「店長が急に辞めて、その人が風営法の管理者だった。何日以内に、何を、どこへ出せばいいのか。届出が遅れたら罰則はあるのか。」
このように感じている方は少なくありません。
結論から申し上げます。風営法の管理者変更は「管理者不在後14日以内に新管理者を選任」+「選任日から10日以内に変更届出書を提出」という二段階の期限で進めます。そして、見落とされがちですが「届出を出していないこと」より「営業所に適法な管理者がいない状態」の方が、行政処分上は重く扱われます。
nightmaは警察庁・各都道府県警の公的情報と、行政書士提携の実務知見、そしてM&A・事業承継の現場データを照合し、管理者変更の手続きから罰則・営業停止リスク・M&A時の実務までを一気通貫で解説できる立場にあります。
この記事では、管理者変更届出が必要なケース、二段階の期限、必要書類、写真・証明書の規格、費用の切り分け、管理者の要件、罰則と営業リスク、そしてM&A時の管理者変更実務まで、徹底的に公的根拠で解説します。
管理者変更届出が必要になるケース
結論から述べると、風営法の管理者変更届出は、営業所の「管理者」として届け出ている人物が変わったときに必要になります。
管理者が退職・異動・死亡した場合
最も典型的なのが、管理者を務めていた店長や責任者が、退職・異動・死亡などで営業所からいなくなるケースです。
風営法では営業所ごとに管理者を1名置く義務があるため、管理者が不在になったら、新たな管理者を選任して届け出る必要があります。
M&A後に新体制へ切り替える場合
株式譲渡などでM&Aを行い、新オーナーのもとで現場の管理者を差し替える場合も、管理者変更届出が必要です。
法人格が同一でも、届出されている管理者が変わるなら手続きが発生します(M&A時の実務は最後の章で詳しく解説します)。
役員変更や移転とは別手続きであること
注意すべきは、管理者変更届出は、代表取締役などの役員変更届や、営業所移転の手続きとは別物だということです。
代表取締役が変わると役員変更届、営業所を移すと移転の手続き、そして管理者が変わると管理者変更届と、それぞれ独立した手続きです。M&Aで「役員変更届だけ出して管理者変更届を忘れる」のが実務上の典型的な事故です。風営法の許可承継・名義変更の全体像は、別記事の許可承継ガイドで解説しています。
【NightMA 専門家の視点】
2026年現在、管理者変更で最も多いミスが「役員変更と管理者変更の混同」です。M&Aや代表交代では、登記が必要な役員変更に意識が向き、現場の管理者変更届がすっぽり抜けることが頻繁にあります。会社が変わるかではなく「届出されている管理者が変わるか」で判断してください。
風営法の許可承継・M&A時の引き継ぎ・名義変更で守るべきルールの全体像は、風営法に基づく許可の承継とM&Aの完全ガイドが詳しいです。

管理者変更の期限|14日+10日の二段階

結論から述べると、管理者変更の期限は「不在後14日以内に新管理者を選任」と「選任日から10日以内に届出」の二段階で、これを混同すると期限を誤ります。
管理者不在後14日以内に新管理者を選任
管理者が退職・死亡等で不在になった場合、まず不在になってから14日以内に新しい管理者を選任する必要があります。
これは「届出の期限」ではなく「管理者を立てる期限」です。営業所に管理者がいない空白期間を最小化するための期限です。
選任日から10日以内に変更届出書を提出
新管理者を選任したら、その選任日から10日以内に変更届出書を所轄警察署へ提出します。
つまり、不在から数えて最長で「14日+10日」のプロセスになりますが、それぞれの起点が異なる点に注意が必要です。
「10日以内」と「14日以内」を混同しやすい理由
多くの解説が「管理者が変わったら10日以内」とだけ書くため、「不在から10日以内に全部やる」と誤解されがちです。
正確には、選任までが14日、届出までが選任から10日という二段階です。ただし、実務上は管理者不在の状態自体がリスクになるため、できるだけ早く後任を選任し、速やかに届け出るのが鉄則です。
管理者変更の必要書類

結論から述べると、管理者変更の必要書類は「全国共通の基本書類」と「所轄によって追加されやすい書類」に分かれます。
変更届出書(公式必須)
中心となるのは変更届出書です。これは所轄警察署または都道府県警のサイトで様式を入手できます。
新管理者の氏名・住所・生年月日などを記載し、添付書類とともに提出します。
誓約書・住民票・身分証明書・顔写真2枚
広島県警の公式資料では、変更届出書に加えて、新管理者の誓約書、住民票の写し、本籍地の役場が発行する身分証明書、顔写真2枚が必要とされています(広島県警 変更届出の必要書類)。
これらが、公的資料で確認できる「最低ライン」の書類です。
所轄により追加されやすい書類
民間の実務記事では、上記に加えて次の書類を求める所轄差が紹介されています。
- 誓約書2種(欠格事由非該当・誠実業務の2通)
- 登記されていないことの証明書(成年被後見人等でない証明)
- 旧管理者の管理者証
- 届出が遅れた場合の理由書
| 書類 | 区分 | nightmaの評価 |
|---|---|---|
| 変更届出書 | 公式必須 | 様式は所轄サイトで入手 |
| 新管理者の誓約書 | 公式必須 | 所轄により2種求められる |
| 住民票の写し | 公式必須 | 本籍記載・期限に注意 |
| 身分証明書(本籍地発行) | 公式必須 | 本籍地の役場で取得 |
| 顔写真2枚 | 公式必須 | 規格厳格(次の章で詳述) |
| 登記されていないことの証明書 | 所轄で追加 | 法務局で取得・事前確認推奨 |
| 旧管理者の管理者証 | 所轄で追加 | 回収・返納を求められる場合 |
| 理由書 | 所轄で追加 | 届出遅延時に求められやすい |
【NightMA 専門家の視点】
管理者変更で差し戻しが多いのは「所轄ごとの追加書類」を知らずに公式最低ラインだけ揃えて出すケースです。登記されていないことの証明書は法務局、身分証明書は本籍地の役場と、取得先がバラバラで時間がかかります。提出前に所轄警察署の生活安全課へ電話で必要書類を確認するのが、二度手間を防ぐ最短ルートです。
写真・証明書の規格
結論から述べると、顔写真と証明書は規格が厳格で、ここを外すと差し戻しになります。
顔写真2枚の規格
顔写真は、縦3.0cm×横2.4cm、申請前6か月以内に撮影、無帽・正面・上三分身・無背景が原則です。
さらに、写真の裏面に氏名と撮影年月日を記載することが求められます。スマートフォンで撮った写真を自分で印刷すると規格を満たさず差し戻されやすいため、証明写真機や写真店での撮影が安全です。
住民票・身分証明書は3か月以内発行の運用例
住民票の写しと身分証明書は、3か月以内に発行されたものを求める運用例が確認できます。
古い証明書を使い回すと差し戻しになるため、届出のタイミングに合わせて取得します。身分証明書は本籍地の役場でしか取得できないため、本籍が遠方の場合は郵送請求の日数も逆算が必要です。
費用と手数料|変更届は無料・書換は1,500円
結論から述べると、管理者変更届出そのものは手数料無料が基本で、許可証の書換えが必要な場合のみ1,500円がかかります。
管理者変更届出そのものは無料が基本
管理者変更の変更届出は、通常、手数料は不要です。
「管理者を変えるのにお金がかかる」と思われがちですが、届出だけなら費用はかかりません。
許可証書換申請が必要な変更は1,500円
一方、許可証の記載事項に変更が及ぶ場合は、許可証書換申請が必要になり、その手数料は1,500円です(奈良県警 書換申請)。
管理者の氏名は許可証の記載事項に含まれないことが多いため、管理者変更だけなら書換不要のケースが一般的ですが、所轄や変更内容によって異なるため確認が必要です。
行政書士へ依頼する場合の報酬相場
管理者変更届を行政書士に依頼する場合、報酬相場は2万〜5万円程度です。
書類取得の手間、所轄差の把握、差し戻しリスクの回避を考えると、特にM&Aや複数店舗を抱えるオーナーは専門家へ依頼する価値があります。
管理者の要件と欠格事由
結論から述べると、管理者は誰でもなれるわけではなく、営業所ごとに1名の選任義務があり、欠格事由に該当しない人物でなければなりません。
営業所ごとに1名の選任義務
風営法では、営業所ごとに業務を管理する管理者を1名選任する義務があります。
複数店舗を経営する場合、原則として各営業所に別々の管理者が必要で、1人が複数の営業所を掛け持ちすることは想定されていません。
未成年・前科・反社などの欠格事由
管理者には、申請者(営業者)と同様の欠格事由が適用されます。
未成年者、一定の前科がある者、暴力団関係者、心身の故障により業務を適正に行えない者などは管理者になれません。後任を選ぶ際は、この欠格事由に該当しないかを必ず確認します。
兼任の可否と常駐性の考え方
管理者は営業所の業務を実際に管理する立場のため、常駐性が重視されます。
名義だけ貸して実際には別の場所にいる、という運用は認められません。他店との兼任や、実態のない管理者の設定は、立入検査で発覚すると問題になります。
管理者と同じ欠格事由が適用される申請者(営業者)の要件や1号許可の申請実務は、風営法1号許可の完全ガイドが詳しいです。

届出先と書き方
結論から述べると、管理者変更届は営業所を管轄する所轄警察署の生活安全課に提出し、都道府県で様式や運用が微妙に異なります。
所轄警察署の生活安全課へ提出
提出先は、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課(保安係)です。
公安委員会あての書類ですが、窓口は所轄警察署になります。
変更届出書の書き方と記載ミス例
記載でミスが多いのは、変更年月日(選任日)の記載、新管理者の本籍の記載、添付書類のチェック漏れです。
特に「いつ管理者が変わったか」の日付は期限計算の起点になるため、正確に記載します。
都道府県で様式名や運用が異なる点
変更届出書の様式名や、求められる添付書類は都道府県によって微妙に異なります。
広島県・岐阜県・東京都など、各都道府県警が公式サイトで様式を公開しているため、必ず営業所がある都道府県の様式を使い、所轄に事前確認するのが安全です。
風営法の許可が必要な店・不要な店の判定基準や許可の全体像は、風営法許可とはの完全ガイドが詳しいです。

届出を怠った場合の罰則と営業リスク

結論から述べると、管理者変更の届出漏れは罰金で終わらず、行政処分(営業停止)に波及し得ます。そして「届出漏れ」より「無管理者営業」の方が処分は重く扱われます。
変更届出義務違反(罰金30万円・営業停止5〜20日)
風営法第9条3項の変更届出義務に違反した場合、行政書士整理では法第55条第4号ベースで30万円以下の罰金とされています。
行政処分の面では、警察庁モデル処分基準をもとにした整理で、変更届出義務違反は営業停止5日以上20日以下・基準期間7日とされています。
管理者未選任は「届出漏れ」より重い(営業停止5〜40日)
ここが最も重要な論点です。「管理者変更届を出していないだけ」の問題と、「そもそも営業所に管理者がいない」問題は別であり、後者の方が重く扱われます。
警察庁の処分基準別紙2では、管理者選任義務違反は営業停止5日以上40日以下・基準期間14日と整理されており、変更届出義務違反(5〜20日・基準7日)より重い枠です(警察庁 行政処分の量定基準)。
つまり、後任をすぐ選任できず無管理者状態が続くことこそ、最大のリスクです。
単発・自主是正と放置・反復で実務対応が違う
実務上は、単発の届出遅れを自主的に理由書を添付して是正した場合、ただちに重い処分に至らないケースも多いとされています。
一方、警察から手続きを促されても放置した場合や、同種違反を繰り返す場合は、営業停止などの行政処分へ進みます。違反類型ごとの行政処分の詳細は、別記事の風営法違反ガイドで解説しています。
なお、届出漏れが発覚するきっかけは、立入検査・管理者証提示時・他の届出や更新対応・別件調査時などが実務上想定されますが、これは公式に一覧化された資料ではなく実務推定を含みます。
違反類型・行政処分の量定基準・営業停止・許可取消しの詳細は、風営法違反の完全ガイドが詳しいです。

M&A・事業承継での管理者変更|まとめ
結論から述べると、M&Aでは「オーナーが変わるか」より「誰が明日から管理者として立てるか」の方が、営業継続上は重要になる場面があります。
株式譲渡でも管理者変更届は必要
株式譲渡では法人格が同一なので、風俗営業許可の主体自体は通常変わりません。
しかし、買収後に現場の管理者を差し替えるなら、管理者変更届は別途必要です。代表取締役変更(役員変更届)と管理者変更届は別手続きであり、「役員変更だけ出して管理者変更を忘れる」のが事故ポイントです。
クロージング設計(退職日・就任日・届出予定日を契約前に)
M&Aのクロージング設計では、旧管理者がクロージング日に抜けるのか、一定期間残るのかを先に決めることが重要です。
最も安全なのは、旧管理者の退職日、新管理者の就任日、届出提出予定日を、最終契約前の実行チェックリストに落とし込むことです。後任候補が欠格事由に該当しないか、常駐できるかも事前に確認しておきます。
買収後に旧管理者がすぐ退職し、新管理者をすぐ選任できないと、無管理者状態そのものが行政処分リスクになります。
DDで確認される管理者履歴
M&Aのデューデリジェンスでは、許認可の有効性・承継可否・行政処分歴・法令違反履歴が確認対象になります。
ナイト店舗では、許可証記載事項と実態の一致、管理者が現在誰で届出が最新化されているか、過去の変更届に漏れがないか、行政指導・処分歴がないかが見られます。
管理者変更届の漏れや管理者未選任が買収後に発覚すると、M&A契約上の表明保証(許認可を適法に維持している等)に抵触し、損害賠償・補償請求・価格調整につながる可能性があります。
管理者が頻繁に変わる店舗は、現場統制・人材定着・警察対応の継続性に不安があると見られ、内部管理が弱い店と評価されやすくなります。
【NightMA 専門家の視点】
M&Aで風営許可付き店舗を扱うとき、私たちが最初に確認するのが「管理者が現在誰で、届出が最新か」です。届出履歴がきれいな店舗は買い手のDDをスムーズに通過し、価格交渉でも有利になります。逆に管理者変更の漏れが1つでもあると、「他にも漏れがあるのでは」と内部管理全体を疑われ、表明保証や補償条項が厳しくなります。日頃の届出管理が、最終的な売却価格を守ります。
名義変更が原則できない理由と、事業譲渡で適法に引き継ぐ方法の詳細は、風営法の名義変更ガイドが詳しいです。

管理者の変更だけでなく、店舗の構造設備を変える改装にも届出や承認が必要です。3分類の判断・手続き・罰則は風営法の設備変更の完全ガイドが詳しいです。

管理者の変更だけでなく、営業所の名称(屋号)を変える場合も変更届出が必要です。期限・必要書類・手数料・罰則は風営法の店名変更の完全ガイドが詳しいです。

まとめ|管理者変更は「届出」と「無管理者回避」の両輪
2026年現在、風営法の管理者変更は、「不在後14日以内に選任」+「選任日から10日以内に届出」の二段階で進めます。必要書類は変更届出書・誓約書・住民票・身分証明書・顔写真2枚が公式の基本で、所轄により追加書類があります。費用は変更届のみなら無料、許可証書換が必要な場合のみ1,500円です。
そして最も重要なのは、「届出を出していないこと」より「営業所に適法な管理者がいない状態」の方が、行政処分上は重く扱われる(営業停止5〜40日・基準14日)ことです。後任をすぐ立てられる体制こそが、営業継続の生命線です。
M&Aや代表交代では、役員変更届と管理者変更届を混同せず、旧管理者の退職日・新管理者の就任日・届出予定日を契約前に決めておくことが、営業停止リスクと表明保証違反の両方を防ぎます。
管理者変更は単なる事務手続きではなく、店舗の内部管理体制とコンプライアンスの信頼を映す鏡です。届出をきれいに保つことが、日々の運営と将来の出口価値の両方を守ります。
NightMAの経営提言:
「管理者が辞めたが後任がいない」「M&Aで代表が変わるが管理者変更の段取りが分からない」「過去の届出に漏れがないか不安」という方は、ぜひ一度ご相談ください。nightmaは行政書士提携の風営法届出サポート、M&A仲介(売却・買収・承継)、居抜き・造作譲渡(出店・撤退)の3サービスを通じて、店舗の今と未来を一気通貫で支援します。
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