風営法の営業所移転は変更届で足りない?新規許可・旧店廃止・空白期間まで完全解説【2026年最新】

「店を別の場所に移したい。今の風営法の許可は、そのまま使えるのか」

「移転くらいなら変更届で済むだろうと思っていたが、本当にそれでいいのか。営業を止める期間は出るのか」

このように、移転時の許可の扱いが分からず不安を抱える方は少なくありません。

結論から申し上げます。風営法の許可は営業所ごとに受けるもので、別の場所への移転は、原則として変更届では足りず、移転先での新規許可の取り直しになります。

そして2026年現在、これを知らずに物件を契約してしまうと、新店で許可が下りず、営業空白が長引き、最悪の場合は移転計画そのものが崩れます。

この記事では、ナイト業界専門のM&A仲介として許可と物件の実態を見てきた立場から、なぜ移転で新規許可が必要になるのか・変更届との違い・旧店の廃止と返納・新規許可の処理期間・移転先で再チェックすべき要件・そして物件契約前にやるべきことまでを、条文と警察公式情報をベースに整理します。

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目次

まず結論|営業所の移転は原則「新規許可の取り直し」

移転で最初に押さえるべきは、「移転は住所変更の届出ではなく、許可の前提となる営業所を入れ替える行為」だという事実です。だからこそ、原則として新規許可が必要になります。

何が変更届で済み、何が新規許可になるのか。まずは3つの区分を一覧で押さえてください。

ケース手続きの基本nightmaの評価
店名変更・管理者変更・役員変更・小規模修繕変更届許可の同一性は維持。手続きは比較的軽い
同一営業所内の構造設備変更(客室位置・大規模改装等)変更承認申請(第9条第1項)事前の承認が必要。営業しながら可の場合も
別の場所への移転・建物移築(営業所の同一性喪失)新規許可実質ゼロからの取り直し。空白期間に要注意
つまり、移転は3つ目に当たります。次の章から、なぜ移転が新規許可になるのかを、根拠から順に見ていきます。

風俗営業許可が「営業所ごと」である根拠

移転が新規許可になる出発点は、風俗営業の許可が「営業所ごと」だという制度設計にあります。これは風営法第3条第1項に定められています。

風営法第3条第1項は、風俗営業を営もうとする者は、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならない、と定めています。

ここがポイントです。許可は、営業者という「人」だけに与えられる包括的なものではなく、営業者と営業所の所在地という「場所」の組み合わせに紐づいています。

だからこそ、場所が変われば、その許可の前提が変わります。許可制度の全体像は「風営法許可とは」で解説しています。

「営業所の同一性」が失われると新規許可になる

風営法の営業所の同一性が失われると新規許可 建物の新築 建物の移築 床面積が従前の2倍を超える増築 客の用に供する部分の改築 別の場所への移転は原則この同一性喪失に当たる 警察庁解釈運用基準

移転が変更で済むか新規許可になるかを分けるのが、「営業所の同一性」という考え方です。同一性が維持されれば変更、失われれば新規許可です。

警察庁の解釈運用基準では、営業所の同一性が失われる場合には新規の許可を要するとされています。

同一性が失われる例として、次のものが挙げられています。

  • 営業所建物の新築又は移築
  • 床面積が従前の2倍を超える増築
  • 営業所建物内の客の用に供する部分の改築
別の場所への移転は、まさにこの「営業所の同一性が失われる」状況です。条文に「移転=新規許可」と一語で書いてあるわけではありませんが、許可が営業所ごとであること、そして建物の移築が同一性喪失の例として明示されていることから、別住所への移転を新規許可とみる整理は、実務上きわめて強いものです。

【NightMA 専門家の視点】
「移転」という言葉に引きずられると判断を誤ります。住民票の住所変更のような「届け出れば済む手続き」をイメージしがちですが、風営法の世界では、移転は許可の土台そのものを入れ替える行為です。今の店の許可は、その場所に紐づいたもの。新しい場所には、新しい許可が要る。この前提を持たずに物件を契約すると、後戻りできない地点まで進んでから「許可が下りない」と気づくことになります。

変更届・変更承認・新規許可(移転)の違い

風営法の変更届と変更承認と新規許可の違い 店名変更管理者変更役員変更小規模修繕は変更届 同一営業所内の構造設備変更は第9条第1項の変更承認 別の場所への移転や建物移築は営業所の同一性喪失で新規許可 軽微変更届に所在地変更は含まれない

ここで、よく混同される3つの手続きを正確に切り分けます。変更届・変更承認申請・新規許可は、それぞれ対象も重さも違います。

自店のケースがどれに当たるかを、根拠とあわせて押さえてください。

変更届で済むもの

店名変更、管理者変更、役員変更などは、一般に変更届の対象です。これらは営業所の同一性を揺るがさないため、届け出ることで足ります。店名変更の手続きは「風営法の店名変更」で解説しています。

加えて、軽微な変更は第9条第3項の軽微変更届の対象です。警視庁の案内では、軽微な破損箇所の原状回復、同一規格・同一性能内での設備更新、軽微な椅子・テーブルの配置変更、照明・音響・防音設備の変更などが対象とされています。

重要なのは、この軽微変更届の対象に、営業所の所在地変更(移転)は含まれていないことです。

変更承認が必要なもの

同一営業所内での構造設備の変更(客室の位置変更、大規模な改装など)は、第9条第1項の変更承認申請の対象です。事前に公安委員会の承認を受ける必要があります。構造設備の変更手続きは「風営法の設備変更」で詳しく解説しています。

新規許可になるもの(移転)

そして、別の場所への移転や、営業所の同一性が失われる建物の移築などは、変更承認でも軽微変更届でもなく、新規許可です。同じ事業者であっても、新しい場所で改めて許可を取り直す必要があります。

同一建物内移動・近接区画移動の扱い

「同じビルの別フロアに移る」「隣の区画に広げる」といったケースは、移転なのか変更なのか、判断が難しいところです。

判断の基準は、やはり営業所の同一性が失われるかどうかです。ただし、同一建物内の区画移動や近接区画への移動が、どこまで第9条の変更承認で済み、どこから新規許可になるかについて、全国一律の明確な数値基準は条文上ありません。

そのため、この論点は所轄の公安委員会・警察署の運用判断に委ねられる部分が大きく、地域や事案によって扱いが分かれます。

「同じビルだから変更で済むはず」と自己判断するのは危険です。区画を動かす計画があるなら、着手前に必ず所轄へ事前相談してください。

旧営業所の廃止と許可証返納

移転で新規許可を取り直す場合、新店の許可申請だけでなく、旧店の後始末も必要です。旧営業所をやめる以上、その許可の返納手続きが発生します。

旧店をやめる場合は、許可証の返納が必要です。警察の公的案内では、返納理由が発生した日から10日以内に、返納理由書に許可証を添えて返納するとされています。

旧店の廃止・返納の手続きの詳細は「風営法の廃業届(廃止届出・許可証返納)」で解説しています。移転では、新店の新規許可と旧店の返納を、段取りよく進める必要があります。

なお、旧店の返納と新店の新規許可申請をどう並行させるかは、法文に明示があるわけではなく、実務上の段取りの問題です。営業空白を最小化するためにも、所轄と相談しながらタイミングを設計してください。

新店舗の新規許可申請と標準処理期間【空白期間問題】

移転で最も経営に響くのが、新規許可にかかる時間です。許可が下りるまで、新店では風俗営業を始められません。

警視庁の審査基準では、風営法の許可について、標準処理期間を定めることはできないとしつつ、おおむね55日以内(行政庁の休日を含まない)を目安としています。

つまり、申請してから許可が下りるまで、目安として2か月前後かかる場合があります。許可取得の流れは「風営法1号許可の申請・費用・期間」も参照してください。

この期間、旧店を先に閉めてしまうと、新店の許可が下りるまで売上がゼロになります。家賃・人件費は発生し続けるため、移転は「いつ旧店を閉め、いつ新店を開けるか」のタイミング設計が、資金繰りを左右します。

移転先で再チェックすべき用途地域・保護対象施設・図面

移転は新規許可なので、移転先では、最初に許可を取ったときと同じ審査をもう一度受けます。今の店で問題なくても、移転先で要件を満たさなければ許可は下りません。

移転先で改めて確認すべき主な要件は次のとおりです。契約前に、ここを潰しておくことが決定的に重要です。

  • 用途地域(営業可能な地域か。営業禁止地域でないか)
  • 保護対象施設からの距離(学校・病院等からの距離制限をクリアするか)
  • 営業所の構造設備(客室の床面積・見通し・照度などの基準を満たすか)
  • 図面(営業所平面図・求積図・周囲略図などを用意できるか)
  • 使用権原(賃貸借契約で風俗営業の使用が認められているか)
用途地域や保護対象施設からの距離の考え方は「風営法の禁止地域」、申請に必要な図面は「風営法の図面」で解説しています。

これらは、物件を借りてからでは取り返しがつきません。「いい物件が見つかった」と契約してから許可が下りないと分かるのが、移転で最も多い失敗です。

【NightMA独自】移転=許可リセット=物件契約前の適法性DDが最重要

風営法の移転の正しい順序 物件契約前に所轄へ事前相談 適法性DDで用途地域保護対象施設構造設備使用権原を確認 クリアしたら物件契約 新店は新規許可申請処理期間目安55日 旧店は廃止届許可証返納10日以内 許可取得後に新店オープン

ここからが、一般的な許認可記事が踏み込まない領域です。移転は単なる手続きの問題ではなく、営業継続性・キャッシュフロー・事業価値に直結する経営判断です。

許可が場所に紐づく以上、移転で新規許可が必要になると、営業空白期間・保証金の再投資・内装の再審査・スタッフの維持コストが一度に発生します。これらはすべて、買収判断や譲渡価格に跳ね返ります。

特に居抜き買収や、立ち退き・建替えに伴う代替物件への移転では、注意が必要です。物件を取得しても、その場所で風俗営業の許可が下りなければ、計画そのものが成立しません。

だからこそ、移転先や買収対象の物件は、契約前に用途地域・保護対象施設・構造設備・使用権原を一括で確認する適法性のデューデリジェンスが欠かせません。これを外すと、居抜きで物件を取得しても許可が下りず、M&A後の統合計画が崩れます。

NightMAの経営提言:
移転で最もやってはいけないのは、「物件を先に契約してから許可を考える」ことです。風営法の許可は場所に紐づき、移転すればリセットされる。だから順番が逆です。先に「この場所で許可が下りるか」を確認し、それから契約する。これが鉄則です。2026年、移転や居抜き買収で動くなら、物件のデザインや家賃より先に、適法性のデューデリジェンスに時間を使ってください。許可が下りる立地かどうかが、その投資の成否をすべて決めます。

よくある質問(FAQ)

Q. 店を移転したら、今の風営法の許可はそのまま使えますか?

原則として使えません。風俗営業の許可は営業所ごと(風営法第3条第1項)で、別の場所への移転は営業所の同一性が失われるため、移転先での新規許可の取り直しになります。住所変更の届出で済むものではありません。

Q. 移転は変更届で済みませんか?

済みません。軽微変更届(第9条第3項)の対象は小規模修繕・設備更新・軽微な配置変更などで、営業所の所在地変更(移転)は含まれていません。店名変更や管理者変更は変更届で済みますが、場所そのものの移転は新規許可です。

Q. 移転で営業を止める期間は出ますか?

出る場合があります。新規許可は、警視庁の審査基準で目安として55日以内(行政庁の休日を含まない)とされており、許可が下りるまで新店では営業できません。旧店を先に閉めると、その間は売上がゼロになるため、旧店の閉店と新店の開店のタイミング設計が重要です。

Q. 同じビルの別フロアへの移動も新規許可ですか?

営業所の同一性が失われるかどうかで判断されます。同一建物内・近接区画への移動について全国一律の明確な数値基準は条文上なく、所轄の運用判断に委ねられる部分が大きい論点です。自己判断せず、着手前に所轄へ事前相談してください。

Q. 居抜きで別の物件に移りたいのですが、注意点は?

許可は場所に紐づくため、居抜きで物件を取得しても、その場所で新規許可が下りなければ風俗営業はできません。用途地域・保護対象施設からの距離・構造設備・使用権原を、物件契約前に必ず確認してください。契約後に許可が下りないと判明するのが最も多い失敗です。

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※ しつこい営業はありません

まとめ

風俗営業の許可は営業所ごと(風営法第3条第1項)に受けるものです。そのため、別の場所への移転は、変更届では済まず、原則として移転先での新規許可の取り直しになります。

判断の分水嶺は「営業所の同一性」です。警察庁の解釈運用基準では、建物の新築・移築、床面積が従前の2倍を超える増築、客の用に供する部分の改築などで同一性が失われ、新規許可が必要になります。同一建物内の移動などは所轄の運用判断に委ねられる部分が大きく、事前相談が安全です。

新規許可には目安として55日以内(行政庁の休日を除く)の処理期間がかかり、移転には営業空白が生じやすくなります。旧店の廃止・許可証返納と、新店の新規許可申請を、段取りよく進める必要があります。

そして、許可は場所に紐づくため、移転先・買収物件は契約前に用途地域・保護対象施設・構造設備・使用権原を確認する適法性のデューデリジェンスが最重要です。

nightmaは、移転や居抜き買収の物件適法性チェックから、許可を前提とした居抜き・M&A・造作譲渡まで支援します。移転や物件選びに不安があれば、契約前に一度ご相談ください。

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