造作譲渡のトラブルはなぜ起きるのか|「現状有姿」と書いても売主の責任は消えない。個人間売買が危険な法的理由【2026年最新】

造作譲渡のトラブル 現状有姿と書いても売主の責任は消えない 免許も重要事項説明も無い取引 特約で外せる借地借家法33条 責任が残る期間は1年から最長10年 売主を守るのは書いて渡すこと

「造作を売った半年後に、買主から『冷蔵庫が最初から壊れていた』と連絡が来ました」
「契約書に現状有姿と書いたので、もう関係ないと思っていたのですが」

造作譲渡でもめるのは、渡す前ではありません。渡した後です。そして売主の多くは、引き渡しが終われば責任も終わると考えています。ここに最大の落とし穴があります。

結論から申し上げます。造作譲渡のトラブルは「確認不足」から起きているのではありません。この取引を守ってくれる制度が、そもそも存在しないことから起きています。

不動産の売買と違い、造作譲渡には免許制も重要事項説明の義務もありません。行政が間に立って守ってくれる仕組みが無い以上、売主を守るものは契約書と開示の記録しかない。それが構造です。

当社はナイトレジャーと飲食店のM&A仲介・居抜き・造作譲渡を専門に扱っています。個人間で話がまとまりかけた案件を途中から引き受けることも珍しくありません。その現場で見えるのは、売主が損をするパターンがほぼ決まっているという事実です。

造作を売ろうとする方の足が止まる理由は、だいたい3つです。誰にも知られずに売りたい。買い取り業者に買い叩かれたくない。そもそも自分の店の内装に値段が付くのか分からない。

ですが飲食店の造作は、いま買い手が動いている領域です。開業コストが上がり続けているため、内装と厨房が生きている店舗を探している買い手は途切れません。正しい順番で動けば、静かに、そして高く売れます。

この記事で分かることは、次の5点です。

  • 造作譲渡でもめる原因が「確認不足」ではなく制度の不在にあること
  • 大家に買い取らせられない法的な理由(借地借家法33条と37条の関係)
  • 売主の責任がいつまで残るのか(1年・5年・10年の分かれ目)
  • 「現状有姿」と書いても免責されない場合と、その回避方法
  • バレずに高く売る手順と、個人間で進めた場合に減る手取りの実額感
目次

造作譲渡のトラブルは「確認不足」ではなく「守ってくれる制度が無い」ことから起きる

造作譲渡は、法律上ほとんど無防備な取引です。不動産取引であれば当然に付いてくる保護が、この取引には一切かかりません。まずこの前提を理解しないと、いくらチェックリストを増やしても同じ事故が起き続けます。

この取引には免許も重要事項説明も無い

宅地建物取引業法2条2号は、宅地建物取引業を「宅地若しくは建物の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うもの」と定義しています。

造作譲渡の対象は、内装・厨房設備・什器です。宅地でも建物そのものでもありません。したがって宅地建物取引業法の対象外です

これが何を意味するか。宅地建物取引業者であれば、免許を受け、宅地建物取引士を置き、契約前に重要事項説明を行う義務を負います。違反すれば行政処分があります。造作譲渡には、そのどれも及びません。

だから「仲介」を名乗るのに資格が要らない

造作譲渡の仲介には、必要な国家資格がありません。極端に言えば、明日から誰でも「居抜き専門の仲介です」と名乗れます。

正直に申し上げると、当社もこの取引において宅地建物取引業の免許で守られているわけではありません。当社を選ぶ理由は免許ではなく、契約設計の経験と、貸主・リース会社・買主の三方を同時に動かせるかどうかです。ここを取り違えて「業者に任せたから安心」と考えると、個人間で進めたのと変わらない結果になります。

唯一の防具は契約書だけ、という構造

行政の保護が無く、資格の裏付けも無い。この取引で売主を守るのは、契約書に何が書かれ、何が開示されたかという記録だけです。

【NightMA 専門家の視点】
競合各社の記事は「トラブルを防ぐには書面に残しましょう」と書いて終わります。しかし、なぜ書面だけが頼りなのかを説明しません。理由は制度の不在です。行政が守ってくれない取引だから、当事者が自分で守るしかない。ここを理解した売主だけが、正しい順番で動けます。

不動産売買には制度がある造作譲渡には無い 宅地建物取引業法2条2号の対象は宅地建物 不動産売買は免許制と宅地建物取引士と重要事項説明と行政処分があるが造作譲渡はいずれも無い 守るのは契約書だけ

そもそも、なぜ大家に買い取らせられないのか|造作買取請求権が使えない理由

「内装にこれだけ金をかけたのだから、大家が買い取るべきだ」と考える売主は少なくありません。実は、そういう権利は法律に存在します。ただし、ほとんどの店舗契約では使えなくなっています。

借地借家法33条は「時価で買い取れ」と言える権利

借地借家法33条は、建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合、賃貸借が期間満了または解約申入れによって終了するときに、賃借人は賃貸人に対してその造作を時価で買い取るよう請求できると定めています。これを造作買取請求権といいます。

ところが37条の強行規定に、33条は入っていない

ここが本記事で最も重要な条文です。同法37条は、強行規定として次のように定めています。

第三十一条、第三十四条及び第三十五条の規定に反する特約で建物の賃借人又は転借人に不利なものは、無効とする。

挙げられているのは31条・34条・35条の3つだけです。33条は含まれていません。つまり造作買取請求権は、特約で排除できます。

そして当社が実際に案件で確認してきた店舗の賃貸借契約書では、この権利を放棄する条項が入っているものが大半でした。飲食店・ナイトレジャーの事業用物件では、まず入っていると考えて契約書を開いてください。

賃貸借契約書に「賃借人は造作買取請求権を放棄する」という条項が入っていれば、その時点で大家に買い取らせる道は閉じます。だから売主は、次の借主に売るしかない。造作譲渡という取引が存在する理由そのものが、ここにあります。

まず自分の契約書を開く

造作をいくらで売るかを考える前に、賃貸借契約書と重要事項説明書を開いて、次の3点を確認してください。

  • 造作買取請求権を放棄する条項があるか
  • 造作の譲渡や現状での明け渡しを禁じる条項があるか
  • 原状回復の範囲がどこまで書かれているか

【提言】
この3点を確認せずに買主と金額の話を始めると、後から貸主の一言で全部やり直しになります。順番を間違えないでください。

売主の責任は「引き渡し」で終わらない|契約不適合責任の実際の射程

造作譲渡は売買契約です。売買である以上、民法の契約不適合責任がかかります。引き渡して代金を受け取れば終わり、ではありません。

買主ができる4つの請求

民法562条は、引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しないとき、買主は売主に対し、修補・代替物の引き渡し・不足分の引き渡しによる履行の追完を請求できると定めています。これに加えて、代金の減額請求、契約の解除、損害賠償の請求が続きます。

厨房機器が動かない、給排気が足りない、聞いていた設備が付いていない。こうした場合に買主が持つ手札は、1つではありません。

「知った時から1年」は売主の安全期間ではない

民法566条は、買主が不適合を知った時から1年以内に通知しないと、追完請求・減額請求・損害賠償・解除ができなくなると定めています。ここだけ読むと、売主は1年で解放されるように見えます。

しかし同条にはただし書があります。売主が引き渡しの時にその不適合を知り、または重大な過失によって知らなかったときは、この限りではありません。つまり、壊れていることを知っていた売主に、1年の制限は適用されません。

その場合に効いてくるのが民法166条の消滅時効です。債権は、権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年で時効消滅します。

売主の状態買主の通知期限最終的な期限nightmaの評価
不具合を知らず、重過失も無い買主が知った時から1年1年の通知で区切られる開示を尽くした売主はここに入る
不具合を知っていた/重過失で知らなかった1年の制限が外れる知った時から5年/行使できる時から10年黙って渡すと最長10年、責任が残り得る
条文の定めをそのまま整理したものです。個別の事案でどちらに当たるかは、開示の記録の有無で分かれます。
黙って渡すと責任は1年では終わらない 民法566条ただし書 不具合を開示して渡した売主は1年で区切られるが 知っていて黙って渡した売主は知った時から5年 行使できる時から10年で最長10年 差は開示したかどうかだけ

【NightMA 専門家の視点】
「1年経てば安心」と考えて黙って渡す売主が、いちばん危ない。黙ったことが、そのまま1年の制限を外す条件になるからです。ここは直感と法律が逆を向いている場所だ。

「現状有姿・ノークレーム」と書けば安全、は誤解

造作譲渡の契約書には、ほぼ必ず「現状有姿とし、引き渡し後の不具合について売主は責任を負わない」といった条項が入ります。この条項は有効です。ただし、万能ではありません。

免責特約でも外れない2つ

民法572条は、担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、次の2つについては責任を免れることができないと定めています。

  • 知りながら告げなかった事実
  • 自ら第三者のために設定し、または第三者に譲り渡した権利

前者が造作譲渡の急所です。冷蔵庫の冷えが弱いと分かっていた、グリストラップから臭いが上がることを知っていた、空調が1台動かないと知っていた。それを告げずに現状有姿の一文で流した場合、免責条項は効きません

だから「言わない」より「書いて渡す」ほうが売主が守られる

ここで発想を反転させてください。競合各社の記事は「買主のために付帯設備表を作りましょう」と書きます。実際は逆です。付帯設備表と不具合リストは、売主自身の盾です。

不具合を書いて渡した瞬間、それは「知りながら告げなかった事実」ではなくなります。買主はその状態を承知で買ったことになり、後から蒸し返す根拠を失う。開示は値引きの材料に見えて、実際は最強の免責装置です。

売主の行動短期的な見え方後から起きることnightmaの評価
不具合を伏せて現状有姿で渡す値引きされずに済む民法572条で免責条項が効かない最も損をする選択
口頭でだけ伝える誠実に見える「聞いていない」と言われれば証明できない実質、伏せたのと同じ
不具合リストを書面で渡す多少の値引きが入るその項目は争えなくなる値引き分は保険料として安い
開示によって下がる金額と、後から請求され得る金額を比べてください。桁が違います。

リース品を混ぜた瞬間に、民事では済まなくなる

造作譲渡で最も重い事故が、リース中の機器を譲渡対象に含めてしまうことです。これは値引きや示談で収まる話ではなくなります。

所有権はリース会社にある。売る権利が無い

リース物件の所有権は、リース期間中はリース会社にあります。店舗側が持っているのは使用する権利だけです。自分の物ではないものを売る契約をしても、買主は所有権を取得できません。

実務では、まずリース会社から機器の引き揚げが来ます。続いて買主から、代金の返還と、機器が無いことで営業できなかった損害の賠償を請求されます。

刑事の問題になり得ることも知っておく

刑法252条は、自己の占有する他人の物を横領した者を処罰すると定めています。事業として占有していた場合は253条の業務上横領となり、より重くなります。2025年の改正により、法定刑は懲役から拘禁刑に変わりました。

リース品の無断譲渡がただちに刑事事件になると申し上げるつもりはありません。実務では民事で収束する例が大半です。ただし構造としては、これらの条文に該当し得る行為です。「知らなかった」で済む話ではないと認識してください。

特に混ざりやすい4種類

  • ビールサーバー・ディスペンサー(酒販店からの無償貸与も含む)
  • 製氷機・食器洗浄機
  • POSレジ・オーダー端末
  • 空調(大家の所有物である場合も多い)

リース・レンタル・無償貸与・大家の所有物。この4つは、店主本人ですら区別できていないことが珍しくありません。詳しくはリース品の処理方法で整理しています。

【提言】
契約書を作る前に、店内の設備を1つずつ指差して「これは誰の物か」を確定させてください。書類が見つからないものは、メーカー銘板の型番から契約を追えます。ここを飛ばした造作譲渡は、爆弾を抱えたまま引き渡すのと同じです。

「原状」が分からない物件は、売主が原状回復義務を丸ごと背負う

居抜きが繰り返された物件では、そもそも「原状」がどの状態を指すのか分からなくなっています。ここが曖昧なまま明け渡すと、原状回復の負担が売主に全部戻ってきます。

なぜ「原状」が消えるのか

A社がスケルトンから内装を入れ、B社が居抜きで引き継ぎ、C社がさらに手を入れる。この過程で、どこまでが躯体でどこからが誰の工事かの記録が失われます。貸主が「入居時の状態に戻せ」と言ったとき、その状態を証明できるのは書類だけです。

復元に使う3点セット

  • 入居時の重要事項説明書
  • 入居時の内装図面・施工図
  • 前回の造作譲渡契約書(居抜きで入った場合)

この3点が揃えば、原状の範囲を貸主と合意できます。揃わない場合は、着工前の写真や当時の見積書でも代替できることがあります。

順番を間違えない|承諾が先、解約予告は後

造作譲渡には貸主の承諾が要ります。そして承諾を取る前に解約予告を出してはいけません。解約予告を出した瞬間、退去日が確定し、残り時間が相手から見えるようになります。交渉材料が消えるということです。

当社の査定実務では、売主に時間の余裕がある案件は希望額の85〜95%で決まる一方、退去日が決まって売り急いでいる案件は50〜70%まで落ちます。順番の問題だけで、これだけ動きます。承諾の取り方は造作譲渡で貸主承諾を通す順番で詳しく整理しています。

個人間でやると、いくら損をするのか|成約率で見る

ここまで法的なリスクを見てきましたが、売主にとって最も大きい損失は、実は訴訟リスクではありません。単純に、安く売ってしまうことです。

買い取り業者に売る前に|仲介との違い

造作を手放すとき、売主の前には2つの相手がいます。買い取り業者と、仲介です。この2つは、売主から見た経済的な意味がまったく違います。

買い取り業者は、自分が買主です。安く仕入れて高く転売することで利益を出す商売である以上、売主の手取りを削ることが業者の利益になります。査定が速いのは、交渉相手が1人しかいないからです。

仲介は、売主の側に立って買い手を探します。当社の場合は店名を伏せたノンネームで複数の買い手候補に当て、水面下で競わせて価格を引き上げます。従業員や取引先、常連客に知られないまま進められるのはこのためです。

加えて、貸主の承諾、リースの整理、許可の承継といった案件ごとのボトルネックを、提携する行政書士とともに解きます。買い叩かれる不安に対する答えは、交渉が上手いことではなく、買い手を複数並べられるかどうかです。

造作譲渡はもともと成約率が低いスキーム

当社の査定実務基準では、希望額に対して実際にいくらで決まるかの比率は、スキームによって次のように違います。これは公的統計ではなく、当社が扱った案件から積み上げた実務上の目安です。

スキーム成約率の目安買い手が買っているものnightmaの評価
造作譲渡(内装・設備のみ)62%(50〜75%)中古の資産最も値引かれる。個人間だとさらに下がる
居抜き売買(物件と造作)70%(60〜80%)物件と造作をまとめて貸主承諾が前提
事業譲渡(営業・顧客・許可)78%(70〜85%)営業の仕組み黒字なら狙う価値がある
株式譲渡(法人ごと)87%(80〜95%)回っている事業買い手が入念に検討する分、値引き余地が小さい
当社の査定実務基準です。公的統計ではありません。造作譲渡は、そもそも最も値引かれやすい売り方です。

個人間だと、さらに2つの理由で下がる

造作譲渡の成約率が構造的に低いところへ、個人間で進めると次の2つが上乗せされます。

  • 価格が言い値になる。造作譲渡料には公表された相場表がありません。比較材料が無いまま、買主の提示額が唯一の基準になります。
  • 買主が1人しかいない。相見積もりが立たないため、「この人に断られたら終わり」という状態で交渉することになります。足元を見られる構造そのものです。

造作譲渡料の決まり方と、月家賃から逆算する算定式は造作譲渡の相場にまとめています。また、そもそもどの売り方を選ぶべきかは飲食店を高く売る方法で整理しました。

浮かせた手数料と、下がった成約額を比べる

仲介を通さない最大の理由は、手数料を払いたくないという一点です。ただし比べるべきは、手数料の額ではありません。買主が1人しかいない状態で決まった額と、複数の買い手を並べて決まった額の差です。

【NightMA 専門家の視点】
当社は買い取り業者ではありません。買い取りは安く仕入れて高く転売する商売であり、売主の手取りを削ることで成立します。当社は仲介として、複数の買い手を水面下で競わせて価格を引き上げます。店名を伏せたノンネームで進めるため、従業員や取引先に知られることもありません。立場が違えば、売主に提示できる数字も変わります。

売主が自分を守るためのチェックリスト

ここまでの内容を、動く順番に並べます。上から順に潰してください。契約書を作る前の段階で決まる項目が、いちばん効きます。

契約の前にやること

  • 賃貸借契約書で造作買取請求権の放棄条項を確認した
  • 造作譲渡・現状明け渡しを禁じる条項の有無を確認した
  • 原状回復の範囲を契約書と重要事項説明書で特定した
  • 店内の設備を1つずつ「誰の物か」で分類した(自己所有/リース/レンタル/無償貸与/大家所有)
  • 貸主の承諾を取った(解約予告はまだ出していない)

契約書に入れること

  • 譲渡対象を一覧化し、契約書に別紙として添付した(「造作一式」で済ませていない)
  • 譲渡対象から除外するもの(リース品等)を明記した
  • 不具合リストを作成し、買主の確認署名を得た
  • 原状回復義務を新借主が引き継ぐことを明記した
  • 引き渡し日・支払期日・解除条件・違約金を定めた

引き渡しのときにやること

  • 買主立ち会いのもとで全設備を実際に稼働させた
  • 稼働確認の結果を書面に残し、双方が署名した
  • 譲渡リストに無い私物・不用品を撤去した
  • 鍵の引き渡しと占有の移転を書面で記録した
  • 売主が自分を守る順番 契約の前にやること5項目 契約書に入れること5項目 引き渡しのときにやること4項目 承諾が先で解約予告は後 不具合リストは売主の盾 知っていることを書いて渡す

渡した後の責任とは別に、そもそも「渡す」という言葉が契約書でどう使われているかでも売主の負担は変わります。詳しくは明け渡しと引き渡しの違いをご覧ください。

契約書を作る段階では、印紙税の扱いも決めておく必要があります。造作だけなら不課税、営業を入れると課税に変わる仕組みは造作譲渡契約書に収入印紙は必要かにまとめました。

まとめ|守ってくれる制度が無いなら、記録が制度の代わりになる

造作譲渡は、宅地建物取引業法の外にある取引です。免許も重要事項説明も無く、行政が間に立ってくれる場面もありません。だからこそ、売主が自分で自分を守る必要があります。

そして守る方法は、意外なほど単純です。知っていることを、書いて渡す。民法572条が免責を認めないのは「知りながら告げなかった事実」であって、告げた事実ではありません。開示した瞬間、そのリスクは売主の手を離れます。

逆に、伏せて渡した不具合は、買主が知った時から1年という制限を外し、最長で権利を行使できる時から10年、責任として残り得ます。値引きを恐れて黙ることが、いちばん高くつく選択です。

当社は中小M&Aガイドラインに沿って、飲食店・ナイトレジャーのM&A仲介、居抜き売買、造作譲渡の3つを扱っています。個人間で話が進んでいる案件でも、契約書を交わす前であれば、条件の整理から入れます。

NightMAの経営提言:
店を畳むという判断は、経営者が下す最後の重い決断です。その最後の取引で足元を見られ、しかも渡した後まで責任を引きずるのは、あまりに割に合わない。売ると決めていなくても構いません。契約書に判を押す前に、一度だけ第三者に見せてください。それだけで結果が変わる案件を、当社は何度も見ています。

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