飲食店営業許可は事業譲渡なら引き継げる|取り方・必要書類と居抜きで取り直しになる理由

飲食店営業許可は事業譲渡なら引き継げる。造作譲渡では引き継げず事業譲渡なら承継できる。改正の施行は2023年12月13日、承継届の記載は4項目、承継後の施設確認は6か月(nightma)

「居抜きで店を引き継ぐ。営業許可は前の人のものを使えるのか」

このように感じている方は少なくありません。そして2026年現在、この質問にネット上で見つかる答えの多くは古いまま止まっています。

結論から申し上げます。飲食店営業許可は、「事業譲渡」なら引き継げます。前の経営者の許可を、新規で取り直さずに承継できます。

ただし「造作譲渡(居抜き)」では引き継げません。同じ店舗を同じ内装で引き継いでも、契約の形が違えば答えが逆になります。ここを取り違えると、営業できない空白期間が生まれます。

この記事では、ナイトビジネス専門のM&A仲介として事業譲渡・居抜き・造作譲渡の契約を扱ってきた立場から、許可の取り方・費用・必要書類と、引き継げる条件を条文で整理します。

さらにナイト店舗では飲食店営業許可と風営法の許可で答えが逆転するという、最も事故が起きる論点まで解説します。

目次

飲食店営業許可とは|許可を出すのは都道府県知事、施設基準を決めるのは条例

飲食店営業許可は、食品衛生法にもとづいて都道府県知事が出す許可です。保健所は申請の窓口と検査を担う実務機関で、許可の名義人は知事です。

この構造を先に押さえると、「自治体によって基準が違う」という現象の正体が分かります。ばらつきではなく、法律がそう設計しているからです。

条文の構造は3段になっている

許可の根拠は3つの法令にまたがります。どこに何が書いてあるかを知っておくと、所轄の窓口で言われた内容の当否を自分で確認できます。

法令定めている内容nightmaの評価
食品衛生法第55条1項営業を営もうとする者は都道府県知事の許可を受けなければならない許可の本体。名義は知事
食品衛生法施行令第35条1号施設基準を定めるべき営業として「飲食店営業」を指定飲食店営業が基準対象だと確定させる条文
食品衛生法第54条施設についての基準は都道府県が条例で定める★自治体差の原因はここ。運用の揺れではなく法律の構造

シンクの数、手洗い設備の仕様、客席と厨房の区画。これらが所轄ごとに違うのは、法第54条が条例に委ねているからです。

したがって「ネットで調べた基準」をそのまま信じて内装を発注するのは危険だ。基準の正本はあなたの店舗所在地の条例であり、確認先は管轄の保健所です。

風営法の許可・深夜酒類の届出とは別制度

飲食店営業許可を取っても、それだけで何でもできるわけではありません。接待を伴う営業や深夜0時以降の酒類提供には、別の法律の手続きが要ります。

この2つを混同したまま開業準備を進めると、保健所の検査は通ったのに営業できないという事態になります。

つまりナイト店舗の開業は、保健所と警察署の二正面作戦です。片方だけ通しても店は開きません。

【結論】営業許可を引き継げるかは「何を譲渡したか」で決まる

飲食店営業許可の承継を分ける3つの分かれ目。①何を譲渡したか(造作譲渡は承継できない・事業譲渡は承継できる)②営業の全部譲渡のみ対象で一部譲渡は対象外③接待や深夜酒類があると風営法側は承継できない(nightma)

結論を先に出します。引き継げるかどうかを決めるのは、店舗の状態ではありません。契約で何を譲渡したかです。

同じ物件、同じ内装、同じ業態でも、契約の形が変われば答えが変わります。まず自分の取引がどれに当たるかを確認してください。

取引の形飲食店営業許可手続きnightmaの評価
造作譲渡(居抜き)
内装・什器・設備のみを売買
❌ 承継できない譲渡人が廃業届/譲受人が新規許可申請最も多い誤解。設備の売買は営業の譲渡ではない
事業譲渡
営業そのものを譲渡
✅ 承継できる遅滞なく地位承継の届出★2023年12月13日から可能になった。新しい制度
株式譲渡(法人M&A)
法人の株を売買
✅ そのまま有効許可の名義人(法人)が変わらない許可の観点では最も安全。役員変更の届出は要確認
相続・合併・分割✅ 承継できる遅滞なく地位承継の届出2021年の改正時点から可能

「居抜きで引き継ぐ」という言葉は、業界では造作譲渡と事業譲渡の両方を指して使われます。この曖昧さが、許可を取り直す必要があるかどうかの判断を誤らせる最大の原因だ。

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2023年12月13日に制度が変わった|それ以前は事業譲渡でも取り直しだった

事業譲渡で営業許可を承継できるようになったのは、令和5年(2023年)12月13日です。2026年現在から見てまだ3年前の変更にすぎません。

ここが重要です。この日より前は、事業譲渡でも許可の承継は認められていませんでした。だから「居抜きなら許可は取り直し」という説明が、業界にも検索結果にも残り続けています。

改正前と改正後で何が変わったか

変更点は手続きの重さです。許可の取り直しが不要になり、届出で足りることになりました。

時期譲渡人譲受人nightmaの評価
2023年12月12日以前の事業譲渡廃業届の提出が必要事前に新規の営業許可申請または営業届出が必要許可が下りるまで営業できない空白が生じた
2023年12月13日以降の事業譲渡廃業届は不要遅滞なく地位承継の届出★空白期間のリスクが消えた。譲渡のハードルが下がった

東京都は事業譲渡による地位の承継の案内で、改正前の取扱いをこう明記しています。

「令和5年12月12日以前に行われた事業譲渡については、地位の承継が認められませんので、改正前と同様に、譲渡人は保健所へ廃業届の提出が必要であり、譲受人は事前に保健所へ新規の営業許可申請または営業届出が必要となります」。

厚生労働省も事業譲渡による地位承継の資料でこの制度を示しています。

2026年現在、相談の現場でいちばん多い誤りがこれです。「居抜きだから許可は取り直しですよね」と、譲渡の形を決める前に結論を出してしまっている。

順序が逆だ。許可をどう扱いたいかを先に決めて、それに合う契約を組むのが正しい設計です。

制度が変わって3年しか経っていないため、仲介業者や内装業者の説明も改正前のまま止まっていることがあります。

事業譲渡で承継する手続き|届出の記載4項目・添付書類・6か月後の確認

飲食店営業許可は取引の形で手続きの重さが変わる。造作譲渡は承継できず廃業届と新規許可申請と施設検査が必要、事業譲渡は記載4項目の地位承継届だけ、株式譲渡は許可の名義人が変わらない(nightma)

事業譲渡で承継する場合の手続きは、新規許可申請より格段に軽くなります。ただし届出の内容と添付書類は食品衛生法施行規則で決まっており、自己流では通りません。

根拠条文は食品衛生法第56条と、同法施行規則第67条の2です。順に押さえます。

法律が求めていること(第56条)

条文は2段構えです。承継は法律上自動的に起こり、そのうえで届出の義務が課されます。

第56条1項は、許可営業者が営業を譲渡したとき、譲り受けた者は「許可営業者の地位を承継する」と定めています。相続・合併・分割も同じ扱いです。

第56条2項は、地位を承継した者は「遅滞なく、その事実を証する書面を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない」と定めています。期限は日数ではなく「遅滞なく」です。

承継届に書く4項目(施行規則第67条の2)

届出書の記載事項は条文で特定されています。契約書を作る段階でこの4項目が埋まるかを確認してください。

  1. 届出者の氏名・生年月日・住所(法人は名称・所在地・代表者の氏名)
  2. 営業を譲渡した者の氏名・住所(法人は名称・所在地・代表者の氏名)
  3. 営業の譲渡の年月日
  4. 施設の許可の番号および当該許可を受けた年月日

3番と4番に注目してください。譲渡日と前経営者の許可番号が必要です。つまり譲渡人の協力なしには届出が出せません。決済が済んで連絡が取れなくなった後では詰みます。

添付書類は「譲渡の事実と意思が確認できるもの」

施行規則第67条の2第2項は、添付書類を「営業の譲渡が行われたことを証する書類」と定めています。これが実務上の分水嶺です。

東京都と文京区は、同じ表現でこう案内しています。「譲渡契約書や覚書等の書類であって、譲渡の事実と譲渡の意思が確認できるものが必要です」。

自治体によって、これ以外にも求められる書類があります。八王子市と台東区の案内から実例を挙げます。

  • 地位承継届
  • 事業譲渡を証明する契約書等の写し
  • 事業譲渡される営業許可書(=前経営者の許可証の現物)
  • 食品衛生責任者の資格を証明するもの
  • 施設の構造及び設備を示す図面(許可の場合)
  • 窓口で手続きする方の本人確認書類

許可証の現物が要るという点は契約実務に直結します。引渡し物のリストに許可証を書き込んでおかないと、受け取り忘れが起きます。

承継できるのは「営業の全部」の譲渡だけ

ここに明確な線が引かれています。東京都と文京区は同一の表現で、適用範囲を限定しています。

「譲渡による地位の承継の規定が適用されるのは、営業許可または届出に関する営業の全部を譲渡する場合に限られ、営業の一部を譲渡する場合には適用されません」。

複数店舗のうち1店だけを譲渡する場合や、営業の一部機能だけを切り出す場合は、承継の対象外になる可能性があります。所轄への事前相談が必須です。

届出後に保健所の確認がある

承継届を出せば終わりではありません。施設が同一であることを後から確認されます。

八王子市は「事業譲渡後、事業内容や設備に変更がないか、6か月以内に保健所の職員が営業所に確認に伺います」と案内しています。東京都も、許可を取得している場合は原則として保健所が立ち入って業務の状況を確認するとしています。

したがって承継後すぐに大規模な内装変更を行うのは危険だ。施設の同一性が崩れたと判断されれば、承継の前提が失われます。改装の計画があるなら、順序とタイミングを所轄に相談してから動いてください。

居抜き(造作譲渡)では承継できない|条文が求める書類を満たせないからだ

造作譲渡で許可を承継できない理由は、禁止されているからではありません。条文が要求する書類を構造的に用意できないからです。

この理解が、契約を組み替えるという発想につながります。

なぜ造作譲渡契約では届出が出せないのか

添付書類の要件を思い出してください。「譲渡の事実と譲渡の意思が確認できるもの」です。

造作譲渡契約書に書かれているのは、内装・什器・設備という物の売買です。営業を譲渡する意思は書かれていません。

したがって保健所の窓口でこの契約書を出しても、「営業の譲渡が行われたことを証する書類」としては機能しません。結果は新規許可申請になります。

造作譲渡で引き継ぐ場合の正しい流れ

承継を使わない場合は、改正前と同じ二正面の手続きになります。空白期間を作らない段取りが要点です。

  • 譲渡人が保健所へ廃業届を提出する
  • 譲受人が営業開始前に新規の営業許可申請を出す
  • 施設検査の日程を内装工事の完了日と合わせる
  • 許可が下りるまで営業しない(無許可営業を避ける)
  • 食品衛生責任者を確保しておく

新規許可申請では施設基準の検査を受け直します。前の店が許可を持っていたからといって、自動的に基準を満たすわけではありません。条例が改正されていれば、現行基準での適合が求められます。

【提言】

造作譲渡と事業譲渡のどちらで組むかは、税務・簿外債務・従業員の引継ぎ・リース残債など、許可以外の要素も絡む経営判断です。

許可だけを理由に事業譲渡を選ぶと、前経営者の債務や契約を一緒に引き受けることになり得ます。許可の承継は「得られる利点のひとつ」であって、契約形態を決める唯一の基準ではない。

nightmaはM&A(事業譲渡・株式譲渡)・居抜き・造作譲渡の3つを扱っているため、どの形が有利かを比較したうえで設計できます。

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ナイト店舗の罠|飲食店営業許可は承継できても、風営法の許可は承継できない

同じ事業譲渡でも食品衛生法と風営法で答えが逆転する。飲食店営業許可は承継して届出だけで済むが、風営法には譲渡の規定がなく新規許可が必要。相続は60日以内に申請し承認、合併と分割はあらかじめ承認(nightma)

ここが2026年現在、最も事故が起きている論点です。食品衛生法と風営法で、譲渡の扱いが正反対になります。

食品衛生法は2023年12月に譲渡を承継の対象へ加えました。一方で風営法は、譲渡を承継の対象にしていません。

風営法の承継規定には「譲渡」が存在しない

風営法が承継を認めているのは3つの場合だけです。条文を並べると明確です。

承継の原因食品衛生法(飲食店営業許可)風営法(1号営業等の許可)nightmaの評価
事業譲渡✅ 承継+届出(法56条)❌ 規定なし=新規許可★最大の落とし穴。営業できない期間が生じる
相続✅ 承継+届出⚠️ 死亡後60日以内に申請し承認(法7条)風営法は届出でなく承認。審査がある
法人の合併✅ 承継+届出⚠️ あらかじめ承認(法7条の2)事前承認。順序を間違えると承継できない
法人の分割✅ 承継+届出⚠️ あらかじめ承認(法7条の3)同上
株式譲渡✅ 名義人が変わらず有効✅ 名義人が変わらず有効★許可を守る観点では最も確実

警察庁の解釈運用基準でも、許可の承継は相続・合併・分割に限られています。

手続きの性質の違いにも注意してください。食品衛生法は届出(出せば足りる)ですが、風営法は承認(審査を経て認められる)です。

しかも風営法第7条から第7条の3までは、いずれも第4条1項の欠格事由の規定が準用されます。承継の場面でも欠格審査を受けます。

キャバクラ・ラウンジを事業譲渡で引き継ぐと何が起きるか

接待を伴う店舗を事業譲渡で引き継ぐ場合、2つの許可が別々の運命をたどります。

  • 飲食店営業許可=承継の届出で引き継げる
  • 風営法1号許可=承継できない。譲受人が新規の許可申請を行う

風営法の許可は申請から交付まで日数がかかります。その間、接待を伴う営業はできません。家賃と人件費だけが出ていく期間が発生します。

この構造があるため、ナイト店舗のM&Aでは株式譲渡が選ばれる場面が多い。法人格が変わらなければ、風営法の許可も飲食店営業許可もそのまま維持されるからです。

【NightMA 専門家の視点】

「事業譲渡なら許可を引き継げる」という情報だけを掴んで契約を進め、風営法許可の空白期間に気づいていない案件があります。

飲食店営業許可の解説は増えましたが、2つの法律を並べて書いているものがほとんどないからです。

接待・深夜酒類・特定遊興のいずれかに該当する店舗なら、許可の承継は食品衛生法だけで判断してはいけない。スキームの選択は、2つの許可の扱いを同時に見てから決めるのが鉄則だ。

店名を変える場合の変更届も併せて確認してください。

新規で取る場合の流れと必要書類|物件契約前の事前相談が分かれ目

新規で営業許可を取る場合、成否を分けるのは物件を契約する前に保健所へ相談したかどうかです。契約後に基準不適合が判明しても、物件は戻りません。

手順と書類を条文ベースで整理します。

手続きの流れ

検査は内装工事の完了後に行われます。工程表を作る段階で逆算してください。

  1. 事前相談(物件契約前・図面を持参)
  2. 営業許可申請書の提出(施行規則第67条)
  3. 保健所による施設検査
  4. 許可・許可証の交付
  5. 営業開始

申請書の記載事項(施行規則第67条)

条文が求める記載事項は6号まであります。5号の図面が実務上の山場です。

  • 申請者の氏名・生年月日・住所(法人は名称・所在地・代表者の氏名)
  • 施設の所在地・名称、屋号または商号
  • 申請する営業の種類、形態、主として取り扱う食品または添加物に関する情報
  • 食品衛生管理者または食品衛生責任者の氏名・資格の種類・受講した講習会
  • 施設の構造及び設備を示す図面
  • 重要工程の管理の取組の種別(有効期間満了に際し引き続き許可を受ける場合など)

水質検査の結果は「全員に必要」ではない

必要書類の解説記事では、水質検査成績書が一律に並べられていることがあります。条文の読み方としては正確ではありません。

施行規則第67条5号が水質検査の結果の添付を求めているのは、水道水以外の「飲用に適する水」を使用する場合です。井戸水などを使う施設が対象です。

水道水を使う一般的な店舗では、条文上この書類は要件になりません。ただし所轄の運用として求められることはあるため、事前相談で確認してください。

費用は条例で決まるため自治体ごとに違う

申請手数料は条例で定まります。したがって全国一律の金額は存在しません。

新規許可の手数料は自治体ごとに確認が必要です。本記事では特定の金額を一般化して示すことは避けます。所轄の保健所または自治体のサイトで、申請する年度の金額を確認してください。

なお承継の届出の手数料については、東京都・文京区・八王子市・台東区のいずれの案内にも記載がありませんでした。必要・不要のどちらとも断定できないため、所轄に確認してください。

有効期間と更新|「5年を下らない」は法律の下限、更新専用の手続はない

営業許可には有効期間があります。期間の設定について、法律は下限だけを定めています。

食品衛生法第55条3項は、都道府県知事が許可に「五年を下らない有効期間その他の必要な条件を付けることができる」と定めています。5年が下限で、実際の年数は許可証に記載されます。

更新は「新規と同じ申請書」を出す

更新という独立した軽い手続きは、条文上存在しません。

施行規則第67条6号の括弧書きに「営業の許可の有効期間満了に際し引き続き営業の許可を受けようとする場合」という文言があります。つまり更新も、第67条の営業許可申請として扱われます。

これは実務上のインパクトが大きい。更新時にも現行の施設基準での適合が問われ得るということです。許可を取ってから条例が改正されていれば、その基準で見られます。

更新漏れは無許可営業になる

有効期間が切れた状態での営業は、許可のない営業です。摘発リスクに加えて、店舗の資産価値にも直結します。

売却・譲渡を考えている場合、許可の残存期間は買い手の評価対象です。残りが短い許可は、買い手にとって更新の手間とリスクを引き受けることを意味します。

  • 許可証に記載された有効期間の満了日を把握している
  • 満了の数か月前に更新の相談ができる状態にある
  • 取得後に条例改正がなかったかを確認した
  • 食品衛生責任者が現在も在籍している

買い手が見落とす欠格事由|法人は役員1人で不許可になりうる

許可は「施設が基準を満たせば出る」だけのものではありません。申請者の側にも要件があります。

食品衛生法第55条2項は、施設が基準に合えば許可をしなければならないと定める一方で、ただし書きで3つの場合に許可を与えないことができるとしています。

欠格事由期間nightmaの評価
食品衛生法またはこの法律に基づく処分に違反して刑に処せられ、執行を終わった等の日から起算2年を経過しない者過去の違反歴が買収の障害になり得る
第59条から第61条までの規定により許可を取り消され、その取消しの日から起算2年を経過しない者取消歴は2年のブランクを生む
法人であって、その業務を行う役員のうちに前2号のいずれかに該当する者があるもの—★役員1人の経歴で法人全体が不許可になり得る

3番目が買収実務で効きます。買い手側の法人に該当者が1人いれば、その法人では許可が取れない可能性があります。デューデリジェンスでは譲渡対象の調査に意識が向きますが、自社側の役員構成も確認対象だ。

風営法でも、第7条から第7条の3の承認に第4条1項の欠格事由が準用されます。2つの法律の双方で、人の側の審査があります。

【NightMA 専門家の視点】

営業停止や許可取消の履歴は、譲渡価格に直接響きます。買い手は「その店が今いくら稼いでいるか」だけでなく「引き継いだ後に自分が許可を保てるか」を見ています。

違反歴があると、価格を下げられるか、取引自体が流れる。逆に許可がクリーンで有効期間に余裕がある店舗は、同じ売上でも評価が上がります。

ホワイト経営は売却価格として回収できる資産だ。居抜き売却とM&Aの選択を検討する段階で、許可の状態を棚卸ししておいてください。

許可と一緒に確認すべき3つ|賃貸借・風営法・消防

営業許可を承継できても、それだけで営業できるとは限りません。許可は営業の条件のひとつにすぎません。

許可の話に集中している間に足元が抜ける論点を3つ挙げます。

賃貸借契約は別の契約である

営業許可の承継と、物件の賃貸借契約の承継はまったく別の手続きです。食品衛生法の届出で賃貸借が移ることはありません。

賃借権の譲渡には民法上、賃貸人の承諾が必要です。貸主がナイト業態を認めない物件では、許可の議論の前に契約が成立しません。

したがって順序はこうなります。貸主の承諾が取れるかを最初に確認し、その後に許可のスキームを設計する。内見時のチェック項目に貸主の意向を入れておいてください。

風営法の許可は前章のとおり別制度

接待・深夜酒類・特定遊興に該当する営業は、風営法の許可や届出を別途確認してください。事業譲渡では承継できません。

消防法令の違反があると営業できない

前の店舗に消防法令上の違反があり、是正が困難な場合、その建物では希望した営業ができないことがあります。

許可が承継できるかどうかとは無関係に、物件側の問題で営業が止まります。内見の段階で消防関係の書類を確認してください。

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よくある質問

相談の現場で繰り返し聞かれる疑問を、条文と自治体の案内にもとづいて整理します。断定できない論点は、その旨を明記します。

個人事業から法人成りする場合、許可は承継できますか

個人から自分の法人への変更について、本記事で確認した東京都・文京区・八王子市・台東区の案内には明示的な記載がありませんでした。

法律上の承継原因は譲渡・相続・合併・分割です。法人成りを「営業の譲渡」として扱えるかは所轄の判断になります。必ず事前に保健所へ確認してください。推測で手続きを選ぶと、無許可営業の期間が生じます。

承継した後に内装を変えると、承継は無効になりますか

承継の届出後、6か月以内に保健所が設備の変更を確認する運用があります(八王子市)。施設の同一性が失われたと判断されれば、新規許可が必要になる可能性があります。

改装を予定している場合は、承継の届出前に所轄へ相談し、順序を決めてから着工してください。

店名(屋号)だけ変える場合はどうなりますか

屋号は営業許可申請書の記載事項です(施行規則第67条2号)。変更があれば届出の対象になります。

風営法の許可を持つ店舗では、営業所の名称変更について別途の手続きがあります。店名変更の届出を確認してください。

許可証を紛失した場合、譲渡はできますか

承継の届出で「事業譲渡される営業許可書」の提出を求める自治体があります(八王子市)。紛失している場合は再交付等の手続きが先に必要になります。

譲渡を予定しているなら、許可証の所在を契約前に確認してください。決済直前に見つからないという事態が実際に起きています。

飲食店営業許可だけで、深夜にお酒を出せますか

出せません。深夜0時以降に主として酒類を提供する営業には、風営法第33条にもとづく届出が必要です。

この届出は許可ではなく届出ですが、提出しないまま営業すれば違法だ。深夜酒類提供飲食店営業開始届の手続きを確認してください。

まとめ|許可の扱いは「契約の形」で決まる

2026年現在、飲食店営業許可の承継をめぐる判断は次の順序で行うのが最短です。

  • 自分の取引が造作譲渡か事業譲渡か株式譲渡かを確定させる
  • 事業譲渡なら「営業の全部」の譲渡になっているかを確認する
  • 譲渡を証する書類(契約書・覚書)に譲渡の意思が書かれているかを確認する
  • 前経営者の許可証の現物と許可番号を押さえる
  • 接待・深夜酒類に該当するなら、風営法側は承継できない前提で工程を組む
  • 賃貸借契約の承諾と消防法令の状態を並行して確認する
  • 所轄の保健所へ事前相談する(条例が正本)

飲食店営業許可は事業譲渡で引き継げます。制度が変わったのは2023年12月13日で、まだ情報が追いついていません。この差を知っているだけで、取り直しの手数と空白期間を避けられます。

一方で、ナイト店舗では風営法の許可が承継できないという逆の壁があります。2つの法律を同時に見なければ、スキームの選択を誤ります。

NightMAの経営提言:

許可は書類ではなく、営業を続ける権利そのものだ。そして譲渡の場面では、価格を左右する資産になる。

契約の形を先に決めて許可を後から考えるのではなく、許可をどう扱いたいかから契約を設計する。この順序を逆にしないことが、店舗を失わないための鉄則です。

nightmaはM&A(事業譲渡・株式譲渡)・居抜き・造作譲渡の3つを扱い、許可・賃貸借・風営法を同時に見ながら設計します。判断に迷う段階でご相談ください。

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