「店は譲ったのに、賃貸借の連帯保証だけ自分の名前で残っている」
「銀行の保証が外れたのか、誰も教えてくれない」「親を保証人にしたまま、辞めるに辞められない」
店を手放す局面で、最後まで足を引っ張るのがこの問題です。
そして動けなくなる理由は3つに集約されます。①外したいと切り出せば売却の話が貸主に漏れる、②急いで畳もうとして買い取り業者に買い叩かれる、③そもそも今の店に値段が付くのか分からない。
ですが2026年現在、東京のナイト物件は買い手が途切れていません。順番さえ間違えなければ、保証を外しながら「高く・静かに」出口を作れます。
結論から申し上げます。「連帯保証人を外す」は1つの手続きではありません。貸主・金融機関・リース会社という、3つの別々の交渉です。相手ごとに根拠も、切れるカードも違う。
まとめて考えるから、どこから手を付けていいか分からなくなります。
この記事では、ナイトビジネス専門のM&A仲介として譲渡契約を数多く見てきた立場から、条文の番号まで示して3つの交渉を分解します。譲渡スキームごとに保証がどう残るか、貸主に何を持っていけば通るか、そしてバレずに高く売る手順まで整理します。
結論|「連帯保証人を外す」は3つの別々の交渉である
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最初に全体像を示します。あなたが外したい保証は、次の3つのうちどれかです。相手が違えば根拠も手順も変わるため、混ぜて考えると必ず行き詰まります。

3層の保証を切り分ける
店舗オーナーが背負っている個人保証は、通常この3つに分かれています。まず自分がどれを抱えているかを数えてください。
| 相手 | 担保している債務 | 主な根拠 | 外すときの主戦場 | nightmaの評価 |
|---|---|---|---|---|
| 貸主・管理会社 | 賃料・原状回復費・明渡し遅延の損害金 | 民法465条の2以下(個人根保証) | 代替の担保を出せるか | 最も動かせる。家賃保証会社という代替が市場にある |
| 金融機関 | 借入金(貸金等債務) | 経営者保証に関するガイドライン(自主ルール) | 3要件と事業承継特則 | 時間はかかるが、制度が味方をしてくれる唯一の層 |
| リース会社・仕入先 | リース料・商品代金 | 個別の保証契約 | 契約書ごとの個別交渉 | 最も見落とされる。厨房・カラオケ・POSと台数分ある |
この3つは、一括で外れることがありません。貸主が承諾しても銀行の保証は残り、銀行が解除してもリース保証は生きています。
リース契約の整理は居抜き譲渡時のリース処理で個別に解説しています。台数と残債を先に洗い出してください。
なぜ混ざると詰むのか
3層を混ぜたまま「保証を外したい」と貸主に相談すると、貸主は「この人は資金繰りが厳しいのだろう」と受け取ります。
実際には銀行保証の話をしていただけでも、賃貸借の与信を疑われる。切り出す順番を誤ると、外したい保証がむしろ強化されます。
【NightMA 専門家の視点】
実務の現場では、3層のうち「リース保証だけ残っていた」という事故が頻繁に起きています。店舗も法人も譲ったのに、3年前に入れた製氷機のリース保証だけ旧オーナーの個人名義で生きている。金額は小さくても、支払いが止まれば個人に請求が飛びます。譲渡の前に、保証契約を「枚数」で数えること。これが鉄則だ。
外す前の30秒判定|その保証は、そもそも効いているか
交渉に入る前に確認すべきことがあります。契約書によっては、外す努力をするまでもなく保証の効力自体が問題になる場合があるからです。
契約書のこの4点だけ先に見る
手元の賃貸借契約書と保証条項を開いて、次の4点を確認してください。ここで判定が分かれます。
- 保証契約を締結した日付は2020年4月1日より前か、後か
- 保証条項に「極度額」または上限金額の記載があるか
- 保証人は個人か、家賃保証会社などの法人か
- 譲渡・転貸のときに保証をどう扱うかの定めがあるか
民法465条の2第2項は、個人根保証契約について「前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない」と定めています。店舗賃貸借の連帯保証は、この個人根保証にあたります。
ただし改正民法の附則第21条第1項は「施行日前に締結された保証契約に係る保証債務については、なお従前の例による」としています。2020年4月1日より前の契約は、極度額がなくても有効です。
効力そのものを争える条件と、契約書で見るべき3点は家賃滞納と閉店の記事で詳しく整理しています。
保証人が法人なら、この論点は消える
極度額の規制は個人根保証にかかるものです。保証人が家賃保証会社などの法人であれば適用されません。
「保証会社に入っているのに、加えて代表者個人も連帯保証している」という二重構造は、ナイト業態では珍しくありません。この場合、外す対象は個人のほうです。
退店・更新・譲渡では終わらない|条文が定める終了事由は3つだけ
ここが最大の誤解です。保証は時間の経過や状況の変化で自然に消えません。個人根保証の元本が確定する事由を、民法は限定列挙しています。

民法465条の4が定める3つの確定事由
民法465条の4第1項は、個人根保証契約の元本が確定する場合として次の3つを挙げています。それ以外の事情では確定しません。
| 確定事由 | 条文 | 実務での意味 | nightmaの評価 |
|---|---|---|---|
| 債権者が保証人の財産に強制執行・担保権実行を申し立てた | 465条の4第1項一号 | すでに回収局面に入っている | この段階では手遅れ。到達前に動く |
| 保証人が破産手続開始の決定を受けた | 同二号 | 保証人側が破綻した | 望んで使う道ではない |
| 主たる債務者または保証人が死亡した | 同三号 | 死亡時までの債務で元本が固まる | 相続の場面で決定的に効く。知らない相続人が多い |
この3つに、「契約の更新」も「店舗の明渡し」も「賃借権の譲渡」も入っていません。
よくある4つの思い込みと、条文の答え
相談の場で繰り返し出てくる誤解を、条文と突き合わせて整理します。
| 思い込み | 条文上の答え | nightmaの評価 |
|---|---|---|
| 「更新のタイミングで自然に外れる」 | 更新は465条の4の確定事由に含まれない | 更新は外すチャンスではあるが、放置では外れない |
| 「店を明け渡せば終わる」 | 明渡し後の原状回復費・遅延損害金も賃貸借から生じた債務 | 鍵を返した日が終期ではない。精算完了までが射程 |
| 「新しい借主が入れば自動で入れ替わる」 | 保証契約は貸主と保証人の契約。借主が代わっても当然には消えない | 入れ替えには貸主の合意が要る。ここが交渉の本体 |
| 「保証人が亡くなれば相続人が全部引き継ぐ」 | 465条の4第1項三号で元本が確定する。相続人が負うのは確定時までの債務 | 親が保証人の案件では、これを知っているかで結論が変わる |
【提言】
「更新のときに言えばいい」と先延ばしにしている方が最も多い。ですが更新は、貸主が条件を変えられる場面でもあります。準備なしで切り出せば、賃料増額や敷金積み増しとセットで返されます。更新の3〜6ヶ月前から代替カードを揃えて臨むこと。
【核心】譲渡・売却で、前オーナーの保証はどう残るか
本記事の中心です。同じ「店を譲る」でも、選ぶスキームによって保証の残り方がまったく違います。ここを取り違えたまま契約すると、店だけ失って保証だけ残ります。

4スキーム別・保証の残り方
賃貸借の主債務者(=賃借人)が入れ替わるかどうかが、すべての分かれ目です。
| スキーム | 賃借人は変わるか | 賃貸借の連帯保証 | 借入の経営者保証 | nightmaの評価 |
|---|---|---|---|---|
| 賃借権譲渡(民法612条) | 変わる | 新賃借人の債務には及ばない。譲渡までに生じた未払は残る | 別途交渉が必要 | 保証を切るには最も素直な形。ただし貸主承諾が絶対条件 |
| 造作譲渡+解約 | 退去する | 原状回復・明渡し完了までの債務に及ぶ | 別途交渉が必要 | 精算が終わるまで気を抜かない。敷金返還と同時に確認する |
| 事業譲渡 | 賃貸借の扱いによる | 賃借権譲渡か再契約かで結論が変わる | 法人の借入が移らなければ残る | 賃貸借を「どう移すか」を契約書に明記させる |
| 株式譲渡 | 変わらない | 当然には外れない | 当然には外れない | 最大の落とし穴。ここで事故が起きる |
民法612条第1項は「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」と定めています。
そして同条第2項は、違反して第三者に使用収益させたときは賃貸人が契約を解除できるとしています。承諾を飛ばす選択肢は存在しません。
承諾を通す手順そのものは賃貸借契約と店舗譲渡の完全ガイド、造作譲渡での承諾は貸主承諾の記事で解説しています。
株式譲渡で一番多い事故
株式譲渡では、賃借人である法人がそのまま残ります。代表者が交代しても、賃貸借契約の当事者は変わりません。
ところが連帯保証は、旧代表者が「個人として」貸主と結んだ別の契約です。株主が代わっても、代表を退いても、その契約は自動的には終わりません。
つまり会社を売った翌月から、他人が経営する店の家賃を保証し続けている状態になります。これが実際に起きています。
敷金は誰に返るのか
保証と並んで見落とされるのが敷金・保証金です。民法622条の2第1項は、賃貸人が敷金を返還すべき場合を2つ定めています。
1つは賃貸借が終了して賃貸物の返還を受けたとき、もう1つは賃借人が適法に賃借権を譲り渡したときです。
賃借権を譲渡すれば、敷金は旧賃借人に返ります。新賃借人が入れ直す前提になるため、譲渡価格の交渉ではこの金額を必ず勘定に入れてください。
【NightMA 専門家の視点】
買い手が株式譲渡を望むのは、許可や契約を巻き直さずに済むからです。売り手にとっても手続きは軽い。だから安易に選ばれます。ですが売り手側から見れば、株式譲渡は保証だけが手元に残る唯一のスキームです。譲渡契約書に「クロージングまでに旧代表者の連帯保証を解除する」条項を入れ、解除できない場合の取扱いまで書く。ここを詰めずに調印してはいけません。
貸主に「外してほしい」と言うときの順番と、持っていくもの
貸主は善意で外してくれません。外すことで貸主が失う担保を、別の形で埋められるかがすべてです。空手で相談に行けば断られます。
先に代替カードを揃える
貸主に提示できる代替は4つあります。どれか1つではなく、組み合わせて出すほど通りやすくなります。
| 代替カード | 貸主にとっての価値 | 使いどころ | nightmaの評価 |
|---|---|---|---|
| 家賃保証会社への切替 | 回収が確実。審査を第三者が負う | 個人保証をまるごと置き換える | 最有力。ナイト業態を扱う保証会社は限られるが存在する |
| 新しい連帯保証人を立てる | 属性次第で担保力が同等以上 | 買い手の代表者・後継者を入れる | 譲渡とセットなら最も自然。属性資料を先に用意する |
| 敷金・保証金の積み増し | 現金で即座に埋まる | 保証人を立てられない場合 | 効果は確実だが手元資金を食う。最後の手段 |
| 極度額を定めて再締結 | 上限は付くが担保は残る | 「外す」が通らないとき | 全部か無かで考えない。絞るだけでも実益がある |
新しい保証人を立てるなら、情報提供義務がかかる
ここは実務家でも見落とす論点です。新しい保証人を立てる側、つまり借主に法律上の開示義務があります。
民法465条の10第1項は、事業のために負担する債務の保証を他人に委託するとき、主たる債務者は①財産及び収支の状況、②他の債務の有無と額・履行状況、③他に提供する担保の内容を情報提供しなければならないと定めています。
法務省の解説資料は、このルールについて「事業用融資に限らず、売買代金やテナント料など融資以外の債務の保証をする場合にも適用されます」と明記しています。
店舗の賃料保証も、この義務の対象です。
怠るとどうなるか
同条第2項は、主たる債務者が情報を提供せず、または事実と異なる情報を提供したために保証人が誤認して保証した場合を定めています。
そのことを債権者が知り、または知ることができたときは、保証人は保証契約を取り消すことができます。
貸主にとっては、後から保証が消える危険があるということです。だから貸主は保証人の差替えに慎重になる。開示資料を最初から揃えて持ち込むほうが、結果的に早く通ります。
借入の経営者保証を外す|3要件と事業承継特則
金融機関の保証は、賃貸借とはまったく別の枠組みで動きます。法律ではなく自主ルールですが、2026年現在、交渉の共通言語として機能しています。
ガイドラインが求める3つの状態
経営者保証に関するガイドラインは、保証なしで資金調達を希望する場合に求められる経営状態として、次の3点を挙げています。
- 法人と経営者との関係の明確な区分・分離(役員報酬・貸付など資金のやりとりが社会通念上適切な範囲を超えない)
- 財務基盤の強化
- 財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保
ナイト業態でここに引っかかるのは、ほぼ1点目です。店の売上から代表者が現金を引き、法人から代表者への貸付が積み上がっている。この状態では2点目・3点目がどれだけ良くても通りません。
事業承継のときは特則が使える
2019年12月、経営者保証に関するガイドライン研究会は事業承継時に焦点を当てた特則を策定しました。
特則は、事業承継時の取扱いについて「原則として前経営者、後継者の双方から二重には保証を求めない」としています。
さらに前経営者との保証契約について、「前経営者は、実質的な経営権・支配権を保有しているといった特別の事情がない限り、いわゆる第三者に該当する可能性がある」と述べ、保証契約の適切な見直しを検討するよう求めています。
店を譲って代表も株式も手放したのであれば、あなたは第三者です。この一文を根拠に見直しを求めてください。
【提言】
言うタイミングは承継の話が金融機関に伝わる前です。買い手が決まってから相談すると、金融機関は「新旧両方から取れる」局面だと認識します。2026年現在、中小企業庁も金融庁も保証に依存しない融資を後押ししています。制度は追い風です。早く、正面から言うことだ。
公正証書が要るのは「借入の保証」だけ|465条の6と465条の9
ここは競合記事で誤りが目立つ箇所です。「店舗の連帯保証には公正証書が必要」と書かれていることがありますが、正確ではありません。
条文が限定しているのは貸金等債務
民法465条の6第1項は、公正証書による保証意思の表示を求める対象を「事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約」等に限定しています。
貸金等債務とは、金銭の貸渡しまたは手形の割引によって負担する債務です(465条の3第1項)。
賃料は、金銭を借りて生じた債務ではありません。したがって店舗の賃貸借の連帯保証に、保証意思宣明公正証書は不要です。
借入でも不要になる人がいる
民法465条の9は、公正証書の規定を適用しない者を列挙しています。事業に深く関わる人を除外する趣旨です。
| 対象 | 条文 | 公正証書 | nightmaの評価 |
|---|---|---|---|
| 法人の理事・取締役・執行役等 | 465条の9第一号 | 不要 | 代表者保証は基本的にここ。手続きは増えない |
| 議決権の過半数を有する株主等 | 同第二号 | 不要 | オーナー社長も対象 |
| 上記以外の親族・知人 | — | 必要 | 親や友人に頼む場合はここ。手続きが重くなる |
手数料は、法務省の資料によれば保証意思確認の手続きで1通11,000円です。あわせて公証人手数料令第25条により、証書の枚数が4枚を超えると1枚ごとに300円が加算されます。
この手続きは代理人に依頼できません。本人が公証役場に出向く必要があります。
ナイト業態で保証が外れにくい3つの理由と、それでも通す打ち手
同じ手順を踏んでも、ナイト業態は他業種より通りにくい。理由は業態への偏見ではなく、構造にあります。構造が分かれば潰せます。
理由①|貸主が業態リスクを個人の信用で埋めている
ナイト物件を貸す判断をした貸主は、業態リスクを織り込んだうえで代表者個人の連帯保証を担保にしています。
そこから個人保証だけ抜けば、貸主の担保は業態リスクの分だけ薄くなる。だから「外す」より「置き換える」の設計で持ち込むほうが通ります。
理由②|決算書が保証を外せる水準にない
現金商売で役員貸付が積み上がっている決算は、ガイドラインの1点目に真っ向から反します。
ここは1期では直りません。役員貸付の解消計画と、月次試算表の提出を先に始めてください。2期分の実績があれば話が変わります。
理由③|許可の名義と法人が一致していない
風俗営業許可や深夜酒類提供飲食店営業の届出が個人名義のまま、契約は法人という店が実在します。
この状態では、貸主も金融機関も「実質的に誰が営業しているのか」を判定できません。名義の整合が取れていない店は、保証の話に入る前に止まります。
【NightMA 専門家の視点】
この3つは、そのまま「売れない店」の条件と重なります。保証が外せない店は、買い手から見ても引き継ぎにくい店だからです。逆に言えば、保証を外す準備は、そのまま売却の準備になります。どちらから着手しても、到達点は同じだ。
「外れたはず」が一番危ない|458条の2で書面確認する
口頭で「もう外れています」と言われて安心してしまう。デューデリジェンスで最も多く出てくるのがこのパターンです。証拠を残してください。
保証人には情報を請求する権利がある
民法458条の2は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合、保証人の請求があったときは債権者が遅滞なく情報を提供しなければならないと定めています。
提供されるのは、元本・利息・違約金・損害賠償等についての不履行の有無、残額、そのうち弁済期が到来している額です。
まだ保証人であるなら、この権利で現状を確認できます。外れたと思っている人ほど、一度請求してみるべきです。
「外れた」の証拠として残すもの
解除が成立したなら、次の書面のいずれかを必ず手元に残してください。口約束は証拠になりません。
- 保証契約の解除に関する合意書(貸主・保証人の記名押印があるもの)
- 新しい連帯保証人・保証会社を記載した賃貸借契約書または覚書の写し
- 金融機関からの保証債務免除の通知書
- リース契約ごとの保証人変更承諾書(台数分そろっているか)
- 譲渡契約書に「保証解除をクロージング条件とする」旨が入っているか
保証整理が終わっていない店舗は、売却でどう不利になるか
保証の状態は、価格と条件の両方に効きます。買い手は「引き継げない負債」を嫌うため、整理されていない店は値段以前に候補から外れます。
買い手の目にどう映るか
保証が未整理の店舗が、交渉のどの段階で何を失うかを整理します。
| 保証の状態 | 買い手の反応 | 取引への影響 | nightmaの評価 |
|---|---|---|---|
| 3層とも整理済み・書面あり | そのまま検討に進む | 条件交渉に集中できる | 最短で決まる。価格も守りやすい |
| 貸主の承諾見込みが未確認 | 承諾リスクを価格に織り込む | 減額または承諾を停止条件にされる | 先に打診しておけば防げた損 |
| 株式譲渡だが保証解除の目処なし | スキーム自体を組み直す | クロージングが数ヶ月遅れる | 売り手だけが保証を抱えるリスク |
| リース保証の枚数を把握していない | 簿外債務を疑う | 表明保証で売り手が負担を負う | 最も安く見られる状態。先に数える |
あなたの店が上限に振れるか下限に振れるかは、①許可のクリーンさ、②内装と業態の適合、③ビルがナイト営業を許容しているか、④立地の4点で決まります。保証の整理状況は、そのすべてに影を落とします。
今の状態でいくらになるのか、そして保証を整理すればいくらまで戻るのか。この2つの数字は、動き出す前に知っておくべきものです。
買い取り業者に持ち込む前に|保証整理は仲介のほうが速い理由
保証に追われると「すぐ現金化したい」という判断に傾きます。そこで買い取り業者に持ち込む方が多い。
買い取りは業者が安く買って高く転売する仕組みです。速さと引き換えに、あなたの手取りが削られます。
そして買い取り業者は、あなたの保証を外す交渉をしません。彼らの関心は物件と造作であって、旧オーナーの個人保証ではないからです。
nightmaは仲介として、複数の買い手を水面下で競わせて価格を引き上げます。同時に貸主承諾・保証の差替え・許可の名義整理といったボトルネックを、提携する行政書士と連携して先に解きます。
店名を出さないノンネームで打診するため、スタッフにも常連にも知られません。M&A(事業譲渡・株式譲渡)、居抜き、造作譲渡の3つを扱っているため、規模と急ぎ度に応じて最適な形を選べます。
保証を外す実務フロー|着手から完了まで
ここまでの内容を、実際に動く順番に並べます。順序を入れ替えると、外したい保証がむしろ固くなります。
1〜2週目|数える
保証契約を枚数で数えます。賃貸借、金融機関、リース、仕入先。契約書の現物を集め、締結日と極度額の有無を一覧にしてください。
3〜4週目|代替カードを作る
家賃保証会社の事前審査、新しい保証人候補の属性資料、開示用の財産・収支資料を用意します。民法465条の10の情報提供義務に耐える中身にしてください。
5〜8週目|相手ごとに切り出す
金融機関が先です。事業承継特則を根拠に、承継の話が動く前に見直しを求めます。貸主には、代替カードを揃えたうえで賃貸借の話として持ち込みます。
9週目以降|書面で確定させる
合意書・承諾書・免除通知を回収します。1枚でも欠けていれば、その保証はまだ生きていると考えてください。
まとめ|外す努力は、そのまま売る準備になる
店舗の連帯保証は、貸主・金融機関・リース会社の3層に分かれています。一括では外れません。相手ごとに根拠とカードを変えて、順番に落としていく作業です。
そして保証は、更新でも退店でも譲渡でも自動的には終わりません。民法465条の4が定める終了事由は3つだけで、そのどれもが望ましい形ではないからです。
とりわけ株式譲渡は、賃借人である法人が変わらないため保証だけが手元に残るスキームです。契約書に解除条項を入れないまま調印してはいけません。
2026年現在、制度は追い風です。経営者保証ガイドラインの特則は前経営者を「第三者に該当する可能性がある」と位置づけ、二重徴求をしない原則を示しています。使わない手はありません。
NightMAの経営提言:
保証を外せない店は、買い手から見ても引き継ぎにくい店です。役員貸付、名義の不整合、把握していないリース。外すために潰すべき論点は、そのまま「高く売れる店」の条件と重なります。だから、外す作業を単独でやろうとしないでください。出口の設計と同時に進めるほうが、速く、高く、静かに終わります。保証を背負ったまま何年も悩む必要はない。まず、いまの店にいくらの値が付くかを知ることから始めてください。
保証を外す交渉と並行して、賃料そのものを見直せる場合があります。借地借家法32条を使った賃料減額請求の実務も参考にしてください。
よくある質問
相談の場で繰り返し聞かれる6つの疑問に、条文を示して答えます。
店を譲渡すれば、賃貸借の連帯保証は自動的に外れますか?
外れません。保証契約は貸主と保証人の間の契約であり、賃借人が代わっても当然には終了しないからです。賃借権を適法に譲渡した場合、新賃借人の債務にまでは及びませんが、譲渡までに生じた未払賃料や損害金は残ります。解除の合意書を必ず取り付けてください。
株式譲渡で代表を退けば、賃貸借の保証も外れますか?
外れません。株式譲渡では賃借人である法人が変わらないため、賃貸借契約も保証契約もそのまま続きます。代表者を退任しても、個人として結んだ保証契約は別の契約です。譲渡契約書に「クロージングまでに旧代表者の連帯保証を解除する」条項を入れ、解除できなかった場合の取扱いまで定めてください。
契約更新のタイミングで保証人を外せますか?
更新は自動的に保証を終わらせる事由ではありません。民法465条の4が定める元本確定事由は、保証人の財産への強制執行、保証人の破産、主たる債務者または保証人の死亡の3つだけです。
ただし更新は条件を見直す交渉の機会にはなります。家賃保証会社への切替や新しい保証人の資料を揃えて、3〜6ヶ月前から準備してください。
店舗の賃貸借の連帯保証にも公正証書は必要ですか?
不要です。民法465条の6が公正証書を求めているのは「事業のために負担した貸金等債務」を主たる債務とする保証契約であり、貸金等債務とは金銭の貸渡しや手形の割引によって負担する債務を指します。賃料はこれに当たりません。
なお借入の保証であっても、法人の取締役や議決権の過半数を有する株主は民法465条の9により公正証書が不要です。
保証人が亡くなった場合、相続人はどこまで負いますか?
民法465条の4第1項三号により、保証人の死亡で個人根保証契約の元本は確定します。したがって相続人が承継するのは、死亡時までに発生していた債務です。死亡後に生じた賃料まで負うわけではありません。親族を保証人にしている案件では、この点を知っているかどうかで結論が変わります。
保証が外れたことを、どうやって確認すればいいですか?
書面で確認してください。口頭の「もう外れています」は証拠になりません。まだ保証人である場合は、民法458条の2により債権者に対して主たる債務の履行状況の情報提供を請求できます。
解除が成立したなら、解除合意書、新保証人を記載した契約書の写し、金融機関の保証債務免除通知、リース会社ごとの保証人変更承諾書を回収してください。
