- エリア
- 港区
- 広さ
- 約24坪
- 譲渡価額
- 約3,000万円
- 相談から成約まで
- 66日
港区の約24坪、内装にお金をかけたバーです。造作代金は約3,000万円。売主さまは早く手放したい、買主さまは初めての店舗取得。この間に入って、名義の組み方と引渡し月の費用を整理しました。相談から成約まで66日です。
- 賃貸借を結び直すと、賃料・保証金・できる業態が変わる
- 買主の指摘から請求書を精査し、引渡し月の家賃が5.5万円下がった
- 手付金は念書で保全してから先行してお渡しした
譲渡代金の内訳
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 造作代金 | 約3,000万円 | 税込。据え置きで合意 |
| ├ 手付金 | 約200万円 | 契約時。いったん当社でお預かりした |
| └ 残代金 | 約2,500万円 | 決済時に買主さまから売主さまへ直接 |
保証金は買主さまが新たに預け入れる形にしたため、造作代金には含めていません。
金額は当事者が特定されないよう丸めた概数です。合計は千万円単位、内訳は百万円単位で四捨五入しているため、内訳の和と合計は一致しません。
相談から引渡しまで 66日
- 2026年5月22日ご相談・受託
- 6月30日手付金200万円をお預かり当社の口座でいったんお預かりした
- 7月14日念書を交わして手付金を先行交付売主さまの資金繰りの都合。無条件では渡さず、返還条項と連帯保証を入れた念書を電子署名で締結してからお渡しした
- 7月16日契約の名義を組み替えた法人名義で申し込む予定を、個人名義+連帯保証人へ変更
- 7月17日引渡し月の家賃を訂正買主さまの指摘を受けて請求書の実物を精査。87万円→814,770円に
- 7月20日造作譲渡契約を締結3者で電子署名
- 7月24日新しい賃貸借契約書を精査全ページ確認
- 7月末決済・引渡し設備の動作確認まで完了
この案件でやったこと
見出しの横のしるしは、買い手/売り手のどちらに関わる話かを示しています。
賃貸借を結び直すと、条件が変わる
買い手
造作を買う方は、貸主と新しく賃貸借を結びます。このとき貸主は条件を変えられます。この案件では賃料が月額で約3万円(税別)上がり、さらに保証金600万円が必要でした。造作の代金だけを見て資金計画を立てると足りなくなります。
同じ業態を続けられるとは限らない
買い手
前の業態はガールズバーでしたが、新しい賃貸借の特約は「ガールズバー営業は禁止、バーは可」という内容でした。造作をそのまま引き継いでも、そこで何ができるかを決めるのは貸主です。契約書の特約を先に読みます。
営業許可は新規に取り、名義を揃えた
買い手
接待を伴わない形で整理し、深夜酒類提供飲食店の届出ルートで進めました。許可は引き継がず新規に取得しています(前の経営者のお名前が許可証に残らないため)。このとき、賃貸借の名義と営業許可の名義、法人なら代表者を揃えておかないと、警察への申請で承諾書を求められたり、許可が下りないおそれがあります。家賃を払う人が営業者、という考え方です。
売主さまは原状回復をせずに明け渡せた
売り手
この賃貸借は、退去時にスケルトンへ戻して返すのが原則で、第三者へ譲渡した場合も同じでした。今回は、残した造作を買主さまが自分の資産として引き受けるという特約を新しい賃貸借に入れてもらったことで、売主さまは原状回復をせずに明け渡せています。
手付金を無条件で渡さなかった
双方
売主さまの資金繰りの都合で、決済を待たずに手付金の一部をお渡しする必要がありました。ただ、そのまま渡すと審査が通らなかったときに買主さまへ返すお金がなくなります。そこで、返還の条項・代表者個人の連帯保証・仲介の免責を入れた念書を電子署名で締結してから、200万円のうち140万円をお渡ししました。返金の原資を個人の財産まで担保にかけた形です。
買主さまの指摘で家賃を5.5万円下げた
双方
引渡し月の家賃として「87万円」という数字が売主さまから出ていました。買主さまから「これは賃料だけですか。電気や水道は別ではないですか」と確認が入り、請求書の実物を当たりました。すると請求書の総額877,531円には、電気代(前々月から前月にかけての使用分)・水道・ごみ処理費が含まれていました。これは売主さまが営業して使った分です。買主さまに乗せる筋のものではありません。内訳を示して売主さまに説明し、814,770円で合意しました。
契約書を2本立てでレビューした
双方
法務の観点で1本、数字の突合で1本、別々に通しました。条文の整合だけ見ていると金額の食い違いは見つかりませんし、その逆もあります。この案件では全面改訂になりました。
新しい賃貸借契約書も全ページ見た
買い手
造作を引き継いでも、賃貸借の条件が変わっていれば買主さまの負担は変わります。造作の契約とは別に、貸主と買主さまが新しく結ぶ契約書も精査しました。
つまずいたところ
法人名義では審査が通らなかった
当初は買主さまが新しく作る法人の名義で申し込む予定でした。ただ、設立したばかりの法人は実績がないため審査で不利になります。個人名義で申し込み、共同で出資される方に連帯保証に入っていただく形へ組み替えました。このとき注意が要るのが、法人の設立登記の日付です。個人で契約する時点ですでに法人が存在していると、そちらで見られて弾かれることがあります。
「87万円」の中身が誰も分かっていなかった
上の家賃の話です。売主さまも口頭で「光熱費とごみ処理代以外」と言っていましたが、その計算だと87万円になりません。数字が合わないときは、必ず一次資料に当たります。この1件で5.5万円動きました。
この事例から分かること
- 造作が売れれば原状回復をせずに抜けられる。ただしそれは、買う人と貸主の新しい契約に「残した造作は買う人のもの」と書き込めた場合。造作の売買契約だけ見ていても足りず、新しい賃貸借の条項までそろえる必要がある。
- 引渡し月の家賃と光熱費を、どちらがどこまで負担するかを先に決めておく。光熱費は後払いなので、請求書に載っている金額は前の月に使った分=売り手が営業して使った分であることが多い。
- 口頭で出した概算の数字は、後で必ず根拠を求められる。最初から請求書を見て出したほうが早い。
- 連帯保証人の極度額が賃料60か月分(この案件では4,500万円)に設定されていた。保証人をお願いする方が、その金額を認識しているかを必ず確認する。
- 金額に疑問があれば、請求書の実物を見せてもらう。この案件では買い手の指摘から5.5万円下がった。
- 設立したばかりの法人の名義は、賃貸借の審査で不利になることがある。個人名義で契約して連帯保証人を立てる方法もある。
- その場合、法人の設立登記の日付に注意する。個人で契約する時点ですでに法人が存在していると、そちらを見られて審査に影響することがある。
- 法人化の時期と代表者が契約で縛られることがある。この案件では「契約後1年以内に設立し、契約者本人が代表である法人」に限って名義を移せる、という条件だった。
金額そのものより、引渡し月の費用と名義の組み方で揉めやすい案件でした。どちらも、書類の実物を見れば答えが出るものです。
この案件は、売却を進めていることがスタッフ・お客様・取引先に知られないまま引渡しまで完了しています。
この事例は、当社が実際に仲介し、手数料をいただいた取引です。当事者が特定されないよう、社名・お名前・店舗名・建物名・番地は掲載しておらず、広さと金額は丸めた数値にしています。記載している経緯・日付・確認した項目は、当社の案件記録に残っている事実です。
同じような状況の方へ