「うちの店、いくらで、どんな形で売れるのか」。この問いに、公開されている情報だけで答えるのは難しいものです。M&Aプラットフォームに載る売り情報は売主の希望額であり、成約額でも、売れなかった案件でもありません。
本レポートは、nightma(ナイトマ)が2026年5月〜10月に受託・受領した売り案件85件を匿名集計したものです。店名・所在地・個別の金額は一切出しません。出すのは件数・構成比・中央値だけです。ナイト店舗のオーナーが「自分の店はどの型に当てはまるか」を確かめる材料としてお使いください。
調査概要
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引用・検証のために、集計の条件をすべて開示します。
表1 本レポートの調査概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査主体 | nightma(株式会社MaY-W) |
| 調査対象 | nightmaが受託または他社元付から受領したナイト店舗の売り案件 |
| 対象期間 | 2026年5月〜10月 |
| 母数 | 85件(うちナイト業態 72件) |
| 集計方法 | 自社案件台帳からの匿名集計。算出するのは件数・構成比・中央値・四分位のみ |
| 除外した案件 | 聞き取れていない項目は各集計から除外(各図表の n が母数) |
| 非開示とした情報 | 案件番号・店名・所在地・人名・個別の金額 |
| 公開・更新 | 2026年10月3日更新/四半期ごとに再集計(次回2026年12月) |
1. 売り案件は月に何件動いているか
受託・受領の月別件数です。8月に案件共有ボードを提携先へ開放し、他社元付の物件も受領するようになったため、8月以降の件数が増えています。
表2 受託・受領の月別件数(2026年5月〜10月/n=85)
| 月 | 件数 |
|---|---|
| 5月 | 2件 |
| 6月 | 14件 |
| 7月 | 12件 |
| 8月 | 39件 |
| 9月 | 18件 |
2. 何で売るか:スキームの構成
ナイト店舗の売却は大きく3つの型に分かれます。内装・設備だけを渡す造作譲渡(居抜き)、スタッフ・キャストごと営業を渡す事業譲渡、許可・契約ごと会社を渡す株式譲渡です。当社の受託では造作譲渡が59%と過半を占めます。
表3 売却スキームの構成比(n=85)
造作譲渡が多いのは、ナイト店舗ではキャストや常連が店ではなく人に付くため、営業ごと渡す事業譲渡が成立しにくいからです。会社ごと渡す株式・持分譲渡は25件で、風営法の許可をそのまま引き継ぎたい案件(ポーカー・アミューズメント)と、ホテル・複数店舗など規模の大きい案件に集中しています。どの型が合うかは店舗売却の4択比較で整理しています。
3. どんな業態が売りに出ているか
上位はバー16件・ラウンジ・クラブ11件・風俗・メンズエステ10件です。バーが最多なのは、母数が多いことに加え、造作譲渡で完結しやすい(許可の承継が要らない)ためです。
表4 業態別の受託件数と構成比(n=85)
4. 規模と賃料:どのくらいの店が売られているか
ナイト店舗(ホテル・一般飲食・スケルトン区画を除く72件)の広さと賃料です。中央値で見ると19坪・賃料44万円/月。10坪台の小箱から40坪超のキャバクラ・ラウンジまで幅がありますが、中心は10〜30坪です。
表5 ナイト店舗の広さと賃料の分布(ホテル・一般飲食・スケルトン区画を除く)
| 指標 | 中央値 | 下位25% | 上位25% | n |
|---|---|---|---|---|
| 広さ(坪) | 19 | 11 | 33 | 62 |
| 賃料(万円/月) | 44 | 30 | 65 | 58 |
5. 造作譲渡の希望額:売主はいくらを望んでいるか
造作譲渡(居抜き)の案件のうち、売主の希望額が明示されている37件の分布です。中央値800万円、下位25%が440万円、上位25%が1,500万円。これは希望額であり成約額ではありません。当社の実務では、成約は希望額の50〜95%に着地するのが通常です。
希望額の妥当性は「内装に何をかけたか」より「次の人がそのまま使えるか」で決まります。カラオケ・音響・ボックス席が現役で、貸主の承諾が取れている案件は上位25%に入りやすく、逆に原状回復の特約が重い案件は下位に沈みます。詳しくは造作譲渡の相場をご覧ください。
6. 結果:成約・失注・進行中の内訳
2026年10月3日時点の状態です。受託から日が浅い案件が多いため、進行中が最多です。
表6 案件の進捗状況(2026年10月3日時点/n=85)
失注・募集終了14件の理由(記録が残っているもの)は次のとおりです。
表7 失注・募集終了の理由(記録のあるもの/n=14)
| 理由 | 件数 |
|---|---|
| 他社・売主が自力で成約 | 5件 |
| 理由未記録・その他 | 2件 |
| 売主側の事情で立ち消え | 2件 |
| 募集条件の期限切れ | 2件 |
| 貸主・管理会社の承諾が取れない | 2件 |
| 価格が折り合わない | 1件 |
この集計は「売りに出た店」の全体像です。実際に成約した案件がどんな手順で引き渡されたかは、成約実績で1件ずつ公開しています(エリア・坪数・造作代金・相談から成約までの日数つき)。
特徴的なのは「他社・売主が自力で成約」です。ナイト店舗は同業者間の口コミで決まることが多く、当社が動いている間に知人へ渡るケースが一定数あります。売主にとっては悪い話ではありませんが、複数の窓口に同時に出すなら、条件(造作代金・引渡し時期)を揃えておかないと買い手側が混乱します。
7. なぜ売るのか:売却理由の傾向
売却理由を聞き取れた35件の分類です。
表8 売却理由の内訳(聞き取れた案件のみ/n=35)
最多は「他の事業・本業に集中したい」。赤字だから手放すのではなく、黒字でも手が回らなくなった店が多いのがナイト業界の特徴です。次いで人材の問題。キャストや店長が抜けた瞬間に営業が止まるため、「営業ごと」ではなく「箱だけ」を渡す造作譲渡に切り替わる案件が目立ちます。
8. 相談から案件化まで
相談が案件になるまでは3段階あります。公式LINEの売却相談フォームへの回答が25件、そのうち所在・業態・契約条件まで聞き取れて台帳化できたリードが9件、さらに受託に進んだのが6件です。
表9 相談から受託までの件数(2026年5月〜10月)
| 段階 | 件数 |
|---|---|
| 売却相談フォームへの回答 | 25件 |
| 聞き取りが成立し台帳化したリード | 9件 |
| 案件として受託 | 6件 |
フォーム回答から台帳化までで減るのは、匿名のまま情報が揃わない相談が多いためです。相談の段階では「いくらで売れるか」より「そもそも売れるのか」(貸主の承諾・許可・契約の残期間)の確認が先で、ここで止まります。
この数字の読み方と限界
- 対象は当社が2026年5月〜10月に受託・受領した案件で、市場全体の統計ではありません。首都圏(新宿・港区・渋谷・千葉)と一部の地方案件に偏っています。
- 金額はすべて売主の希望額です。成約額・手数料・買い手の総取得額は含めていません。
- 「要確認」のまま聞き取れていない項目は集計から外しています(各表の n が母数です)。
- 個別案件を特定できる情報は載せていません。案件番号・店名・所在地・人名は一切出しません。
- 数字は四半期ごとに更新します。次回更新は2026年12月の予定です。
引用・転載について
本レポートの数字は、出典を明記いただければ引用・転載いただけます。許諾の連絡は不要です。図表を転載される場合は、改変せずに図表番号ごと引用してください。
推奨する出典表記(そのままコピーしてお使いください)nightma「ナイト店舗の売却・居抜き 実データレポート2026」(株式会社MaY-W、2026年10月3日)https://nightma.com/night-tenpo-baikyaku-data-report/
取材・データのご提供、業態やエリアを絞った追加集計のご依頼は 株式会社MaY-W までお問い合わせください。公開していない切り口(エリア別・規模別の分布など)も、個別案件が特定されない範囲でお出しできます。
自分の店はどの型か、を先に知る
ここに並んだ数字は「売れた店」の話ではなく「売りに出た店」の話です。売れるかどうかを分けるのは、造作の状態でも希望額でもなく、貸主の承諾が取れるか・許可が引き継げるか・契約の残期間があるかの3点です。この3点は、店を見なくても契約書と許可証があれば8割判定できます。
売却を考え始めた段階で、匿名のまま「自分の店がどの型に当てはまるか」だけ確認しておくと、実際に動くときの選択肢が減りません。公式LINEの無料査定では、店名を出さずに賃貸借契約の条件と業態から、造作譲渡・事業譲渡・株式譲渡のどれが現実的かをお伝えしています。
買い手の方は、いま募集中の案件を非公開の居抜き物件一覧とM&A案件一覧でご覧いただけます。