「うちは接待もしていないただのバーだけど、雰囲気を出すために照明を暗くしている。これって何か許可がいるのか。深夜酒類提供飲食店営業の届出を出しているから大丈夫だと思っていたが、本当に問題ないのか。」
このように感じている方は少なくありません。
結論から申し上げます。風営法2号とは「低照度飲食店」のことで、店内(客室)の照度を10ルクス以下にして客に飲食をさせる営業は、接待をしていなくても風俗営業の許可が必要です。
そして最大の落とし穴は、「バーだから深夜酒類提供飲食店営業の届出だけで足りる」と思い込み、照明を10ルクス以下に落としたまま営業してしまうことです。これは届出では済まず、無許可の風俗営業として5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金の対象になり得ます。
nightmaは風営法の条文・警察庁の解釈運用基準・各都道府県警の公的情報と、行政書士提携の実務知見、そしてM&A・事業承継の現場データを照合し、2号営業の定義から照度基準・他区分との違い・許可手続き・罰則・M&A時の許可承継まで一気通貫で解説できる立場にあります。
この記事では、2号営業の正体、照度ルールの実務、1号・3号・特定遊興・深夜酒類提供との違い、許可要件、申請手続き、無許可営業の罰則、そしてM&A・居抜きでの注意点まで、公的根拠を明示して解説します。
風営法2号とは「低照度飲食店」のこと
結論から述べると、風営法2号は「低照度飲食店」を指し、店内の照度を10ルクス以下にして客に飲食をさせる営業(接待を除く)が許可の対象です。
風営法第2条第1項第2号の定義
風営法第2条第1項第2号は、2号営業を「喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計った営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業を除く)」と定義しています(風営法 e-Gov)。
つまり、業態がバーか喫茶店かは本質ではなく、「照度が10ルクス以下かどうか」と「接待をしているかどうか」で判断されます。
10ルクス以下なら接待がなくても風俗営業になる
10ルクスとは、ろうそく程度の明るさで、向かいに座った人の顔がかろうじて分かる程度の暗さです。
ここが見落とされがちな点で、接待をしていない普通のバーでも、雰囲気づくりのために客室の照度を10ルクス以下に落とせば、それだけで風俗営業(2号)に該当し、公安委員会の許可が必要になります。接待があれば後述する1号の問題になります。
【NightMA 専門家の視点】
2026年現在、最も多い誤解が「接待していないバーは風営法と無関係」という思い込みです。風営法は接待だけを規制しているのではありません。暗がりで違法な取引やわいせつ行為が行われることを防ぐため、「店内が暗い」という事実そのものを規制対象にしています。照明を落として高級感や隠れ家感を演出すること自体が、許認可の区分を変えてしまう。これは内装・演出という経営判断が、そのまま法務リスクに直結する典型例です。
風営法の許可が必要な店・不要な店の判定基準や許可制度の全体像は、風営法許可とはの完全ガイドが詳しいです。

2号営業の照度ルール

結論から述べると、2号営業の照度は「客室は10ルクス以下が許容されるが、5ルクス以下にはできない」という二重の基準で運用されます。
5ルクス未満は不可
風営法施行規則は、2号営業の構造設備基準として「営業所内の照度が5ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること」を求めています(風営法施行規則 e-Gov)。
つまり「10ルクス以下ならいくら暗くてもよい」わけではなく、客室は5ルクス超〜10ルクス以下という狭い範囲に収める必要があります。5ルクス以下に落とせる状態は構造設備基準への適合性に問題が出やすくなります。
測定の場所と時間
警察庁の解釈運用基準では、照度の測定について、営業所内のいずれかの測定場所で、営業時間の半分以上にわたって10ルクス以下であれば低照度飲食店に該当すると整理されています。
そのため、ごく一時的に暗くするのではなく、営業時間の多くを暗い状態で営むと、2号該当性が問題になります。
スライダックス調光のリスク
調光器(スライダックス等)で、検査のときだけ明るくして普段は暗く営業する運用は危険です。
実際の営業中に客室の照度が長時間10ルクス以下になっていれば、調光器の有無にかかわらず2号該当のリスクが生じます。
照度は単なる内装の問題ではなく、許可・届出の区分を分ける決定的な要素です。
1号・3号・特定遊興・深夜酒類提供との違い

結論から述べると、2号は「照度」で規制される区分で、接待の1号・区画席の3号・深夜遊興の特定遊興・届出制の深夜酒類提供とは、それぞれ規制の軸が異なります。
1号は接待、2号は低照度
1号営業(接待飲食等営業)との最大の違いは、接待の有無です。
1号はキャバクラ・ホストクラブ・スナックのように客の接待をして遊興・飲食をさせる営業で、2号の定義は「1号に該当する営業を除く」とされています。暗い店でも接待をすれば、2号ではなく1号の問題になります。
3号は区画席の構造
3号営業(区画席飲食店営業)との違いは、規制の中心が照度ではなく「見通しの悪い区画席」という構造にある点です。
5平方メートル以下で、他から見通すことが困難な客席を設けて営む飲食店が3号で、暗さではなく区画の構造が問題になります。
特定遊興は深夜の遊興
特定遊興飲食店営業との違いは、深夜(午前0時以降)に客に遊興をさせる営業である点です。
特定遊興飲食店営業は、深夜にナイトクラブ等で客を遊興させる別許可で、照度はむしろ10ルクス超の側に置かれます。暗さで規制される2号とは方向が逆です。
深夜酒類提供は届出制だが20ルクス超が前提
最も混同が危険なのが、深夜酒類提供飲食店営業との違いです。
深夜酒類提供飲食店営業は許可ではなく届出制ですが、その構造設備基準として照度は20ルクス超が求められ、接待も深夜の遊興もできません。つまり「届出だから簡単」と考えて照明を10ルクス以下に落とすと、届出制度の前提を外れ、許可制の2号営業に切り替わってしまいます。
下表は、5つの区分の違いの整理です。
| 区分 | 規制の軸 | 接待・遊興 | 照度の目安 | 許可/届出 | nightmaの評価 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1号(接待飲食等) | 接待 | 接待あり | ― | 許可 | 接待があれば暗くなくても1号 |
| 2号(低照度飲食店) | 照度 | なし | 10ルクス以下 | 許可 | 本記事のテーマ |
| 3号(区画席飲食店) | 区画構造 | なし | ― | 許可 | 見通し困難な小区画 |
| 特定遊興飲食店 | 深夜の遊興 | 遊興あり | 10ルクス超 | 許可 | 深夜営業前提の別許可 |
| 深夜酒類提供飲食店 | 深夜の酒類提供 | なし | 20ルクス超 | 届出 | 暗くすると届出では足りない |
接待を伴う1号営業(キャバクラ・ホストクラブ・スナック等)の許可要件・申請実務は、風営法1号許可の完全ガイドが詳しいです。

【最重要】暗いバーは深夜酒類届出では済まない

結論から述べると、深夜酒類提供飲食店営業の届出のつもりで照明を10ルクス以下に落とすと、無許可の風俗営業に転落する危険があり、ここが本記事で最も重要な警告です。
許可制と届出制の境界
深夜酒類提供飲食店営業は届出で営める一方、その前提として照度は20ルクス超を維持しなければなりません。
照明を10ルクス以下に落とした瞬間、その営業は深夜酒類提供飲食店営業の構造設備基準を満たさなくなり、低照度飲食店(2号)として許可が必要な営業に性質が変わります。届出と許可は手続きの重さがまったく違います。
「届出のつもり」が無許可営業になる
秋田県警の注意文書も、照度10ルクス以下で営業する場合は低照度飲食店営業として公安委員会の許可が必要で、違反すれば刑事罰の対象になると案内しています(秋田県警 飲食店営業の注意)。
「バーだから深夜酒類の届出でよい」という思い込みで、暗い照明のまま深夜まで営業する。これは経営者本人に違法の認識がなくても、無許可風俗営業に該当し得る危険な状態です。
【提言】
自店が「届出で足りるのか、許可が必要なのか」を判断する基準はシンプルです。①接待をしているか(していれば1号許可)、②客室の照度を長時間10ルクス以下にしているか(していれば2号許可)、③深夜に酒類提供だけで営業するか(接待・遊興なし・20ルクス超なら深夜酒類の届出)。この3点を、実際の営業中の照度を測定したうえで切り分けてください。判断に迷うなら、照明設計を決める前に所轄警察署の生活安全課へ相談するのが最も安全です。
深夜に客を遊興させる営業に必要な特定遊興飲食店営業許可の要件・2号や深夜酒類との違いは、特定遊興飲食店営業許可の完全ガイドが詳しいです。

2号営業の許可要件
結論から述べると、2号営業の許可には、人的要件(欠格事由)・場所的要件(営業禁止地域)・構造設備要件(照度維持設備・見通し・施錠禁止等)の3つを満たす必要があります。
人的要件(欠格事由)
申請者(個人または法人の役員)に、風営法の定める欠格事由がないことが必要です。
一定の犯罪歴や許可取消し歴などがあると、許可を受けられません。これは風俗営業全般に共通する要件です。
場所的要件(営業禁止地域・用途地域)
営業所が、用途地域や営業禁止地域の制限に適合している必要があります。
学校・病院等の保全対象施設の周辺や、住居専用地域などでは営業ができません。物件選びの段階でこの確認を誤ると、許可そのものが下りません。
構造設備要件
2号営業の構造設備基準として、風営法施行規則は次を求めています。
- 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと
- 善良の風俗や清浄な風俗環境を害するおそれのある写真・広告物・装飾等を設けないこと
- 営業所内の照度が5ルクス以下とならないように維持される構造・設備を有すること
- 騒音・振動の数値が条例で定める数値以下に維持される構造・設備を有すること
- 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと
許可申請の手続き・必要書類・費用
結論から述べると、2号営業の許可申請は所轄警察署の生活安全課を経由して行い、手数料は24,000円、標準処理期間は55日以内が目安です。
必要書類と申請窓口
申請の中心となる書類は、許可申請書・営業の方法を記載した書類・営業所周辺の図面や平面図・申請者の住民票や身分を証する書類で、法人なら登記事項証明書等が加わります。
提出先は営業所を管轄する警察署の生活安全課を経由した公安委員会です。事前相談で必要書類と図面の様式を確認してから動くと、差戻しを防げます。
手数料24,000円・標準処理期間55日
許可手数料は、長野県警・兵庫県警の公的案内で「その他の風俗営業」として24,000円が確認でき、1号営業と同水準です(長野県警 風俗営業の手続)。
標準処理期間は、警視庁が「55日以内を目安」とし、営業所が存在し実地調査が可能であることを前提としています。実地調査(現場検査)は事実上の前提と考えてください。なお手数料・期間は都道府県警によって運用が異なる場合があるため、最新の公表内容を確認してください。
下表は、2号許可申請の費用と期間の整理です。
| 項目 | 内容 | 公的確認の度合い | nightmaの評価 |
|---|---|---|---|
| 許可手数料 | 24,000円(その他の風俗営業) | 県警案内で確認 | 1号と同額 |
| 標準処理期間 | 55日以内が目安 | 警視庁案内 | 実地調査が前提 |
| 申請窓口 | 所轄警察署 生活安全課 経由 公安委員会 | 県警案内 | 事前相談が有効 |
| 営業時間 | 風俗営業のため原則午前0時まで | 法13条・施行令 | 深夜営業は原則不可 |
営業時間は原則午前0時まで
2号営業は風俗営業なので、営業可能時間は原則として午前0時までです。
政令・条例で定める特別な地域では午前1時まで認められる場合がありますが、いずれにせよ深夜帯の営業は原則できません。「暗い雰囲気で深夜まで」という営業設計は、2号の営業時間規制と深夜酒類提供の照度基準の両面から成立しにくい点に注意が必要です。
無許可営業の罰則
結論から述べると、2号営業に該当するのに無許可で営業すると、風営法第49条第1号により5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれを併科という重い罰則の対象です。
第3条第1項違反・第49条第1号
風俗営業は、公安委員会の許可を受けなければ営んではならないと第3条第1項が定めています。
これに違反して無許可で2号営業を営んだ場合、第49条第1号により5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれを併科という刑事罰が科され得ます。
この罰則は2025年の改正で、従来の「2年以下の懲役・200万円以下の罰金」から「5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金」へ引き上げられ、法人にも両罰規定で3億円以下の罰金(第57条第1号)が科され得ます。拘禁刑は懲役・禁錮を一本化した刑で、2025年6月に施行されました。
届出漏れとは比較にならない重さ
ここが本記事の核心です。深夜酒類提供飲食店営業の届出漏れと、2号の無許可営業は、重さがまったく違います。
届出漏れは届出義務違反ですが、2号該当なのに許可を取らずに営むのは「無許可営業」という、許可制度の根幹を破る違反です。違反類型ごとの行政処分の詳細は、別記事の風営法違反ガイドで解説しています。
なお2号営業に固有の行政処分の量定は、公的資料で単独に切り出して確認できる範囲が限られます。ここは無許可営業・構造設備基準違反が処分対象になる、という範囲で理解してください。
違反類型ごとの行政処分の量定基準・営業停止・許可取消しの詳細は、風営法違反の完全ガイドが詳しいです。

M&A・居抜きでの注意点
結論から述べると、2号許可付き店舗をM&Aや居抜きで取得しても、許可は当然には引き継げず、買い手は原則として自分が新たに許可主体になれるかを前提に動く必要があります。
許可は承継できるのか
風俗営業の許可は営業者個人・法人に紐づく許可であり、営業譲渡・事業譲渡や単純な店舗の売買では当然には承継されません。
一方で風営法には、相続による承継(第7条の2)と、法人の合併・分割による承継(第7条の3)の制度が存在します。逆にいえば、これらの法定承継スキームに当たらない通常の取引では、買い手が新規に許可を取り直す前提で考える必要があります。
株式譲渡で許可法人そのものが存続する場合は、法人格が同一である限り事情が異なります。ただしこれは会社法・契約実務と風営法実務を合わせて、個別に確認すべき領域です。
照度コンプラがDDで重要な理由
2号許可付き店舗を評価する際は、現況の照度が本当に基準どおりか、許可図面どおりの構造設備か、深夜営業をしていないかが、譲渡額や融資審査に直結します。
許可は持っているが実際には5ルクス以下で営業している、あるいは深夜まで営業しているといった店舗は、買収後に違反是正のコストとリスクを抱えます。デューデリジェンスでは、許可証だけでなく現況照度と運用実態の確認が欠かせません。
演出目的の改装が許認可リスクになる理由
買収後に「もっと隠れ家感を出そう」と照明を落とす改装をすると、それまで通常飲食店だった店が2号該当に変わることがあります。
照明や間仕切りを変える改装は、構造設備の変更手続きや営業区分の変更を伴う可能性があり、演出のつもりの改装が許認可リスクに直結します。改装計画は許可区分とセットで設計すべきです。
【NightMA 専門家の視点】
M&Aで飲食店を扱うとき、私たちが必ず確認するのが「現況の照度・営業時間・接待の有無が、許可区分と一致しているか」です。許可は通常飲食店なのに実際は10ルクス以下の薄暗いバーとして深夜まで回している、という店舗は珍しくありません。これは買い手にとって「営業中の店の取得」が「違反状態の引き継ぎ」に変わる地雷です。逆に、照度・営業時間・許可区分がきれいに一致した店舗は、DD通過率も融資評価も高く、出口価値を守れます。雰囲気づくりの照明設計こそ、許認可とセットで考えるべき経営テーマです。
照明や間仕切りを変える改装の手続き(変更承認申請・軽微変更届出)の判断基準は、風営法の設備変更の完全ガイドが詳しいです。

2号は「暗さ」で規制されますが、見通しが困難で5平方メートル以下の客席を設ける営業は3号(区画席飲食店)として、むしろ照度10ルクス超が必要です。2号と逆の3号の要件は風営法3号の完全ガイドが詳しいです。

照度を10ルクス以下に暗くすれば2号ですが、深夜に主に酒類を提供する営業(照度20ルクス以上)は届出制です。両者の違いは深夜酒類提供飲食店営業の完全ガイドが詳しいです。

区画席飲食店(3号営業)との違いは、風営法3号とはで解説しています。
まとめ|2号は「照度10ルクス以下=許可」を起点に判断する
2026年現在、風営法2号で最も重要なのは、それが「低照度飲食店」であり、接待をしていなくても客室の照度を10ルクス以下にすれば風俗営業の許可が必要になる、という起点を押さえることです。
照度は客室で5ルクス超〜10ルクス以下に収める必要があり、1号(接待)・3号(区画席)・特定遊興(深夜遊興)・深夜酒類提供(届出制・20ルクス超)とは規制の軸が異なります。とりわけ、深夜酒類提供の届出のつもりで照明を10ルクス以下に落とすと、無許可の風俗営業に転落する危険があります。
無許可営業は風営法第49条第1号で5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金と、届出漏れとは比較にならない重さです。許可手数料は24,000円、標準処理期間は55日以内が目安で、営業時間は原則午前0時までです。
M&A・居抜きでは、許可は当然には承継できず、現況の照度・営業時間・許可区分の一致がDD・融資の論点になります。照明設計という経営判断を、許認可とセットで考えることが、店舗の継続と出口価値の両方を守ります。
NightMAの経営提言:
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