取りたいが、図面の種類が多くて何をどう描けばいいか分からない。自分で作れるのか、行政書士に頼むべきか。せっかく作っても差し戻されると聞いて不安だ。」
このように感じている方は少なくありません。
結論から申し上げます。風営法の図面は、許可申請書類の中で最も技術的で、差し戻しの主因になる最難所です。法定の添付書類は「営業所の平面図及び営業所の周囲の略図」ですが、実務ではこれを営業所平面図・求積図・照明音響設備図・周囲略図など複数の図面に分解して作成します。
そして見落とされがちなのが、色分けや縮尺といった作図ルールの多くが「全国一律の法令」ではなく「各都道府県警の記載例・所轄の運用」に依存する点です。一方で、客室の床面積基準や照度基準は施行規則で全国共通に定められています。この「所轄依存」と「全国共通」の切り分けが、図面づくりの出発点です。
nightmaは風営法の条文・施行規則・各都道府県警の公的な記載例と、行政書士提携の実務知見、そしてM&A・事業承継の現場データを照合し、図面の種類から書き方・差し戻し対策・M&A時の図面チェックまで一気通貫で解説できる立場にあります。
この記事では、風営法の図面の正体、必要な図面の一覧、営業所平面図の書き方、求積図と三斜求積法、照明音響設備図と周囲略図、深夜酒類提供届との違い、差し戻しの典型例、そして居抜き・M&Aで図面確認が重要な理由まで、公的根拠を明示して解説します。
風営法の図面とは
結論から述べると、風営法の図面とは、風俗営業許可申請で営業所の構造・設備・面積・立地が基準に適合していることを示すための一連の図面です。
法定の添付書類は「平面図と周囲の略図」
警視庁の許可申請案内では、添付書類として「営業所の平面図及び営業所の周囲の略図」が明示されています。
これが図面に関する法定の枠組みです。条文上はこの2つですが、実際にはこの中で面積計算や設備配置まで示す必要があるため、実務では複数の図面に分けて作成します。
実務では複数の図面に分解する
実務上は、平面図・求積図・照明音響設備図・周囲略図などに分解して作成するのが一般的です。
これは、1枚の平面図にすべてを詰め込むと見づらくなり、面積の根拠や設備の詳細が伝わらないためです。京都府警の記載例でも、図が見にくくなる場合は求積図と照明・音響設備図を分けて作成するよう案内されています。
図面が許可の合否を分ける理由
図面は、客室の床面積が基準を満たすか、見通しを妨げる構造がないか、立地が営業禁止地域に当たらないかを、客観的に示す資料です。
つまり図面は単なる添付書類ではなく、構造設備基準・場所的要件への適合を証明する中核です。だからこそ、最も差し戻しが多く、専門性が求められます。
【NightMA 専門家の視点】
2026年現在、風俗営業許可で最もつまずくのが図面です。理由は、作図ルールの一部が全国一律の法令ではなく、各都道府県警の記載例や所轄の運用に依存するからです。京都府警のように色分けや縮尺を公的記載例で示す県警がある一方、同じやり方が全国で通る保証はありません。だからこそ、図面づくりは「施行規則で全国共通のルール(客室面積・照度)」と「所轄ごとに確認すべきルール(色・縮尺・桁数)」を分けて押さえることが、遠回りに見えて最短ルートです。
風営法の許可が必要な店・不要な店の判定や許可制度の全体像は、風営法許可とはの完全ガイドが詳しいです。

風俗営業許可で必要な図面一覧

結論から述べると、1号許可申請で実務上そろえる図面は、平面図・各種求積図・照明音響設備図・周囲略図の6種類が中心です。
6種類の図面とそれぞれの役割
法定書類名は「営業所の平面図及び周囲の略図」ですが、実務ではこれを次のように分解します。
下の表は、実務でそろえる図面の種類と役割の整理です。
| 図面 | 何を示すか | nightmaの評価 |
|---|---|---|
| 営業所平面図 | 店舗全体の間取り・出入口・客室・厨房・トイレ・家具配置 | 最も基本・最も時間がかかる |
| 営業所求積図 | 営業所全体の面積の算定根拠 | 計算式の記載が要 |
| 客室求積図 | 各客室の面積の算定根拠(床面積基準の証明) | 法定基準の適合を示す核 |
| 調理場その他求積図 | 調理場・洗い場・バックヤード等と客室の線引き | 区画の区別が重要 |
| 照明・音響設備図(天伏図) | 照明・音響器具の位置・種類・数(器具表付き) | 複数県警で公的に要求 |
| 周囲略図 | 営業所周辺・保全対象施設・道路との位置関係 | 場所的要件の疎明 |
配置図・フロア図が求められる場合
これらに加えて、ビル内のどの位置に入居するかを示す配置図・フロア図を、所轄によって求められることがあります。
敷地や共用部との関係を示すための図面で、必要かどうかは所轄警察署への確認が必要です。
接待を伴う1号営業(キャバクラ・ホストクラブ・スナック等)の許可要件・申請実務の全体像は、風営法1号許可の完全ガイドが詳しいです。

営業所平面図の書き方

結論から述べると、営業所平面図は店舗全体を真上から見た図で、間取り・設備・寸法・方位を盛り込み、区画ごとに色分けして示すのが基本です。
記載すべき要素
平面図には、出入口・間仕切り・客室・厨房・トイレ・廊下に加え、テーブル・椅子・ソファ・カウンター等の家具配置を記載します。
あわせて、各区画の寸法・方位・店名・ビル内位置を示します。必要に応じて階段・エレベーター・前面道路も描きます。京都府警の記載例でも、各室の配置・面積・出入口・開閉部・隔壁を明示するよう示されています。
区画の色分け(所轄依存)
区画の色分けは、京都府警の記載例では客室を赤線、営業所を青又は黄線で囲むとされています。
調理場を緑で示すといった運用も実務では広く使われますが、これは全国一律の法令ではありません。色分けは、公的記載例がある地域もある一方で所轄ごとに異なるため、必ず所轄警察署への確認が必要です。
縮尺の目安
縮尺は、京都府警の記載例でおおむね50分の1から100分の1までとされています。
実務上も、小型店は1/50、大型店は1/100が読み取りやすい目安です。ただしこれも全国統一の法令ではないため、所轄の指定に従ってください。
求積図と三斜求積法

結論から述べると、求積図は面積の算定根拠を示す図面で、図形を分割して計算する三斜求積法の考え方で作成し、計算式を図面上に示します。
求積図とは
求積図は、営業所や客室の面積をどう計算したのかを表現した図面です。
営業所や客室の区画を、四角形・三角形・台形などの図形に分割し、それぞれの面積を計算して合計や引き算で求めます。秋田県警の案内では、各部分を計測して内寸で面積計算式を欄外に記入するよう示されています。
三斜求積法と面積計算式
図形を三角形などに分割して面積を求める三斜求積法は、図面実務で標準的な考え方です。
ただし、県警の公的記載例では「三斜求積法」という語そのものよりも、「面積計算式を図面上に記載する」という形で示されることが多いです。求積表をエクセル等で作って図面に貼り付けると、計算間違いを防げます。
壁芯と内法の使い分け
面積を壁芯(壁の中心線)で測るか内法(壁の内側)で測るかは、差し戻しの典型的な原因です。
京都府警の記載例では、客室の床面積は内のり(赤線内)で計算し、壁の厚さも記載するとされています。秋田県警でも内寸での計測が案内されています。一方、営業所全体の面積の測り方は県警によって運用差があり得るため、公的に確認できる範囲では客室は内のり、営業所側は所轄確認が安全です。
客室の床面積基準を証明する
客室求積図は、各客室が法定の最低床面積を満たすことを証明する図面でもあります。
風営法施行規則は、1号営業の客室の床面積について、和風の客室は1室9.5平方メートル以上、その他の客室は1室16.5平方メートル以上と定めています。ただし、客室の数が1室のみである場合はこの限りではありません。
京都府警の記載例でも、客室が複数ある場合に各客室の和風・洋風の別を記載するよう示されています。
【提言】
図面づくりで迷ったら、「全国共通のルール」と「所轄ごとのルール」を分けて考えてください。客室の床面積(和風9.5㎡・洋風16.5㎡、1室のみなら適用外)や照度(5ルクス以下にしない)は、施行規則で全国共通です。一方、色分け・縮尺・桁数・営業所面積の測り方は、京都府警のように公的記載例がある地域もありますが、全国一律ではありません。前者は確実に押さえ、後者は必ず所轄警察署の生活安全課に事前確認する。この使い分けが、差し戻しを最小化します。
照明・音響設備図(天伏図)と周囲略図
結論から述べると、照明・音響設備図は店内の照明・音響器具の位置や数を示す図面、周囲略図は保全対象施設との位置関係を示す図面です。
照明・音響設備図の記載事項
照明・音響設備図は、店内の照明器具・音響器具の位置・種類・数を示す図面で、天井伏図ベースで作ることが多く天伏図と呼ばれます。
京都府警の記載例では、図面上に「60W×7」「100W×2」「ダウンライト」「蛍光灯」などの記載例が示されています。佐賀県警は照明・音響設備配備図を独立の記載例として掲げており、複数の県警で公的に要求される図面です。照明はワット数・個数、音響は機器名称・個数を器具表に整理するのが一般的です。
照度基準との関係
1号営業は、施行規則で営業所内の照度が5ルクス以下とならないように維持される構造・設備を有することが求められます。
照明設備図そのものがルクス値を直接証明するわけではありませんが、どの照明器具でこの基準を維持する設計かを疎明する図面として機能します。
周囲略図と保全対象施設
周囲略図は、条例で定める保全対象施設との関係が明らかになる略図です。
保全対象施設には、学校・大学・図書館・児童福祉施設・病院や診療所などが含まれ得ます。これらの施設からの距離規制は、風営法本体ではなく都道府県条例で定まるため、用途地域ごとに異なります(商業地域は短く、その他地域は長い等)。
周囲略図の縮尺や描く範囲も全国一律の基準はないため、所轄が指定する縮尺・範囲に従います。
深夜酒類提供飲食店届との違い
結論から述べると、深夜酒類提供飲食店営業の届出でも図面は必要ですが、保全対象施設の記載など場所的要件の重みが、風俗営業許可より軽いのが違いです。
深夜届でも図面は必要
深夜酒類提供飲食店営業の届出でも、平面図・求積図・照明音響設備図を求める運用は一般的です。
バー・居酒屋・シーシャバー等が深夜0時以降に酒類を提供する場合の届出で、営業所の構造を示す図面が必要になります。深夜酒類提供飲食店営業の詳細は、別記事の深夜酒類提供飲食店営業ガイドで解説しています。
保全対象施設の扱いが違う
最大の違いは、場所的要件の重みです。
風俗営業許可は、保全対象施設との距離を周囲略図で示す必要があり、場所規制が厳格です。一方、深夜酒類提供飲食店営業では、周辺の案内図で足り、風俗営業のような保全対象施設の記載は原則不要とされます。届出と許可では、図面が果たす役割の重さが異なります。
バー・居酒屋等が深夜0時以降に酒類を提供する場合の届出の要件・必要書類は、深夜酒類提供飲食店営業の完全ガイドが詳しいです。

図面が差し戻しになる典型例とツール
結論から述べると、図面の差し戻しは面積や区画の不整合が主因で、CADで正確に作り、所轄確認を重ねることが対策になります。
差し戻し・補正の主な原因
図面の差し戻しで多いのは、面積不足、出入口構造の不整合、通路幅不足、トイレや給排水設備の位置不明、図面と使用承諾書・用途地域の不一致です。
加えて、風営法だけでなく食品衛生法・消防法との整合も見られます。図面を単体で作って終わりにせず、これらの整合まで確認することが重要です。
CAD・Jw-cad・手書きの比較
作成ツールは、CAD・無料のJw-cad・手書きが選べますが、精度・修正性・再利用性を考えるとCAD系が有利です。
手書きでも受理される場合がありますが、面積や設備図は正確性が重視されるため、修正のたびに描き直す手書きは負担が大きくなります。ビル内位置を示す配置図のような簡易な図は手書きでも受理される場合があります。
自分で作るか行政書士に頼むか
判断軸は、店舗の構造の複雑さ・スケジュールの余裕・所轄の運用差への対応力です。
シンプルな構造で時間に余裕があれば自作も可能ですが、客室が複数ある・区画が複雑・面積がギリギリといった店舗は、差し戻しのリスクとコストを考えると、図面作成に慣れた行政書士へ依頼する方が結果的に早く確実です。
図面と現況の不一致・無承認変更を含む違反類型ごとの行政処分の詳細は、風営法違反の完全ガイドが詳しいです。

居抜き・M&Aで図面確認が重要な理由
結論から述べると、申請図面と現況が一致していない店舗は立入検査やM&Aで大きなリスクになり、図面はコンプラ資産として事業価値に直結します。
図面と現況の一致が問われる
申請図面と実際の店舗が一致していない店舗は、立入検査や変更承認の場面で問題化しやすくなります。
許可取得後に間仕切りや客室を変えたのに変更手続きをしていないと、図面と現況がずれ、無承認変更を疑われます。図面の整合は、許可取得時だけでなく運営中もずっと求められます。
居抜き・M&Aでの図面DD
居抜きやM&Aで店舗を取得する際は、過去の申請図面・求積図・現況・消防や保健所の資料を突合する必要があります。
これを怠ると、買収後に補正工事や再申請が必要になることがあります。デューデリジェンスでは、許可証だけでなく図面と現況の一致を確認することが欠かせません。図面や構造の変更が絡む場合の手続きは、別記事の風営法の設備変更ガイドで解説しています。
図面はコンプラ資産
逆に、図面が整理された店舗は、再申請・変更承認・承継手続き・売却時のDDがスムーズです。
つまり図面は、単なる申請書類ではなく、コンプライアンスの資産であり事業価値の一部です。日頃から図面と現況を一致させておくことが、立入検査のリスクを下げ、将来の売却価値を守ります。
【NightMA 専門家の視点】
M&Aで風営許可付き店舗を扱うとき、私たちが必ず確認するのが「申請図面と現況が一致しているか」です。前オーナーが図面を整備せず、客室を増やしたり間仕切りを変えたりしたまま放置している店舗は珍しくありません。これは買い手にとって「営業中の店の取得」が「図面是正・再申請案件の取得」に変わる地雷です。逆に、平面図・求積図・設備図がきれいに整い現況と一致した店舗は、DD通過率も融資評価も高い。図面は、そのまま店舗の信用と値段になります。
間仕切りや客室を変える改装の手続き(変更承認申請・軽微変更届出)の判断基準は、風営法の設備変更の完全ガイドが詳しいです。

まとめ|図面は「全国共通ルール」と「所轄ルール」を分けて押さえる
2026年現在、風営法の図面で最も重要なのは、作図ルールを「施行規則で全国共通のもの」と「所轄ごとに確認すべきもの」に分けて押さえることです。
法定の添付書類は「営業所の平面図及び周囲の略図」ですが、実務では営業所平面図・各種求積図・照明音響設備図・周囲略図の6種類に分解して作成します。客室の床面積(和風9.5㎡・洋風16.5㎡、1室のみなら適用外)や照度(5ルクス以下にしない)は施行規則で全国共通です。
一方、色分け(客室=赤・営業所=青又は黄)・縮尺(1/50〜1/100)・桁数・営業所面積の測り方は、京都府警のように公的記載例がある地域もありますが、全国一律ではありません。これらは必ず所轄警察署への事前確認が必要です。
差し戻しの主因は面積や区画の不整合なので、CADで正確に作り、消防・食品衛生との整合まで確認します。
居抜き・M&Aでは、申請図面と現況の一致が立入検査・変更承認・売却DDで問われます。図面はコンプラ資産であり事業価値の一部です。整った図面を保つことが、運営の安定と将来の出口価値の両方を守ります。
NightMAの経営提言:
「図面をどう作ればいいか分からない」「自分で作るか行政書士に頼むか迷っている」「買収した店舗の図面と現況が合っているか不安」という方は、ぜひ一度ご相談ください。nightmaは行政書士提携の風営法手続き・図面作成サポート、M&A仲介(売却・買収・承継)、居抜き・造作譲渡(出店・撤退)の3サービスを通じて、店舗の今と未来を一気通貫で支援します。
店舗のお悩み、nightmaに無料相談
ナイトビジネス専門のM&A仲介・居抜き・造作譲渡・Web集客支援。風営法の許可や手続きは、提携の行政書士と連携してサポートします。LINEの友だち追加でお気軽にどうぞ。
LINEで無料相談する →※ しつこい営業はありません
M&A無料売却査定
申請図面と現況の一致・求積図・無承認変更の有無を含めた事業性DD観点で、貴店舗の適正売却価格を算出します。図面が整った店舗は高評価につながります。
無料売却査定へ →